TUNE-UP by another life. 「第14回:「環境問題」を仕事にする。どんなアプローチがある?」

これからの時代を、自分が生きたいように生き抜くためのコラム「TUNE-UP」。人生経験のシェアリングサービス「another life.」が提供する様々な人生のパーツを組み立て、自分らしいキャリアや働き方を考えるキッカケを提供します。
 
第14回のテーマは、「「環境問題」を仕事にする。どんなアプローチがある?」。
地球規模で向き合う必要のある環境問題。個人的に課題に感じていても、なかなかアプローチしにくいのではないのでしょうか。
 
・興味がある程度。何から始めていいかわからない
・環境問題の中でも色んな分野があるけれど自分のやりたいことは見つけられる?
・専門的な知識がなくても仕事にできる?
 
このような不安や疑問から一歩踏み出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。どのように仕事で環境問題に携われるか、仕事に結び付けられるかをanother life.の人生インタビューから、実際の経験をもとに考えていきます。
 

環境への意識を仕事につなげようと思ったきっかけ

「本当の価値を求めて」
田所詩子さん(NPO・ソーシャルビジネス向けコンサルティング)

 
幼い頃、自由に思考し続ける父の元で、肉を食べず、山奥に引っ越して大自然の中で暮らした田所さん。「お金や名声といった目に見える価値ではないところに『本当の価値』がある」という考え方を自然と持つようになりました。
 
中学生の頃に行った地球温暖化に関する講演会で、「これは社会の一大事だ!」と心に響くものがあり、環境問題に興味を持ち始めます。最低限の単位を取れば好きなことを勉強できる単位制の高校に進学し、環境問題の中でも食糧問題への興味を追求していきました。
 
食肉を生産するためには、その何倍もの穀物を消費していることを知り、「仮に人が肉を食べることをやめたら食糧問題は解決するのか?」という問いを立て、「世界ベジタリアン化計画」というなんとも暑苦しい卒業レポートを書いたりしました。勢い余って、そのレポートを師事したいと考えていた環境経済学の第一人者の教授にメールで送ったら、「まずは受験頑張ってください」とお返事をもらえたのには驚きましたね。
 
その教授のいる京都大学に進学し、希望のゼミに入り環境経済学を学ぶ中で、「Sustainability(持続可能性)」という人生のキーワードが明確になってきました。 同時に、持続可能な社会に繋がる仕事をするため、シンクタンクに入りたいと考えるようになりました。
(another life.記事より)
 
田所さんは、幼い頃からの環境への興味が高校、大学をへて具体的になり、仕事につなげたいという思いにつながったケースでした。
 
「様々な国に行って見えて来た世界の構造」
末吉里花さん(エシカル協会代表理事)

 
大学時代、ミスコンでのグランプリの獲得をきっかけに声をかけてくれた事務所に所属した末吉さん。フリーアナウンサーとして、興味のあった映画番組をはじめとする色々な仕事に携わります。あるときオーディションに合格し、TBS系『日立 世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターを務めることになります。
 
ミステリーハンターとして多くの国に行く中で、それぞれの地で暮らす人から環境問題に関する話を聞き、問題を目の当たりにする機会もありました。あるとき、地球温暖化で氷河が溶けてしまうと発表されている中で、実際にどのくらい氷河が溶けているのかを見るロケでキリマンジャロに行きます。
 
登頂前に、キリマンジャロの麓にある、標高1900mの小学校に立ち寄りました。そこで目にしたのは子どもたちが一本一本植林している姿でした。「どうかあの氷河が大きくなりますように」と祈りながら植えていました。その様子を見てすごくびっくりしました。こんな人たちがいるんだ。彼らに影響を与えているのは私たち先進国なんだ、と。キリマンジャロの氷河の雪解け水は、その地域に住む人々にとって一部は生活用水となるので、氷河が小さくなることは彼らにとって死活問題となっていました。
 
頂上で、1割から2割程度しか残されていない氷河を目の当たりにして、私は決意しました。現状を「伝えていきたい」、そしてできることなら「解決に導ける活動をしたい。」そう強く思ったんです。
(another life.記事より)
 
一部の利益や権力のために、美しい自然や立場の弱い人が犠牲になっている構造を顕著に感じた末吉さん。帰国すると、地元でゴミ拾いをする、環境問題に取り組むNGOのシンポジウムを聞きに行くなど、すぐに行動を始めました。
 

一歩ずつ環境問題を仕事に

「NPOコンサルタントって面白そうじゃない?」
田所詩子さん(NPO・ソーシャルビジネス向けコンサルティング)
 
