働く女性が抱える悩みは?現状の問題と女性のキャリアアップについて

現代の日本では働く女性が以前と比べて増えてきています。男女が分け隔てなく働ける世の中になっていくことはいい傾向ではありますが、一方で新しい課題が出てきています。育児と仕事のバランスや男女間での待遇の格差、働く女性のキャリアアップなど、働くことにおいてさまざまな観点での課題について考えることが必要です。
このような働く女性の現状や課題を正しく把握し、今後どのように女性のキャリアアップを推進して行けばよいか、そのヒントを探っていきましょう。

 

働く女性の現状

現代の働く女性を取り巻く環境はどんどん変化していっています。日本だけでなく世界に視野を広げると、その状況の違いや日本的な働く女性を取り巻く環境の特徴などが浮き彫りになってくるでしょう。
「育児と子育てのバランスが取れない」「同じ仕事内容でも男性より給料が低い」など、さまざまな課題が出てくるのはどういった要因があるのでしょうか。各国の取組と日本の問題を整理しながら、女性の働きやすさについて考えて見ましょう。

  

女性の働きやすさに関する各国の取組

まずは女性が働きやすい環境をつくるために、どんな国がどのような施策を打ったり仕組みを作ったりしたのか、各国の事例をみていきましょう。それぞれの国で特色があり、日本での今後の取組の参考になる部分が多いにあります。
ワークライフバランスが最も理想的な状態であると言われるスウェーデンでは、育休が法律で制定されており、育休期間中は給与の100%が支給される仕組みを整えています。その成果もあって女性の社会進出率は世界1位(日本は57医)という状況です。
また、フランスでは国策で男女平等を推し進めており、スウェーデンを上回るほどの取組をしています。年間の法定有給が5週間取得できたり、1年間の育児休暇が取得できたりという施策のおかげで女性の就業率は84%を誇っています。

  

働く女性に関する日本の問題

女性の働きやすさに関して特徴的な取組をしている国のことが分かったら、いよいよ日本の状況について確認してみましょう。
日本は諸外国に比べて女性の働きやすさに関しては30年ほと出遅れているとも言われています。つまり先進的な取組を実施しているスウェーデンやフランスの30年前の状態で、今の日本の女性たちは働いているということです。
具体的にはどのような問題があるのでしょうか?女性の「就業率」と「管理職比率」という2つの観点から深堀りしてみましょう。

   

女性の就業率

厚生労働省が発表した「働く女性の状況」のデータによると、令和元年の女性の就業者数は2,992万人で、女性の就業率(15際以上人口に占める就業者の割合)は52.2%となっています。前年に比べると0.8ポイント上昇しており、少しずつ働く女性が増えてきているとも言えますが、前述したスウェーデンやフランスといった先進的な取組を実施している各国は女性の就業率が80%以上です。就業率という観点からも日本は働く女性に関して問題を抱えていることが分かります。
スウェーデンやフランスのような施策を真似すればいいというわけではありませんが、日本人の国民性なども鑑みた上でこの現状を打破するような動きをする必要があります。また、国だけでなく各企業がこのような現状を把握し、雇用条件の見直しや環境の整備に取り組んでいくのも重要です。

   

女性の管理職比率

日本の現状を把握する上でもうひとつ重要な指標となるのが、女性の管理職比率です。2019年の帝国データバンクの調査によると日本の管理職における女性の割合は7.8%であり、前年度より僅かに上昇はしているものの依然として低水準であると言えます。
このような状況は国際労働機関(ILO)からも指摘を受けており、「伝統的な男女の規範が果たす強い役割分担が、女性の上位職就任の阻害要因となっている」「会社組織の伝統、就職活動や昇進制度に関連し、改善すべき構造的な課題がある」といった社会構造・企業構造を問題視されています。また、管理職比率に関しても世界各国と比べてみると大きく遅れをとっており、主要7カ国(G7)でも最下位でした。2018年のデータですが、世界の平均が27.1%であるのに対して日本は12%に留まっており、掲げていた目標に大きく及んでいないというのが現状です。
日本がこういった問題を抱えている背景には「家事育児の女性負担が大きい」「年功序列が前提の昇進制度」などがあり、こちらに関しても国と民間企業の両面からの対策が必要だと言えます。

 

女性のキャリアについて

現代の日本社会が働く女性に関してさまざまな問題を抱えている状況で、女性はどのように自身のキャリアを築いていけばよいのでしょうか。男女平等が叫ばれる昨今ですが、実際女性にとってのキャリアの捉え方と男性のそれは異なる場合が多いはずです。
これからの女性の社会進出を考えるヒントとして、働く女性の本音と女性の働きやすさについてみていきましょう。

  

働く女性の本音:管理職を希望する女性は〇〇%

前述した通り、日本企業の管理職における女性の割合は世界的に見ても低い水準になっています。今後は女性の管理職登用を進めていくことが課題になりますが、実際に働く女性たちは管理職に就くことをどのように思っているのでしょうか。
ソニー生命保険が調査した「女性の活躍に関する意識調査2020」によると、管理職への打診があれば受けてみたいかどうか聞いたところ、『そう思う』と回答したのは18.7%と2割に満たないという結果となりました。管理職になることに対して当事者である働く女性たちはあまり積極的ではない人が多いようです。回答した理由としては、「責任が重くなるから」「ストレスが増えそうだから」というものが多く、家庭でも負担が大きい女性にとっては仕事面でこれ以上プレッシャーやストレスに繋がるようなことは出来るだけ避けたいと感じているようです。
このような現状から、本当に女性にとって働きやすい環境とはどのようなものなのかを考え直す必要があるでしょう。

  

女性の働きやすさとは?

女性にとっての働きやすさとは一体どのようなものなのでしょうか。
女性が働く上で男性と異なる点としては、「結婚」「出産」「育児」というライフスタイルの大きな変化に影響されることだと言えます。これが女性にとって働きづらい要因となっていることが多いのであれば、会社や国の制度だけでなく、本人やパートナーの意識も改革する必要があるでしょう。
まずはパートナーである男性は家事や育児を分担して、共に歩んでいくという意識を持つことが重要です。そして、女性側も「女性だから…」と自身を下げて考えるのではなく、主体的に自身のキャリアについて考えたり、才能を発揮しながら働いていくという意識が必要でしょう。その上で、会社の制度面の改正や女性の社会進出を推進する法案の制定されるなどして環境整備が進んでいくことで、女性にとっての本当の働きやすさが実現するはずです。

 

まとめ

以前と比べて徐々に女性も子育てや家事と両立しながら自身でキャリアを選択し、社会進出が進んできています。とはいえ、今回の記事で紹介したように、まだまだ働く女性が抱える悩みは多く、解決していくには社会全体の意識改革が必要です。
時代はどんどん変化を遂げていくため、その時々で細かい対応策や環境づくりは変わってくるはずですが、国や会社はもちろんのこと、当人や周囲の人たちの少しの意識の変化が大きな後押しになることでしょう。
今回の記事をきっかけに、今一度女性の働きやすさについて考えてみてください!