今回は株式会社ALEG代表取締役 岩崎マミさんにご登場いただきました。株式会社ALEGは、2004年に家事代行サービス事業でスタート。民泊やシェアハウスの清掃事業にいち早く参入し、現在は民泊・シェアハウス・撮影スタジオ・小規模オフィスなど幅広い物件での清掃サービスを展開しています。
今回は家事代行サービス事業を開始するまでの道のりと、家事をビジネスにすることについての思いについて語っていただきました。WORK COMPASS編集長の柴田、株式会社Mi6代表取締役の川元との対談をぜひ、お楽しみください。
以下
岩崎:株式会社ALEG代表取締役 岩崎マミ氏
柴田:株式会社mannaka 代表取締役 柴田 雄平
川元:株式会社Mi6代表取締役 川元浩嗣
シングルマザーで仕事を転々とした20代
柴田
現在、清掃代行サービスで順調に事業を拡大している岩崎さんですが、起業する前は何をされてたんですか?
岩崎
前はいろいろやってました。20代の頃はエステシャンしてましたね。
柴田
えっ、エステシャン?意外な経歴ですね。
岩崎
私、サーファーだったんですよ。家の近くの日焼けサロンに通っていたら、そこのオーナーにスカウトされてエステシャンになったんです。
川元
サーファーで、日焼けサロンで誘われてエステシャンですか。キャリアの入り口がすごい(笑)。
岩崎
私、「〇〇をやろう」って最初から決めてないの。けっこうフワフワしてるんですよ。でも、その時その時にいい出会いがあって「じゃあ、やってみようかな」みたいな(笑)。
柴田
なんというか、エネルギーのかたまりみたいな・・・・・・。
岩崎
当時は息子がまだ小さくて、小学校に行く前だったんですけど電車で一緒にサーフィンに行ったりして。
川元
すでにお子さんもいたんだ。息子と電車に乗ってサーフィンって、ファンキーすぎる。
柴田
海の近くに住んでたんですか。
岩崎
住んでたのは埼玉。電車で海まで通ってたっていう。
川元
なんかすごいな(笑)。それって何歳ぐらいの時ですか。
岩崎
エステシャンになったのは20歳ぐらいだったかな。その3.4年後、Windows95が発売になって、パソコンを買ったんですよ。それで「パソコン面白いな」って思って、プログラマーになろうと、いろんなプログラミングの会社の面接を受けたんです。
川元
すごい。展開が思いがけない(笑)。
岩崎
ちょうど下の娘が生まれて間もない頃で、プログラミングってハードな仕事だからどこにも採用されなくて。それから友達の旦那さんの会社で通信機器の営業してました。こんな性格だから、けっこう営業向いてましたね。私はあんまり押しが強くない方なんですけど、いつのまにか契約が取れてる(笑)。
柴田
できる社員だったんだ。最強ですね(笑)。
得意な家事をビジネスに
岩崎
その後病気でしばらく休養してたんですけど、飲食店を始めました。飲み屋さんだったんですけど、縁あって出資してくれる方がいて。
川元
人もお金も呼んでますね。
岩崎
当時シングルマザーだったんですよ。昼間は子どもたちと家にいたかったんです。だから、子どもが寝てから働いてたんですよね。その後に再婚して、結婚情報サービスの会社で働き始めて。なんかもう、興味のおもむくままですね(笑)。あ、今は離婚してますけどね。
柴田
流れに流れてますね(笑)。
岩崎
最初はウェディングプランナーになろうと思って代官山の学校に通ってたんですよ。再婚してみて「結婚っていいな」と思ったというのもあって。でも当時は、30歳越えて未経験だとブライダル業界の就職って難しかったんですよね。いろんな会社を落ちながら就職活動をしてるうちに、「完成されたウェディングのプランニングよりも、人と人の出会いをつなげる仕事の方が面白いかもしれないな」と思うようになって、結婚情報サービスの会社にマリッジアドバイザーとして入ったんです。
川元
今でいう婚活アドバイザーみたいな。
岩崎
そうそう。私、その会社で働いたことがきっかけで家事代行サービスを始めたんですよ。
柴田
えっ、そうなんだ。
岩崎
仕事がすごく忙しくて、家事をするヒマがなかったんですね。でも私、ちゃんと家事をしたいタイプなんですよ。部屋が汚ないとか散らかってるのがすごく嫌で、料理もちゃんと作りたいし。なのに仕事が忙しくて家事ができないのがストレスで、だんだん家に帰るのも嫌になってきて。家族に申し訳ないし、お手伝いさんを頼もうと思ったんです。当時はまだ家事代行っていう言葉も身近じゃない時代だったんですが。
柴田
10年以上前ですか。
岩崎
そうですね。それでインターネットで調べるうちに、家事代行のサービスがあることを知ったんです。「こういう仕事があるんだ」って思って。でも私、潔癖な性格だから人に任せられないんですよ(笑)。自分の母親が来て家事を手伝ってくれることもあったんだけど、物の置き方が違ってると嫌になっちゃう。水滴を拭いていないとか、ちょっとしたことがストレスで。