シンクタンクは枠が少ないためコンサルティングファームへの就職も視野に入れていた田所さん。ボストン・コンサルティング・グループの説明会で社長が世界食糧計画をサポートした時の事例を涙を流しながら話す姿を見て感銘を受けました。持続可能な社会に直接つながる仕事をする機会はほとんどないことを覚悟しつつ就職します。
 
実際にそうであったものスキルが身につく実感があったため、すぐに辞めようとは思いませんでした。しかし、自分がやりたかったことと、この仕事は違うという感覚がじわじわ積み重なっていきます。
 
「Happiness is when what you think, what you say, and what you do are in harmony.」というガンジーの言葉は、すごくしっくりきたものでした。まさに今の私は、思考や言動と、行動が一致していないから悩んでいるんだなと思ったんです。
 
「持続可能な社会」の最小単位は自分自身。自分を持続させていくために、まずは時間の使い方を価値観と一致させよう。そう決め、次のことなどは一切考えずに、6年間働いた愛着ある会社を辞めることにしました。
(another life.記事より)
 
同じ時期に、親友からNPOコンサルタントって面白そう、と一緒にやらないかと誘われます。発想自体が面白いだけでなく、持続可能な社会にダイレクトにつながる仕事だと感じ、即答でやることを決めます。そして2015年にNPO・ソーシャルビジネス向けに戦略コンサルティングサービスを提供する会社を立ち上げました。
 
「興味を持ったところから行動にうつす」
末吉里花さん(エシカル協会代表理事)
 
すぐに活動を始めた末吉さん。しかし環境問題というテーマが大きく、個人で取り組む意味を感じられず悶々としていました。そんな時ファッションブランドをきっかけにフェアトレードに初めて出会います。実際に創業者に会いに行き、実行力があるパワフルな創業者と、ファッションという自分の好きなものを通して環境や世界を変えていけるフェアトレードに惹かれ、ボランティアとして手伝い始めます。
 
6年ほど経って、自主的に何かしたいと思うようになります。フェアトレードよりに仕事の割合をシフトして、フェアトレードに興味を持って実践する人を増やそうとフェアトレードに関する講座を開催し始めました。翌年には「道徳、倫理上の」という意味の「エシカル」という考え方が日本に入ってきて、より広い視点でフェアトレードを語れるエシカルの活動ににシフトしていきます。
 
講座も軌道に乗って収入も入り、受講者たちのネットワークも大きくなっていく中で、受講生と共に一般社団法人エシカル協会を立ち上げました。
 
エシカルの普及活動の中では批判的な意見を受けることも出てきます。日本ではヨーロッパのように成功できない、お金持ちでないと実現できないという厳しい言葉をもらうたびに活動を続けていくべきなのか悩みます。
 
そんな時にアウトドアブランドのパタゴニアの創設者とお会いする機会がありました。そこで、自分の悩みを相談してみたんです。そしたら、彼はこう答えてくれました。
 
「もしあなたが活動を止めてしまったら、あなたは問題の一部になる。もしあなたが活動をこのまま続けていくのであれば、あなたは解決の一部になれる」「人間っていうのは何を思ったり言ったりするかじゃなくて、何をするかでその価値は決まる。」
 
行動に移さなくては意味はない。彼の言葉にすごく励まされて、背中を押されて、やっぱり「やるしかないよね」って思いましたね。自分が解決の一部として、変化の担い手になっていこうと思いました。
(another life.記事より)
 
エシカルという考え方が当たり前になる世界を目指して、エシカル関連のマーケットや映画の上映会など、多くの人に理解を深めてもらえるよう、いろんな角度からのアプローチを進めています。
 

まずは行動に移してみる

NPOコンサルタントとして、多様な価値観を持つ人々が自然体で持続可能な形でいられる社会を目指す田所さんと、身近にできる活動から始めて一般社団法人を立ち上げた末吉さん。
 
まず、おふたりに共通するのは環境問題にどの部分からアプローチしたいのかはっきりしていることです。田所さんは「持続可能な社会」、末吉さんは「エシカル」。自分の問題意識がぼんやりしている方は、末吉さんのようにゴミ拾いやシンポジウムに参加してみたり、普段の生活と環境問題の接点を見つけてみたりするとなど、身近なところから興味を探っていくと具体的になっていくのではないでしょうか。
 
さらに、おふたりはいろんな場でいろんな人と出会いながら、できることから始めて、仕事として確立させていっています。問題意識を具体的にして、まず自分のできることから行動に移していくことが仕事につながりやすいかもしれません。
 
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執筆者:another life.編集部