DeNA、自動車関連事業に積極姿勢
2017年9月4日、株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)が、AIを活用したタクシー配車アプリの実用実験を2017年9月半ばから10月末まで横浜市内の一部で行うことを発表しました。神奈川県内での実用化は2018年1月以降の予定であり、また、神奈川県以外の地域への導入も順次行われるそうです。
(https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=11&ba=1&n_cid=DSMMAA13&ng=DGXLRSP455949_U7A900C1000000&scode=2432)
モバイルゲームや球団運営など、これまでもDeNAは様々な事業を手掛けてきましたが、近年では自動車関連の事業に積極的に取り組んでいます。その背景を探ってみました。
DeNAの事業内容
自動車関連事業の説明に入る前に、DeNAの事業内容を見てみましょう。DeNAの事業は大きく4つのセグメントに分類されます。
- ゲーム事業
- EC事業
- スポーツ事業
- 新規事業・その他
DeNAのゲーム事業
ゲーム事業は、モバイル向けゲームに関する事業です。DeNAの手掛ける主要サービスとしては、1,000種類以上のゲームが楽しめるプラットフォームである「Mobage(モバゲー)」が挙げられます。DeNAは2006年からモバイル端末向けにゲームを提供しており、ヒット作を生み出すノウハウを蓄積してきました。DeNA自社だけでなく、他社との協業で様々なゲームを開発・運営しています。
DeNAのEC事業
EC事業は、eコマースに関連する事業です。DeNAの代表的なサービスとしては、国内外のツアーや格安航空券、ホテルの空席照会や予約・決済ができる「DeNAトラベル」や、オークションサイトの「モバオク」が挙げられます。DeNAは他にも、オンライン事業者向けの決済代行サービスも手掛けています。
DeNAのスポーツ事業
スポーツ事業は、スポーツに関連する事業です。DeNAは、横浜DeNAベイスターズの球団運営や横浜スタジアムの運営を行うほか、プロの陸上選手の育成や地域社会へのスポーツの普及に取り組む「横浜DeNAランニングクラブ」の運営も行っています。
DeNAの新規事業・その他
新規事業・その他は、上記3つ以外のDeNAが手掛ける事業です。例えば、遺伝子検査サービス「MYCODE(マイコード)」を擁するヘルスケア事業や、記事盗用などでサービス停止に追い込まれたキュレーションプラットホーム事業などがあります。自動車関連事業も、オートモーティブ事業という名称でこのセグメントに属しています。
DeNAの自動車関連事業に関する沿革
2015年5月 ZMPと合弁会社ロボットタクシーを設立
2015年9月 個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」を開始
2016年7月 仏EasyMile社と業務提携し、私有地における無人運転バスの交通システムを日本初導入
2016年7月 ヤマト運輸と自動運転を活用した次世代物流サービスの開発に向けた「ロボネコヤマト」プロジェクトを始動
2016年11月 NTTドコモと自動運転車両の遠隔管制における5G活用に向けた共同実証実験に合意
2017年1月 日産自動車の自動運転車両を活用した新たな交通サービスプラットフォームの開発を決定
(http://dena.com/jp/company/history.html)
DeNAは2015年以降、多数の企業と提携し、無人運転や自動運転に関する事業を次々に手掛けていることが分かります。
自動車関連事業の具体的なサービス
DeNAが行っている自動車関連事業には、以下のようなものがあります。
・Anyca(エニカ)
スマートフォンを利用したカーシェアリングサービス
・ロボットタクシー
自動運転車両を使った新しい交通サービス
・Robot Shuttle(ロボットシャトル)
最寄りの交通ハブから目的地までの短距離を無人運転バスで結ぶ交通システム
・ロボネコヤマト
車内に保管ボックスを設置した専用EV車両を使用し、AIによる配送ルートの最適化を行う次世代物流サービス
・タクベル
AI活⽤の需要予測システムを導⼊した、タクシー配車アプリ
DeNA、自動車関連事業へ ゲーム事業への依存が背景に
両グラフとも、有価証券報告書を基に筆者作成
(http://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2529989&code=2432&ln=ja&disp=simple)
(http://v3.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2364739&code=2432&ln=ja&disp=simple)
DeNAが自動車関連事業を次々と手掛けている背景には、売上高の大半をゲーム事業が占めているという構造にあります。DeNAの事業別売上高構成比のグラフを見ると、全体の7割の売上高がゲーム事業のものであることがわかり、2017年3月期は前年度と比べてゲーム事業の売上高が減少しています。もしゲーム事業の売上高が激減すれば、DeNA全体の売上高も大きく落ち込んでしまいます。
DeNAがこのリスクを脱するには、ゲーム事業以外の事業を大きく育て、収益源とする必要があります。自動車関連事業がDeNAの新たな柱となるか、DeNAの今後の動向に注目です。
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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