柴田
自分ルールがあるんだ。
岩崎
そう。自分のスタイルがあるから、人には任せられない。それで「私みたいなお母さんをサポートする仕事がしたいな」って思い立ったんです。
柴田
なるほど。それが何歳の時ですか。
岩崎
32歳の頃です。今まで意識したことがなかったけど、自分はけっこう家事が得意なんじゃないかと認識したんですよ。それで家事代行の会社を起業しようと決心して、ノウハウを身につけるために家事代行会社でバイトしました。実際に働いてみたらお客さんがすごく喜んでくれて、新規の契約もどんどん取れちゃうんですね。「あ、私の家事ってけっこうお金になるんだ」と気づいて。
柴田
天性のセンスがすごすぎる(笑)。
岩崎
家事って“仕事”と意識してやるものじゃないし、家事でお金がもらえるとは思わないじゃないですか。でも、自分の家事で人が喜んでくれて一時間いくらでお金になる。数ヶ月働いたら自信がついて「よし、独立しよう」と、サイトを作って営業を始めました。当時は家事代行業の会社が少なかったので、けっこうすぐにお客さんが集まりましたね。
あたりまえのことを、あたりまえにやる
柴田
2004年の起業から10年以上経ちましたが、今はどんな状況ですか。
岩崎
最近、家事代行業を手放しました。今は民泊やシェアハウスの清掃代行をメインに事業展開しています。
柴田
清掃実績が1万件を突破したと聞いてますが・・・。
岩崎
まもなく累計2万件です。
川元
すごいですね。エリアはどのあたりを中心に展開していますか。
岩崎
エリアは東京で、スタッフは70人弱います。
川元
そんなにいるんだ。けっこう多いですね。
岩崎
オペレーターや運営メンバー以外のスタッフは登録制です。運営は、社員2名とパート1名ですね。
柴田
運営はずいぶん少人数なんですね。
岩崎
無駄なことはできるだけ省いてるんです。
柴田
オペレーティングがすごく効率的なんですね。
川元
月に何件ぐらい請け負ってるんですか。
岩崎
もともと500件近く請け負ってたんですが、今は民泊法でかなり撤退したので半分ぐらいですかね。
柴田
それでも250件か。すごいですね。
岩崎
うちは口コミと紹介でお仕事いただくことがほとんどで、それが自慢なんですよ。営業活動とか広告とか、ほとんどしてないんです。他社さんを利用してたところがうちを利用して「クオリーの方がクオリティが高い」と、こちらに乗り換えてくださったり。
柴田
岩崎さんの会社では、どうやって他社さんとの差別化を図ってるんですか。
岩崎
あたりまえのことをやってるだけです。たとえばレスポンスを早くするとか。ほんとにあたりまえのことをやってるだけ。
柴田
めちゃくちゃ誠実なんですね。相手が求めてることに対してフィットしていくっていうことを、あたりまえにやってるんですね。
岩崎
お客様アンケートをお願いしてるんですけど、お客様がいろいろな要望を書いてくださるんです。そういった要望をできるだけ聞いて、自分たちでできることで最善を尽くすっていう感じですね。
柴田
そういう文化が、会社やスタッフさんたちにも浸透してるんですね。
川元
うちも岩崎さんに清掃をお願いしたことがあるんですけど、動きが洗練されてて、美しいんですよ。無駄な道具を使わずに、最小限の動きで最短でキレイになるっていうのが、本当にすごいと思いました。
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今回の対談の前編では、清掃代行サービスでの事業開始に至るまでの道のりと、現在の事業内容やサービスへのこだわりについて語っていただきました。20代からシングルマザーとしてさまざまな仕事に就いていた岩崎さん。多種多様な仕事を経験する中で、自分自身の適性や時代のニーズをつかみとり、当時はまだ少なかった清掃代行サービスにいち早く注目して事業を開始しました。柔軟な感性を持ちつつも、一方で自分の芯をしっかり持っている点に岩崎さんの優れたバランス感覚を感じました。対談の後編では、今後の事業展開と若い方に向けたメッセージについてお話を伺っています。
後編のテーマは「子どもたちに家事を教え、生きる力を育みたい」「好奇心で動けば、人との出会いがある」「リアルな場での人とのコミュニケーションを」です。後編もぜひご覧ください。
▶︎ 株式会社ALEG
家事代行サービス・ハウスクリーニング・民泊物件・シェアハウスの清掃サービスを提供しています。個人・法人のお客様のニーズに寄り添い、心地よいサービスを提供しております。
HP:https://www.aleg.jp/