強すぎるアマゾン、独自の物流網で自立 配送危機を脱出へ

アマゾンの配送クライシス

ネット通販大手のAmazon.com,Incの日本法人、アマゾンジャパン合同会社(以下、アマゾン)ではこれまで、販売した商品の物流の多くをヤマト運輸株式会社(以下、ヤマト)の宅配便に委託していました。ヤマト側もアマゾンと提携しての配送を行うことにより収益を安定させてきましたが、アマゾンの当日配送などの多種多様なサービスと、その販売量の多さでヤマトにかかる負担は大きくなってきました。
 
その結果、国内に慢性的に広がっていた人手不足の波も受けて、ヤマトの配送員1人あたりが1日に配送しなければならない量は飽和状態になっていました。さらに、配送した荷物の受取人が不在であることにより後日改めて配送に行かなければならない再配達率が約2割でした。高い再配達率が配送員の負担に拍車をかけた結果、先日の記事にもありました通り、ヤマトはアマゾンの当日配送からの撤退を発表しました。
 

アマゾンの打つ手「プライムナウ」

この逆風に対してアマゾンが取る戦略は、自社専用の物流網を使い短時間で届けられる商品ラインナップをさらに増やすというものです。
 
ドラッグストアのココカラファイン、マツモトキヨシ及び百貨店の三越日本橋本店と提携し、それぞれの店舗にある商品をネット販売するサービスを、提携先の店舗が近くにある東京23区、神奈川県、千葉県の一部地域で始めました。
 
これは、「プライムナウ」と呼ばれるアマゾンの有料会員向けのサービスで、利用者はプライムナウの利用の他にも映画を見たりできるアマゾン有料会員「アマゾンプライム」の年会費3,900円を支払い、専用のアプリを使って注文するという仕組みです。(2,500円以上の買い物で利用でき、年会費のほかにも最大1,430円の送料がかかりますが、条件によっては無料になります。)
 
通常配送は、今まで通りヤマトの宅配便で配送を行いますが、プライムナウの場合は物流会社と契約をしたアマゾンの専用車を使用します
 
これまでは、専用倉庫にあるアマゾンが仕入れた商品を主にヤマトなど物流会社が配達していましたが、前述したドラッグストアや、百貨店などの提携先の店舗にアマゾンの専用車が立ち寄って商品を受け取り購入者に届けるとし、更に販売チャネルを増やすことができます。
 
これにより、倉庫を確保しにくい都心部にも、倉庫を持たず提携店舗からの配送が可能になっただけではなく、商品ラインナップを5,000種類増やし、在庫切れのリスクまでを減らすことができるため、多面的な事業の効率化が図られます。
 

アマゾンのまとめ

アマゾンは販売規模、サービスを拡大したことによって、ヤマト運輸に当日配送から撤退されてしまい、配送料値上げの要求までされてしまいました。
 
しかし、そこでアマゾンの強みである当日配送を辞めるのではなく、自社の物流網と百貨店などの店舗との提携によってさらにサービスの質を向上させた意思決定は競合他社に簡単に真似できるものではなく、顧客満足度もさらに向上させるものであると感じました。
 
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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