はじめに
2017年4月10日(月)の日本経済新聞朝刊で「ほっともっと」を展開する株式会社プレナス(以下、プレナス)の決算発表に関する記事が掲載されていました。
その記事によると、プレナスの2017年2月期の連結決算は、純利益が前期比11%増の40億円であり円高による輸入する牛・豚肉などの主力食材の調達コストが減少したとのことです。
更に、積極出店で人件費は上昇したが、広告宣伝費などの削減で補ったという内容です。また、別の記事では、プレナスとしては最大規模の食品加工工場を、埼玉県杉戸町に建設するとのことで、投資額は80億円を予定し、完成は2018年8月とのことです。
この投資は何を元に判断したものなのでしょうか。
今回はプレナスを見ていきます。まずは簡単に同社の紹介をしておきます。
Table 株式会社プレナスの概要
プレナスの展開するブランド
ここではプレナスの展開するブランドを紹介していきます。
まずは「ほっともっと」です。これは皆さん知っていますね。全国で展開するお弁当チェーンです。国内2689店、海外13店(2017年3月31日現在)展開しています。
次は「やよい軒」。JAPANESE TEISHOKU RESTAURANTとして「定食」を提供しています。ご飯のおかわり無料がありがたいお店です。日本国内に331店舗展開している他、タイで159、シンガポールで7、オーストラリアで3、台湾で9、フィリピンで1、アメリカで2店舗展開しています。(2017年3月31日現在)
最後は「MKレストラン」。MK鍋と言われる鍋と本格飲茶を提供するレストランです。福岡を中心に展開されています。関東ではあまり見ませんね。日本では32店舗、海外ではまだ展開されていません。(2017年3月31日現在)
プレナスの経営状況分析
プレナスの売上高推移
それでは、プレナスがどういう経営状況なのか見ていきましょう。
まずはChart 1の売上高推移です。青線はプレナス全体の売上高、棒グラフは事業部ごとの売上高で構成されています。
売上高は若干下がりつつあります。しかし、純利益は昨年比11%増の40億37百万円でした。積極出店で人件費は上昇しましたが、円高によって輸入する牛・豚肉などの主力食材の調達コストが減少したことや、広告宣伝費などの削減が功を奏したようです。
Chart 1 株式会社プレナスの売上高推移
*有価証券報告書をもとに筆者作成。
*2009年~2011年は事業部別のデータが無かったため、全体のデータのみ表示。
プレナスの各事業の営業利益比較
次は、プレナスの営業利益で各事業の位置づけを見ていきます。
Chart 1の事業別の売上では、やはり「ほっともっと」が売上の多くを占めていました。一方、Chart 2の営業利益で見ると、「ほっともっと」の営業利益は2015年で一旦下がっていますが、その後は順調に推移しています。
しかし、やよい軒の営業利益は続落しています。売上高は上昇し続けているにも関わらずです。
Chart 2 株式会社プレナスの事業別営業利益比較
*有価証券報告書のセグメント情報をもとに筆者作成。
プレナスの他競合飲食店比較と今投資の目的
プレナスのライバル店比較
Chart 3は他競合飲食店との売上高比較です。売上高の比較なので明確な比較はできませんが、規模の比較としては十分です。
Chart 3 ライバル店との比較
*大戸屋の2017年の値は予想値。
*マクドナルド: 財務ハイライト [http://www.mcd-holdings.co.jp/financial/summaly/index.html]
大戸屋: 有価証券報告書 [http://www.ootoya.jp/ir/library/]
吉野家: 有価証券報告書【セグメント情報】吉野家単体国内、海外合算売上高を参照
これを見ると、規模の大きさではマクドナルド、テイクアウト系、定食系の順になっています。(ちなみに、セブンイレブンの売上高は4兆円を超えています。)
テイクアウト系の売上高の規模はこのぐらいなのだなと思っていただければと思います。この規模に収まっている要因としては店舗の数、利用される時間帯が大きく関わっていると考えられます。
プレナスが最大規模の投資をする理由
ゆえに、プレナスは売上を上げることには焦点を当てず、工場への投資により仕入れコストを抑え利益を大きくすることに焦点を当てるための投資なのではと考えます。
プレナスのまとめ
今回は「ほっともっと」「やよい軒」を擁するプレナスを見ていきました。
他競合店との比較をしたことで、飲食業の中でも規模ごとで分類できることがお分かりいただけたかと思います。
目に見える形にすると分かりやすいですよね。分かりやすく伝えることはCFOにとって大きな必須要素です。そのためには、まず自分がしっかりと理解することが大切です。
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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