東芝決算で話題 監査とは? 四半期レビューとは? 違いとは?

はじめに

2017年4月11日、東芝が発表を延期していた2016年4~12月期の決算を発表し、その決算内容が話題になりました。
 
また、それと同時に公認会計士が行っている監査にも注目が集まりました。四半期ごとに行われる“四半期レビュー”というものでお墨付きを貰えなかったからです。新聞等の報道では監査という言葉が目立ちましたが、正確には四半期レビューというものが行われていました。
 
そこで今回は、公認会計士の独占業務である監査と、あまり聞きなれない四半期レビューについて解説していきます。
 

そもそも会社って誰のもの?

まず、会社は誰のものなのでしょうか。
 
この問いには色々な答えがあると思いますが、会社法上、会社は株主のものであると解釈がなされています。会社は株主から出資を受け、株主に株式(基本的には議決権付)を付与し成立するためです。銀行などからの借入金もありますが、それは返済するもので、議決権もないため、出資とは違います。したがって会社は、株主のものであると言えます。
 

監査とは?

会社は株主から受けた出資により事業を行い、お金を稼ぎます。そのような事業を行っていく中で、株主は、自分が出資したお金がどのように使われているのか、どのくらい稼げて、どのくらい配当がもらえるのか、ということを気にします。
 
そこで会社は、財務状況、経営成績等を株主に対して報告します。それによって株主は、自分のお金がどのように使われているか、どのくらい儲かっているのか、などが分かります。
 
しかし、会社側がその財務状況等に関して嘘をついて株主に報告する可能性があります。
 
そこで、上場企業が財務報告をする際には、必ず公認会計士による監査が必要になります。監査を通じて企業の公表した財務諸表が適正か否かを判断し、意見を表明することになります。投資家は、その監査意見を元に財務諸表をどう利用すべきかを判断することが出来るのです。
 

四半期レビューとは?

四半期レビューの必要性とは?

証券市場が発達してきて、投資家が企業に対して情報の適時性を求めるようになりました。それまでは、年度の報告しかありませんでしたが、中間、四半期の報告と徐々に適時性が求められるようになったのです。それに伴って、監査も、四半期報告に合わせたものが必要になりました。
 
しかし、監査業務は非常に時間のかかるもので、年度の監査水準では四半期に合わせたチェックをすることが出来ません。そこで年度監査よりも少し水準を低めてチェックを行うことで、その企業の財務諸表に信用を与えるようになりました。その手続きが四半期レビューです。
 

四半期レビューとは? 「監査」とは異なる

四半期レビューは、四半期ごとに監査法人によって行われます。これは、監査よりも少し低い水準で行われるため、監査とは違います。また、監査では“意見”が表明されますが、四半期レビューでは“結論”というものが表明されます。結論は、財務諸表の適正性を合理的に保証するわけではなく、適正性について限定的な保証をするというものです。したがって、四半期レビューは公認会計士が手続きをした範囲に関して、適正か否かを判断するものになります。
 

監査と四半期レビューのまとめ

今回の東芝の決算は四半期決算であったため、監査法人は四半期レビューを行っており、その四半期レビューの結論が不表明でした。ある程度簡素な手続きしかしないのにもかかわらず、その四半期レビューで結論が表明されなかったということは、東芝が発表した四半期決算の適正性の水準は高くないと言えるでしょう。
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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