ユニーファミマ誕生の経緯 合併(M&A)ストラクチャーと今後の経営戦略とは?

ユニーファミリーマートHDの誕生

2017年9月28日の日経新聞に、ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社(以下、ユニーファミリーマートHD)の業績についての記事が掲載されました。通常は、「ファミマ」という略称で親しまれ「ファミリーマート」というコンビニエンスストアブランドとして消費者に知られていますが、「ユニーファミリーマート」とはなんでしょうか。
 
私たちが知っているファミマの看板には大きな変化がないものの、ファミマの属する組織は以前とくらべて大きくなりました。現在のユニーファミリーマートHDは、ユニーグループ・ホールディングス株式会社(以下、ユニーグループHD)と旧株式会社ファミリーマート(以下、旧ファミリーマート)の合併(M&A)の結果誕生した企業であり、より良いサービスを提供するために日々経営戦略を改善しています。
 
この記事では、ユニーグループHDと旧ファミリーマートの合併(M&A)と現在の経営戦略の改善ポイントを紹介します。
 
なお、ファミリーマートの名称について混乱を避けるため文中では以下のように使い分けております。
 

  • ファミマ:コンビニエンスストアの屋号「ファミリーマート」を指す。
  • 旧ファミリーマート:「旧株式会社ファミリーマート」を指す。
  • ファミリーマート:現在の「株式会社ファミリーマート」を指す。

 

ユニーグループHDとは

ユニーグループHDの前身は1912年に名古屋市で創業された、履物店の「西川店」です。2016年までにユニーグループHDは着物専門店、スーパー事業、弁当や調理した食品の製造と配達、コンビニ事業などといった小売業の幅広い領域の経営に携わりました。また、ユニーグループHDは広告、財務、人材派遣などのサービスも提供しました。
 

旧ファミリーマートとユニーグループHDの合併(M&A)の経緯

実は旧ファミリーマートは2007年にユニーグループHDとの合併を提案しましたが、ユニーグループHDは独立して経営する方針でいたため、合併の交渉などは行われませんでした。
 
そして実際に、旧ファーミリーマートとユニーグループHDの2社の合併の交渉は2015年から始まりました。合併の交渉が進んで2016年9月に同2社が合意し、ようやくユニーファミリーマートHDが生まれました。ユニーファミリーマートHDは同2社の理念や経営資源を合わせ、消費者やビジネスパートナー、株主、従業員に貢献することを目的としました。
 

旧ファミリーマートとユニーグループHDの合併(M&A)の結果

合併(M&A)によるユニーグループHDの株式売却額

ジャパンタイムズによると、旧ファミリーマートはユニーグループHDに吸収合併の対価として株を交付しました。旧ファミリマートは自社0.138株でユニーグループHDの1株を買収しました。
 

【ファミリマートニュースリリース、2016年02月03日】
 

旧ファミリーマートとユニーグループの合併(M&A)ストラクチャー

旧ファミリーマートのファミリーマートニュースリリース及び2016年のAR(Annual Report)によると、旧ファミリーマートとユニーグループHDの合併には2タイプのM&Aが含まれています。
 
一つ目は吸収合併(absorption-type acquisition)です。簡単に説明すると、ユニーグループHDが旧ファミリーマートに買収され、ファミリーマートの一部になりました。
 
二つ目のタイプは吸収分割(absorption-type demerger)です。ユニーグループHD傘下には「ユニー株式会社・その他」と「サークルK・サンクス(CKS)」が存在しています。吸収分割によって、サークルK・サンクスは株式会社ファミリーマート(現在の「株式会社ファミリーマート」)に商号変更されました。したがって、ユニーグループHDのサークルK・サンクスは今後、看板を変更し、ファミマというコンビニエンスストアブランドとして営業し続けることになります。
 

【ファミリマートニュースリリース、2016年02月03日】
 

合併(M&A)による旧ファミリーマート(現ユニーファミリーマートHD)の業績への影響

ユニーファミリーマートHDの2016年度のARによると、旧ファミリーマートとユニーグループHDの合併の結果として、ファミマのコンビニ店舗数が11,656店から18,006店に増加しました。よって、現在はファミマの店舗数がローソンに勝り、コンビニ店舗数で国内第二位になりました。
 
純利益については、2016年2月の旧ファミリーマートの連結純利益は210億円でした。しかし、旧ファミリーマートはユニーグループHDと合併した後、ユニーグループHD側の純損失(28億円)の影響によって、ユニーファミリーマートHDの連結純利益が181億円になると予想されていました。
 

ユニーファミリマートHDの経営改善戦略

ユニーファミリーマートHD、コンビニエンスストア事業の採算改善へ

旧ファミリーマートとユニーグループHDの合併(M&A)後、ファミマの店舗数が増えることで領域が拡大し、普及率が上がると期待されています。サークルK・サンクスからファミマへと看板の変更が完了する予定は2019年2月末です。ユニーファミリーマートHDは利益、収入を伸ばすため、すべてのコンビニ店舗の店内でリフレッシュコーナーを導入すると決定しました。
 

ユニーファミリーマートHD、その他の事業の改善戦略

ユニーファミリマートHDは黒字の見込みのない事業を2019年2月までに停止すると2016年のARに公表しました。ホームセンター、本屋事業を停止し、ユニー株式会社をU-Lifeと吸収合併することを検討していました。
 
また、ユニーファミリーマートHDは2019年までに3年間でGMS(General Merchandise Store)事業の店舗をリフォームし、「高級スーパー」のプロトタイプ店舗を出店する予定です。
 

ユニーファミリーマートHD、経営改善戦略でローソンに追いつくか

よって今後、ユニーファミリマートHDはコンビニ店舗数の増加だけでなく、売り上げや採算も改善させて、コンビニエンスストア事業でローソンに追いつくことが期待されています。
 
 
参照リスト

  1. ユニーグループの沿革:[http://www.uny.co.jp/corporate/about/history.html]
  2. ユニーグループの会社概要(スナップショット):[https://www.bloomberg.com/research/stocks/private/snapshot.asp?privcapId=875322]
  3. ユニーファミリマートのニュースリリースページ:[http://www.fu-hd.com/english/company/news_release/] [http://www.family.co.jp/company/news_releases/2016/20160203_04.html] [http://www.fu-hd.com/english/company/news_release/document/160204.pdf]
  4. 日経アジアレビュー:[https://asia.nikkei.com/Business/Deals/FamilyMart-Uny-merger-was-long-overdue-leaves-loose-ends]
  5. ファミリマートは株でユニーグループを買収した:[https://www.japantimes.co.jp/news/2015/10/15/business/corporate-business/familymart-uny-agree-stock-merger/]
  6. UFHDの2016年度のAR:[http://www.fu-hd.com/english/ir/library/annual/document/ughd/ar2016_unyghd.pdf]
  7. [https://asia.nikkei.com/Business/Deals/FamilyMart-Uny-team-to-take-on-Seven-Eleven]

 
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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