「企業内弁護士」とは? 役割とは? 15年で約20倍に急増!

企業内弁護士に注目集まる

「弁護士」と聞いて私たちが真っ先に浮かぶのは、大手や個人の法律事務所で依頼を受け、裁判を戦う人たちの姿です。
 
しかし、ここ数年で「組織内弁護士(インハウス・ロイヤー)」という選択をする弁護士が増えています。2017年4月17日(月)の日本経済新聞朝刊でも、「法務人材 VB飛躍の支え」という見出しで大きく取り上げられていました。
 
今日は、組織内弁護士の中でも特に注目を浴びている「企業内弁護士」について解説したいと思います。
 

組織内弁護士(インハウス・ロイヤー)とは?

組織内弁護士とは、一般的に官公庁や公私の団体(弁護士法人を除く)において、職員や取締役などの役員として従事する弁護士を指します。
 

企業内弁護士とは?

急増する企業内弁護士 15年で約20倍

その中でも、企業や法人で働く「企業内弁護士」が、今注目されています。日本組織内弁護士の調査によると、2001年に全国で66名しかいなかった企業内弁護士は、2015年には1,442名と、約15年で20倍以上にもなっています。
 
弁護士の需給バランスが崩れ過当競争が進む中で、法律事務所に所属するのではなく、一般企業の中で活躍する弁護士が増えているのです。
 

急増する企業内弁護士の背景 「弁護士の供給過多」

企業内弁護士がここ数年で急増している背景には、その母体である弁護士登録数の増加があります。2001年には18,243名でしたが、法科大学院制度の導入などにより、2015年には36,415名と約2倍。人口が伸びない中で、弁護士は供給過多になっていきました。
 
以前は供給が少なく、法律事務所に就職するのが容易であったため、弁護士が企業に流れることはほぼありませんでした。しかし、一方で多くの会社が弁護士のいない法務部を持っています。弁護士が増加することで、企業が弁護士を雇うことができるようになったのです。
 

企業内弁護士の活躍

企業内弁護士を抱える大手企業


Table 企業内弁護士を抱える企業
2015年6月現在
出所:日本組織内弁護士協会発表の「企業内弁護士を多く抱える企業上位20社」
 
企業内弁護士を多く抱える主な企業としては、上記のような企業が上げられます。これらの企業も数年前までは雇用数が一桁台でした。では、企業内弁護士はどのような業務を担っているのでしょうか。
 

企業内弁護士の役割 企業内の法務ニーズに迅速な対応

主な配属先は、法務部門に集中しています。外部の顧問弁護士と大きく異なる点は、最終的な責任を負う立場にあるということです。契約書の作成やチェックを専門的な観点から行い、企業にとって有益であるかを見極めることが企業内弁護士には求められます。
 
また、海外進出や新産業への参入に伴って、法務リスクやM&Aへの対応が必要になってきています。外部ではなく内部に弁護士を置くことで、様々な事態に素早く対処することができるのです。
 

企業内弁護士は今後も活躍

とは言っても、まだ企業内弁護士の数は全体の4%程度です。しかし、今後人口が減り法曹人口が増える傾向が続けば、企業内弁護士の数はさらに増えていくでしょう。
 
大手事務所から企業内弁護士に転職する人も増えており、もはや年収が低いというイメージは消えつつあります。人口が減っても、フィンテック、AI、遠隔医療、バイオ、宇宙産業等、様々な新産業が生まれる21世紀では、法律のスペシャリストが活躍する余地はまだまだあるのではないでしょうか。
 
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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