中小型液晶パネルの雄、JDI
2016年12月13日(火)の日経新聞朝刊の1面で登場した、株式会社ジャパンディスプレイ(Japan Display Inc. 以下、JDI)。中小型の液晶パネルで、世界シェア一位を獲得している日本企業です。
よく知られているように、JDIは、日本の大企業3社が営む液晶事業が統合して発足しました。またそこに官民ファンドの資金が入り、ほぼ国有となった企業です。
今回は、日本の液晶産業を語る上では、絶対に外せないJDIを、詳しく解説していきたいと思います。
JDIとは
冒頭でも述べましたが、JDIは、中小型液晶パネルで世界シェア1位を獲得している日本企業です。
2016年上期に、台湾の鴻海精密工業がシャープを買収するまでは、JDIとシャープが、日本の液晶産業を支えていました。
しかし、シャープが買収されたことで、日本の液晶産業はJDIの独占状態となりました。
JDIは、官民ファンドである株式会社産業革新機構(以下、産業革新機構)が主導して、ソニーモバイルディスプレイ株式会社、東芝モバイルディスプレイ株式会社、株式会社日立ディスプレイズの3社を統合し、そこに、産業革新機構が出資し発足した企業です。
近年、世界の液晶市場で、低価格を武器に価格競争を仕掛けてきた結果、日本の家電メーカーは、世界シェア及び売り上げを大きく落としてしまいました。そこで、政府が9割超出資する官民ファンド産業革新機構が主導して、東芝、ソニー、日立の赤字続きの中小型液晶パネル事業を再編し、JDIが発足しました。
JDIの株式保有状況
2016年12月13日時点の大株主の状況についても見てみたいと思います。
Table 1 JDIの株式保有会社
以上のように、未だに産業革新機構が35.58%もの株式を保有しています。
中小型液晶パネル世界一位のJDI
それでは、2015年の中小型液晶パネルの世界シェアランキングを見ていきましょう。
Table 2 世界シェアランキング
2016年7月4日の日経新聞の記事によると、「スマートフォン(スマホ)やタブレットなどに使われる中小型液晶パネルはジャパンディスプレイ(JDI)が5.5ポイント増の21.7%となり、2年ぶりに首位を奪還した。」とあります。
上記から、JDIは、中小型液晶パネルで世界シェア1位という成績を残していますが、それは政府が9割超出資する官民ファンドの資金で成り立っていることがわかります。
JDIの決算
JDIの決算(単位は百万円)を見ていきましょう。
Table 3 JDIの損益計算書(単位:百万円)
以上より、2014年、2015年、2期連続で赤字を計上しています。売上高の過半を占めるiPhone用のパネルの受注が伸び悩んだことが原因であると報道されています。
JDIの株価
以下のグラフは、JDIの株価の推移を表しています。
Chart JDIの株価推移
JDIの業績悪化とともに、JDIの株価も下がっていることがこのグラフから見て取ることができます。
JDIの今後の戦略
今後のJDIの主要戦略としては、韓国、中国の低価格製品に負けないように、徹底的にコストを削減していくということです。
具体的には、変動費の削減や、工場の一部稼働停止などによる固定費の削減です。
これらの原価管理の手法を使うことで、損益分岐点を操作し、利益をあげやすい構造改革を行うようです。
また、このような管理会計の知識を駆使する能力もCFOに必要な力といえるでしょう。
(参考データ)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04401440T00C16A7TJC000/
http://marketss.blog.jp/archives/52281626.html
http://www.j-display.com/ir/library/pdf/Presentation-Slide_20160512_2.pdf
http://www.j-display.com/ir/library/finance.html
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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