ROEの意味とは? 計算式で解説! CFOの必須科目、ROE経営が注目されている理由とは?

はじめに

積水化学工業株式会社の高下貞二社長は2017年4月12日に開いた新中期経営計画の説明会で、2020年3月期の自己資本利益率(ROE)の目標を12%としていることについて、「成長投資と株主還元のバランスを取るのが重要」と指摘しました。その上で「最終利益を増やしつつ、自社株買いも実施することで納得してもらえる株主還元にする」、「ROEは大切な指標であり、少なくとも10%以上を維持することが必要と考えている」という言葉もありました。
 
近年、ROE経営が注目されていますが、そもそもなぜROE経営が近年重要となってきているのでしょうか?そしてCFO(最高財務責任者)にとって、ROE経営はどんな関係性があるのでしょうか?
 

ROE経営とは?

ROEとは?

ROE(Return On Equity)とは、株主の持ち分である自己資本に対し、どれだけ効率よく利益を上げているかを示す総合的な指標で、財務的には自己資本利益率を指します。ROE はその特性から以下のように分解でき、企業の収益力を測る総合的な指標として活用されております。

Chart ROEの計算式
 

ROE経営が注目されている理由とは?

近年になってROE経営が注目を集めているのは、2012年12月に自民党の長期政権が誕生し、政府が日本経済の復活に向け企業の国際競争力を高めることを目的とした、コーポレートガバナンスを強化する構想をスタートさせ、2013年6月に「日本再興戦略」を公表したのがきっかけです。
 
ROEの向上は、雇用の拡大と企業価値の向上による株主価値向上にも繋がることから、企業のあるべき姿としてコーポレートガバナンスの命題として位置づけられ、2014年12月にコーポレートガバナンスコードとして公表されました。
 
三菱UFJ信託銀行株式会社の統計調査によると、日本企業のROEとPBR(株価純資産倍率)は8%を下回る時には相関関係があまり見られない(ROEが増加してもPBRは増加しない)が、およそ8%以上になると正の相関関係がみられる(ROEが増加するとPBRも増加する)そうです。(※1)
 
上記の結果は日本の金融市場では、ROE8%を上回らないと株主たちは企業経営の業績を評価しないということを意味します。ROE8%と提言した「伊藤レポート」(2014年8月に公表された本レポートは、企業が投資家との対話を通じて持続的成長に向けた資金を獲得し、企業価値を高めていくための課題を分析し提言を行っています。一橋大学大学院商学研究科教授、伊藤邦雄氏がプロジェクトの座長を務めたことから、伊藤レポートと言われています。)の背景には、上記結果に類似した研究成果があるのかもしれません。
 

CFOにとってのROE経営

CFOの役割の1つに、事業戦略を実現するための資金を獲得してくる「資金調達」という役割があります。今回のテーマであるROE経営は、株式市場を通じて自己資本を調達してくるエクイティファイナンスのテーマです。エクイティファイナンスで資金調達を考えるCFOは、ROE8%以上の実現にコミットして、株式市場から十分に事業を推し進めていけるだけの自己資本調達の達成に努力する必要があります。
 
 
※1・・・以下URL参照
http://www.tr.mufg.jp/houjin/jutaku/pdf/u201503_1.pdf
 
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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