生き方を語り合う事業「X-エックス-」Mi6 代表川元氏に聞く、起業とこれからの時代の「生き方」【前編】

 
今回は、株式会社Mi6 代表取締役の川元浩嗣氏にお話を伺いました。株式会社Mi6(以下、Mi6)では、 – 世界を変える第3の繋がり – をコンセプトに、大企業の個人とベンチャー経営者が「生き方」という深層で繋がる月額会員制のコミュニティ「X-エックス-」をメインに展開しています。
 
今回対談させて頂いたMi6代表の川元氏は、大手都市銀行・系列VCで計9年勤務後、独立しMi6を設立されました。大手都市銀行からの独立の背景には、どのようなきっかけと想いがあったのでしょうか? そんなお話を伺いながら、WORK COMPASS編集長の柴田と「生き方」について議論を交わしていただきました。ぜひ、お楽しみください。
 
以下
川元:株式会社Mi6 代表取締役社長 川元 浩嗣
柴田:株式会社mannaka 代表取締役 柴田 雄平
 

生き方を語り合う事業「X-エックス-」

柴田
まずは、川元さんの事業について教えてください。
 
川元
「X-エックス-」という事業をやっています。「X-エックス-」を簡単に一言で言うと、 – 世界を変える第3の繋がり – をコンセプトにした月額会員制のコミュニティです。ベンチャー経営者と大企業の個人が繋がって、仲間になるというものですね。「X-エックス-」のスタイルは、「生き方を語り合う」というもので、入会時には必ず全員1対1で僕が話をさせてもらっていて、その後は共鳴した人がメンバーになって、メンバー同士で「生き方を語り合う」ということをやっています。表面上のビジネスの奥にある、深層面の「生き方」というところで繋がってもらっています。
 
柴田
川元さんが起業したきっかけについて教えてください。
 
川元
起業したのは3年前の2015年の5月で、きっかけはさらにその2年前。妻の妊娠に遡ります。その時、想像したんです。子どもが大きくなって「お父さん、仕事楽しい?」って聞かれた時に「素直にYESって言えないな…」って思ったんですよね。
 
当時、僕は大手都市銀行で法人営業をしていました。もちろん、仕事は一生懸命やっていましたし、やりがいもありました。ただ、「楽しい」というのはそれよりも「もっと深い次元の話だな」と、その時に思ったんです。さらに深掘りして「何のために生きているんだろう?」と自問したときに、「僕の人生は銀行員をやり続けることではない」と思ったところに、今の事業のアイデアがふっと降りてきたんです。
 
アイデアの元になったのは、ちょうど妻が妊娠する半年前の僕とベンチャー企業との初めての出会いでした。僕がある広告代理店を担当していて、ベンチャー企業を買収したいという話があり、話があった翌朝に、その白羽の矢が立った会社にきっかけ作りとして偵察に行きました。それが僕とベンチャー企業との初めての出会いです。
 
今、振り返ると、あの時が僕の「人生の目が覚めた」瞬間だったんですよね。そのオフィスで僕の目に飛び込んできたもの ―そこで生き生きと働く人たちの様子や企業が急成長する際に生まれるプラスの空気―は、それまで触れたことのないようなエネルギーを放ち、僕の脳に大きな衝撃が走りました。
「なんて楽しそうに生きてる人たちがいるんだ!!」
まるで長い眠りから目が覚めたような感覚を覚えました。
そこからベンチャーという生き方にどんどん惹き込まれていき、2年の準備期間を経て起業することになります。
それまでの銀行員時代では感じられなかった衝撃体験でした。当時、サラリーマン6年目か7年目ぐらいだったと思います。
 
柴田
なるほど。そこから一大決心をしたわけなんですね。銀行を辞めるのって、基本的にはヘッドハンティングか、他行に移るのがほとんどだと思っていたので、川元さんは相当なリスクを覚悟したと思うんですが。
 
川元
いや、実は覚悟は全くしていなくて(苦笑)、 本当に心が動いたというだけなんですよね。先ほどお伝えしたように、妻の妊娠が分かった時に事業のアイデアが降りてきて「これ、やりたい!」と心が動き、すぐに仲間を集めて、起業準備を始めました。準備期間は2年くらいで、会社を辞めたのがちょうど31歳の終わり頃でした。それからサービスインしたのが2015年の5月末です。
 
柴田
今のユーザーの数はどれくらいですか?
 
