マイクロソフトの経営戦略 「Windowsに依存せず」

はじめに

2016年11月29日(火)の日本経済新聞朝刊で、Microsoft Corporation(以下、米マイクロソフト)が人間中心の人口知能(AI)の開発を目指すという記事が出ました。米マイクロソフトは人工知能の開発レースで先頭集団の一角を占めていますが、今年の夏にAIについて人間の「置き換え」ではなく「能力の拡張」を目指す立場を鮮明にして、開発企業としての説明責任の明確化やプライバシーの保護、偏見の排除などを掲げました。
 
今日はそんな米マイクロソフトとはどういった企業なのか、今何をしているのかについて書こうと思います。
 

マイクロソフトの解説

マイクロソフトとは?

米マイクロソフトは、言わずと知れた情報・通信系の大企業であり、時価総額は世界でApple、Alphabet(Googleを傘下に持つ)に次ぐ3位で4500億ドルを超えます。
 

シェア90%のWindows

そんな米マイクロソフトの有名な商品といえば、最初にあがるのが「Windows」ではないでしょうか。
「Windows」はパソコンの一種と間違えられがちですが、これはパソコンを指す言葉ではなく、OS(オペレーティングシステム)というソフトウェアのことです。メモリやディスク、周辺機器などのハードウェアの管理をしたり、ユーザーがパソコンを操作するためのプログラムを提供したりする役割を果たしています。
このOSでのマイクロソフトのシェアはすさまじく2016年1月から6月のデータでみると90.0%もあります。

出所:Net Applications
データは2016年1月から6月まで
(https://www.netmarketshare.com/)
 

マイクロソフト、Windowsに依存しない経営戦略

マイクロソフトには他にも大ヒットしている「Surface」や「Xbox」などのハードウェアや「Office」等のソフトウェアがありますが、やはり「Windows」が代表的な商品だと言えます。
 
しかし、2002年に独占禁止法の和解が司法省や米州となされて以降、徐々にWindows依存は減っています。それが次のマイクロソフトの収入推移を示したグラフに表れています。

参考データ:Microsoft Annual Reportsより作成
[https://www.microsoft.com/en-us/Investor/annual-reports.aspx]
 
全体の収入は右肩上がりですが、Windowsの収入は2013年頃より下降気味となっております。全体の収入においてWindowsが占める割合は明らかに低下しています。補足として、2016年度の急激な下降は、Windows 10の収入繰延のためで、その額は6.6億ドルに達するとのことです。
 
Windows売上割合の減少傾向は驚きではありません。実際、2014年にマイクロソフトのCEOに就任したナデラ氏は「自社のOSに依存しすぎないようにする」と明言しています。
 

マイクロソフト、Apple製品でもOfficeソフト利用可能に

ナデラ氏はWindows以外のOSを敵対視せず、マイクロソフトのソフトウェアやクラウドサービスを利用できるプラットフォームとしてとらえています。iPad向けのOfficeアプリを作るなどして、競合他社との協力を進めています。
 

マイクロソフト、AI研究でGoogleなどIT大手と共同

また、AIについても2016年9月にGoogle、Facebookなどと共同で社会的な課題を共同で研究する新団体を立ち上げました。
 
このように、他社と協力したり、違う領域に力を入れたりすることで、マイクロソフト社の「Windows」依存を減らしていっています。
 

マイクロソフトのCFO紹介

米マイクロソフトの現CFOはエイミー・フッド氏です。同氏は2013年5月8日に任命され、同日に即就任、米マイクロソフト初の女性CFOになりました。
 
フッド氏は米ゴールドマン・サックス出身で、2002年にマイクロソフトに入社し、サーバー向けソフトウェア部門で複数の役職に就いた後、業務用ソフト「Office」などを手掛けるビジネス部門に異動。そこで戦略・事業開発チームを統率した後その部門でのCFOに就任。「Skype」などの買収に尽力されたのち米マイクロソフト全体のCFOになりました。
 

マイクロソフトの今後の戦略

米マイクロソフトはこれからもナディアCEOのもと「自社のOSに固執しない」方向性で行くと思われます。他社と協力しつつ、様々な領域で自社のビジネスの拡大を進めていく。やはり注目なのはAIです。世界トップクラスの大企業が共同で作り上げていくAIの未来がどういうものなのか、米マイクロソフトの掲げる「人間中心のAI」がどのように実現されていくか、とても楽しみですね。
 
 
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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