キャリア採用と中途採用の違いは?転職活動のときに知っておきたいポイント

転職活動で多くの求人情報を閲覧している人の中には、「キャリア採用」や「中途採用」という言葉を見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
どちらも、新卒ではない途中入社の人材を募集するものなのですが、キャリア採用と中途採用の違いがわからないという人も多いでしょう。
きちんと採用条件を理解せずに転職活動を続けていると、ミスマッチの連続で遠回りをしてしまうことになりかねません。
そこで本記事では、キャリア採用と中途採用の違いを詳しく解説した上で、キャリア採用が積極的に行われる職種を紹介していきます。しっかり確認し、効率的に転職活動を進めましょう。

キャリア採用と中途採用の違いとは?


人材採用のパターンは、主に「新卒」「中途」「キャリア」の3つに分けられます。新卒採用は、その年に学校を卒業する“新規卒業者”を募集するものです。残りの中途採用とキャリア採用は、どちらも“新卒以外”を募集するものですが、わざわざ区別するからには、明確な理由があるはずですね。
簡単に説明すれば、キャリア採用は「即戦力採用」、中途採用は「未経験でも社会人経験がある人を採用」ということです。
それぞれについて、詳しく確認していきましょう。
 

キャリア採用とは

「キャリア採用」とは、「同業種・同職種での就労経験があり、一定基準以上の経験や実績を積んだ人」を採用するものです。つまり、「即戦力となる人材」に絞った採用、というわけです。
実は、キャリア採用は最近になって急増してきた採用パターンです。背景には、次のような要因が重なっていると考えられています。
①終身雇用制度の崩壊
 ⇒転職が当たり前になりつつあり、優秀な人材が市場に増えてきた
②働き方改革の推進
 ⇒労働者派遣法改正をきっかけに、多様な働き方が認知されるようになってきた
③少子高齢化による労働人口の減少
 ⇒経験を積んだ世代の大量退職を補うために、新卒者を育成するより即戦力となるキャリア採用者を迅速に補充する企業が増えてきた
④IT技術の発展
 ⇒自社では育成できない専門スキルを持った人材の必要性が高まってきた
企業から見れば、専門性やスキルが必要なポジションに、育成の必要がない即戦力を補充できることがわかります。そのため、キャリア採用では「◯◯ができ、◯◯の経験が〇年以上」といった明確な採用条件が提示されているケースがほとんどです。
 

中途採用とは

「中途採用」とは、新卒者以外の人を採用するもので、これまではキャリア採用もここに含まれていました。
前述したように、明確に求める条件を提示したものを「キャリア採用」、それ以外を「中途採用」と表すことで、社会人経験があれば同業種・同職種が未経験であっても柔軟に対応する、という企業側の意思を示しています。
少し前までは、「新卒」「第二新卒」「中途」と分けられることが多かった採用パターンですが、最近は、第二新卒も中途採用に含み、中途採用であれば「キャリア採用かそれ以外か」という捉え方に変わってきているようです。

キャリア採用が積極的に行われる職種


キャリア採用は、どの職種においても行われるものですが、特に高い専門性が必要な職種で急速な広まりを見せています。中途採用に比べて待遇や報酬がいいケースが多いため、自分のこれまでのキャリアが該当するという人は、キャリア採用も視野に入れた転職活動を検討してみてはいかがでしょうか。
 

営業企画

「営業企画」とは、“売り込む仕組みを作る”部門です。成果が営業成績に表れるポジションで、経営をも左右すると考えられています。
マーケティングから始まり、デジタルサイネージやIoT、Web広告といった進化するアドテクノロジーへの対応、売れるためのツールの検討や導入など、未経験者ではどこから手をつければいいのかもわからない業務内容です。
採用の場面では、営業の経験に加えて企画の経験が問われるケースが多いようです。マーケティング知識があればなお喜ばれるでしょう。
多くの企業がスキルを身につけた経営企画経験者を待望しているため、好条件のキャリア採用募集が多い傾向にあります。
 

マーケター

「マーケター」は、ターゲットユーザーのニーズを分析し、商品やサービスを売るための戦略を立てる仕事です。先に紹介した営業企画が“売り込む仕組みを作る”部門だとすれば、マーケターは商品が“売れる仕組みを作る”部門です。よって、営業企画同様に経営を左右すると考えられ、即戦力が求められるのは当然のことでしょう。
近年は、中でもWebマーケターのニーズが急上昇しています。膨大なデジタルデータを分析するため、より高度なIT専門知識が必要とされるWebマーケターのキャリア採用求人数は、今後もさらに増えると見込まれています。
 

財務

「財務」とは、企業に今あるお金をさまざまな手段を駆使して増やす部門で、まさに企業経営に直結する仕事です。
特に、事業拡大期には財務の資金調達スキルが重要で、未経験者が対応できる業務は少ないといわれています。経験とスキルがものをいう場面であることから、事業拡大期に財務のキャリア採用募集を行う企業が多く見られます。
 

広報

「広報」は、「PR」とも呼ばれる“人々(Public)と関係性(Relation)を構築する”仕事です。企業はもちろんのこと、NPOや学校といった幅広い組織にも設けられています。
主に、世の中の人に自社や自社商品について広くいいイメージを持ってもらうための活動を行います。前向きな情報を発信するばかりでなく、時には厳しい問い合わせへの対応も担うことから、企業のブランドイメージを左右する重要なポジションであることは間違いありません。
特に、近年企業が危惧しているのは、SNSへの危機管理対応でしょう。炎上事件のように、予期せぬところからSNSを通してイメージダウンが一気に広まる事例が増加しており、広報に求められる対応力も多角化しています。このことからも、今後さらにキャリア採用が活発化するといわれている分野です。
 

人事

企業の財産ともいえる“人”を扱う「人事」では、自社社員の採用や教育から評価に至るまでを担うデリケートな部門であるため、非常に高い対応力が求められるポジションです。
企業の規模によっては、給与計算や労務も任されたり、秘書や広報的な業務も含まれたりする場合もあるため、企業規模が小さい企業ほど、総合力の高いキャリア人材を求める傾向にあります。
 

コンサルタント

「コンサルタント」とは、クライアント(企業)の相談に乗ったり、適切なアドバイスやサポートを行ったりする職業です。
ひとくくりにコンサルタントといっても、経営や金融、医療といった業種別に細かくわかれており、業務内容も異なります。
しかし、どの業種にしても共通して必要なことは、“その業種に極めて精通していること”です。クライアントにアドバイスやサポートを行うわけですから、当然のことといえますね。
コンサルタントはフリーで活動する人も多いのが特徴ですが、多くの業種では、コンサルタントとクライアントの架け橋である「コンサルティングファーム」が存在しており、コンサルティングファームが積極的にキャリア採用を行っています。

 

システムエンジニア

「システムエンジニア」は専門職ですので、キャリア採用が非常に活発な職種です。
そもそも、IT業界全体が専門性の高い分野であることから、キャリア採用に積極的だといわれています。
システムやアプリの開発では、企業ごとに使用言語や要求ポイントが異なります。ポイントを誤ると、企業に多大な損失が発生しかねません。ましてや、システムが導入されてから発覚した場合は取り返しのつかない事態になることも予想されるとなると、キャリア採用率が高いのもうなずけますね。

まとめ


あらかじめ企業が求めているのはどのような人材かを理解できると、転職活動が効率的に進められます。
企業がどのような人材を求めているかは、採用パターンからも伺い知ることが可能です。
「キャリア採用」と書かれている求人では、企業は明確に欲しい人材の条件を提示していることがほとんどですので、詳細をよく確認しながら転職活動を進めてくださいね。