川元
今、ユーザーは100名弱くらいですね。ちなみに「X-エックス-」ではユーザーを「メンバー」と呼んでいます。「プロフェッショナル」と呼んでいる個人と、「ベンチャー経営者」が2対1くらいの割合です。男女比は9対1で男性のほうが多いですね。僕が男性だから男性の方が多いんでしょうか・・・ちょっと悩んでます(笑)。それから、特性として、「生き方を語り合う」という人生の深いところをかなり真剣に熱くやっていて、メンバーの年代は30前後で人生の岐路にいる人が多いというのも特徴ですね。それは、僕自身が起業する前に欲しいサービスを作ったからだと思います。
 
サービスインしてから3年経つんですけど、その過程でもともと大企業にいた人がベンチャー企業に移っていったり、あるいは起業、個人事業主として独立する人が出てきて、どんどんそっち側にシフトしていますね。
 

 

ヒト・モノ・カネの東京一極集中に思うこと

柴田
僕の中で、ここ5年くらいの間に東京では結構「ベンチャー、ベンチャー」って騒がれたなという印象があるんです。資金調達の手段も、例えばクラウドファンディングや、ベンチャーキャピタル、企業のアクセラレーションプログラムとか、いっぱい出てきましたよね。僕としては起業家が増えることはすごく嬉しいことではあるんですけど、ちょっと「東京に一極集中し過ぎているな」という感じがすごくあるんですよね。その点、川元さんはどのように考えていますか?
 
川元
僕も同じような考えを持っていますね。多様性があったほうが面白いので、地方に広がっていったらいいなと思います。統計データとかを見てみないと分からない部分もありますが、あえて個人の感覚でいうと「東京一極集中」というのは、ヒト・モノ・カネが東京に集まっているので、しょうがない流れだとも思いますね。
 
柴田
川元さんご自身は、なぜ、東京で起業したんですか?
 
川元
僕の起業のきっかけが東京のベンチャー企業に出会ったことなので。それからきっと、東京に引力があったからだと思います。これからずっと東京にいるかは分からないですけど。
 
柴田
地元に戻りたいという気持ちはありますか?
 
川元
それはゼロではないですね。地元は大好きですし、太い繋がりもあります。ただ、変わっていったらもっと面白いなと思っているのが大企業で、大企業の中心は東京なので、まだまだ東京にいたい比重は大きいなと思っていますね。
 

 

深層の扉を開いている若手は面白い

柴田
東京の若手についてどう思いますか?
 
川元
一概に捉えるのは難しいですよね。うちでインターンをしてくれている新社会人の子とかもいるので、そういう僕が直接知っている範囲で言うと、ほんの一部、めちゃくちゃ面白い人がいますね。これは僕の持論なのですが、「深層の扉を開いている人」というのは面白いなと思うんです。表層が「ビジネス」、深層が「生き方」のイメージです。扉が開いている人の特徴は、自分の原体験から「本来の生き方」が見えています。
 
柴田
僕が感じているのは、逆を言えばということになるかもしれませんが、あまりそこが見えていない人が多いんじゃないかなと思っているんです。本当は東京にはもっともっと面白い大人がたくさんいるので、そういう大人に会わせてあげて、もっと明るい未来を見せてあげたいと思うんですよね。新社会人はみんな同じように就職して、同じように働きだして、同じように研修を受けて…日本って全然変わってないな、と最近思ってしまうんです。川元さんは銀行という大企業にいて「大企業を変えたい」という考え方を持っているじゃないですか。川元さんたちは若手に対してのきっかけ作りをどのように考えているんですか?
 
川元
僕はね、実はそこは全く考えていないんですよ(笑)それには理由があって、メンバーの条件の一つに社会人経験3年以上というのがあるんですが、その理由が「社会に出て、一つ山を登りきるくらいの経験をしないと、目が覚めないんじゃないか?」と思っているからなんです。
まず社会に出て学ぶものがあって、土台がある程度できてから生き方が変わるということはあると思うんです。加えて、社会で得られる様々な材料があった方が、新しいアイデアも生み出しやすいという側面もある。そういう意味で、X-エックス-の「生き方」という深層で繋がる場に参加する土台として、社会に出て働くという経験はある程度必要だと思うんです。
 
柴田
じゃあ、もし、中学校3年生で社会人経験3年あったら、「X-エックス-」の「メンバー」に入れますか?
 
川元
それはウェルカムですね(笑)
 
 
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今回の対談の前編では、「生き方を語り合う事業「X-エックス-」」「東京一極集中に思うこと」「深層の扉を開いている若手は面白い」について話をしてきました。大手都市銀行での法人営業から、ベンチャー企業との出会いをきっかけに、一念発起し独立された川元氏。「X-エックス-」事業を始められたヒントは、自分が欲しいと思ったサービスだから、とお話いただきました。「生き方」について語り合う事業は、川元氏の創業のきっかけになった、自分自身への問いかけが受け継がれているように感じました。
 
さらに後編は、「未来の子どもたちに向けて」「未来のことを心配して挑戦しないなんて超ナンセンス」「家に帰った瞬間にHPがゼロになる生き方」など、「生き方」という深いテーマについての対談です。後編もぜひご覧ください。
 
 
 
▶︎株式会社Mi6
Mission 使命
Impossible 一見不可能に思える
6 最小の完全数
一見不可能と思われる使命を最短且つ最高の形(6は最小の完全数)で達成する。
 
X-エックス:http://matching-project-x.appspot.com/