三菱重工、ドメインを3つに再編 事業再編で経営効率化へ 何が変わるのか?

三菱重工、事業再編で経営効率化へ

2016年11月1日の日経新聞朝刊で、三菱重工業株式会社(以下、三菱重工)が現在ある事業部門を再編して海外の重工業企業に対抗する、と報道がされました。現在多数存在している事業を再構築して経営を効率化させる事業再編。CFOとして組織再編の知識は必要不可欠であり、力量が試される局面です。今回は、この事業再編を決定した三菱重工について分析していきます。
 

三菱重工の事業ドメイン

①エネルギー・環境ドメイン
この領域には、原子力事業火力発電システム事業再生エネルギー事業、船のエンジンや甲板機械を製造する舶用機械・エンジン事業、様々なプラントの建設や高速鉄道などの大規模インフラプロジェクトに携わる化学プラント・社会インフラ事業があります。
 
②交通・輸送ドメイン
この領域には、船の製造、設計などを行う船舶・海洋事業、様々な陸上交通システムを提供する交通システム事業、国産ジェット旅客機「MRJ」で話題になった航空機事業があります。
 
③機械・設備システムドメイン
この領域にはディーゼルエンジンなどを製造しているエンジン事業、自動車部品を製造している自動車部品事業、オフィスビルなどの空調機や冷凍機を製造している冷熱事業、ごみ処理施設や立体駐車場などを製造する機械設備その他事業があります。
 
④防衛・宇宙ドメイン
この領域には戦車や戦艦、戦闘機、ミサイルなどを製造している防衛事業、ロケットやそのエンジン、その他のロケットの電子部品などを製造する宇宙事業があります。
 
このように、現在三菱重工は大きくわけて4つの事業領域で事業を展開しており、この4つの事業ドメインに属する形で、多数の子会社が連なっています。例えば、②交通・輸送ドメインの航空機事業には、三菱航空機株式会社が属しています。
 

三菱重工、事業再編後の事業ドメイン

では、三菱重工が今回行なった事業再編で組織はどのように変わるのでしょうか。
 
現在、三菱重工は上記のように4つの事業ドメインで活動していますが、今回の事業再編でこの4つの事業ドメインを以下の通り3つの事業ドメインに再編するようです。
 
①パワー
②インダストリー&環境社会システム
③航空・防衛・宇宙
 
詳細としては、エネルギー・環境ドメインの化学プラント系の事業を②インダストリー&環境社会システムへ、それ以外を①パワーへ引き継ぎます。また交通輸送ドメインの航空機エンジンを①パワーへ、船舶のエンジニアリングを②インダストリー&環境社会システムへ、その他MRJ事業などを③航空・防衛・宇宙へ引き継ぎ、機械・設備システムドメインのコンプレッサ事業を①パワーへ、それ以外を②インダストリー&環境社会システムへ引き継ぎます。防衛・宇宙ドメインはそのまま③航空・防衛・宇宙へ引き継ぎます。
 
原子力事業やMRJを製造する航空機事業など、多くの懸念を抱えている三菱重工。三菱重工は事業再編を行うことで、現在4つの事業ドメインで分散していた技術や資源を集約し、経営の効率性を高めていくことが狙いなようです。
 

三菱重工のCFO

三菱重工は本社機能としてCFOを設置しています。以下は、三菱重工のCFO小口 正範(こぐち まさのり)氏の略歴です。
 
1978年4月 三菱重工入社
2008年4月 同社資金部長
2012年4月 同社経理部長
2013年4月 同社経理総括部長 兼 ニチユ三菱フォークリフト株式会社監査役
2014年1月 同社社長室企画部長 兼 ニチユ三菱フォークリフト株式会社監査役
2014年4月 同社執行役員、グループ戦略推進室長兼戦略企画部長、ニチユ三菱フォークリフト株式会社監査役
2015年6月 同社取締役、常務執行役員、CFO、グループ戦略推進室長、ニチユ三菱フォークリフト株式会社監査役
2016年3月 同社取締役、常務執行役員、CFO、グループ戦略推進室長 兼 グローバル財務部長
2016年10月 同社取締役、常務執行役員、CFO、グループ戦略推進室長
 

三菱重工の事業再編ケースとCFOとして必要な知識

三菱重工は、4つの事業ドメインを3つに集約し経営の効率化を狙います。このような事業再編には、組織とそれぞれの事業を再構築する力、会計、税務、法務などの専門的な知識などが必要になります。そしてCFOを目指すのであればこのような知識が必要不可欠になってきます。
 
重工産業の一翼を担う大企業、三菱重工。一般的な消費者には見えないところで、日本の経済発展を支えています。これからの三菱重工の動きを見守っていきたいと思います。
 
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
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