今回は、株式会社スペサン CEOの植松健佑氏にお話を伺いました。株式会社スペサン(以下、スペサン)は「人を幸せにする 心震える瞬間の創造」を理念に掲げ、「オーダーメイド」と「ライフイベント」をコンセプトに、感動のプロデュースを行なっています。そんなスペサンのCEOの植松氏は、現在29歳。株式会社リクルート在籍中に、自分が本当にワクワクすることを探し求め、そして出会い、起業に至ったと言います。今回もあなたにとってヒントとなることが満載のお話を伺って参りました。
以下
植松:株式会社スペサン Co-Founder/CEO 植松 健佑
柴田:株式会社mannaka 代表取締役 柴田 雄平
ゼロから作り出したものが人の心を動かすワクワクを味わってしまった
柴田
まずはじめに健佑(植松氏)のこれまでの経歴や事業について教えてください。
植松
僕の経歴としてはICU(国際基督教大学)を卒業した後、株式会社リクルート(以下、リクルート)に入社し、最初はHR領域でリクナビやリクナビNEXT、タウンワークなどのメディアの新規開拓をやっていました。
リクルート時代の4年間は、ずっと関西で営業をやっていて、1年目の時は奈良県でひたすら営業をしまくっていたんです。それでその時に表彰をしてもらったので、奈良県には愛があります(笑) そして2年目からは、リクルートHRカンパニーとリクルートエージェントが事業統合してリクルートキャリアになったタイミングだったので、中途採用のリクナビNEXTも人材紹介も両方提案する感じになったのですが、途中からリクルートの大手取引先を担当するグループに行ったという流れですね。
柴田
そこからなぜ起業をすることになったの?
植松
元々、就職活動をしていた時に、「この会社で一生働くぞ」と思えるところはなかなかなくて、どこかのタイミングで自分がやりたいと思ったことに対してチャレンジできる人間になりたい、とは思っていました。そんな話をしている時に、考え方や価値観が合いそうな人が多かったのがリクルートだったんです。
なので、特にこれがやりたいと決まってリクルートに入ったわけではないんですけど、どこかのタイミングでチャレンジをしようとは思っていました。なので、僕はリクルートで働きながら週末を使って、ワクワクすることを見つけようと、いろいろな活動をしていたんですが、実はそれが今の事業に繋がっています。
僕は学生時代にずっとダンスをやっていて、ダンスで舞台を作る経験が僕の中での原点としてありました。なので、自分でゼロから作ったものが人の心を動かすことに対してワクワクする気持ちというのがそもそも自分の中にあったんです。もしそれを、自分の仕事にするとどうなるのか? ということを週末に知り合いの結婚式を手伝ったり、サプライズのプロデュースをしたりしていて、その週末の活動の積み重ねで、自分がワクワクしてしまってしょうがない状態になり、起業を本格的に考えるに至りました。
柴田
なるほどね。スペサンは一人で立ち上げたの?
植松
最初は2人ですね。僕が高校〜大学時代に一緒にダンスをやっていた1つ下の後輩なんですけど、彼はICUを卒業してから株式会社DeNA(以下、DeNA)に入社していて、僕らはそれぞれの会社で働きながら週末は活動を共にして、2015年の4月に彼と一緒に会社を立ち上げ、それから2年半くらいで、今は10人くらいの組織になっています。
裏方的存在で感動を作る演出のお手伝いをしたい
柴田
スペサンという会社名にはどんな意味があるの?
植松
スペサンというのはスペシャルサンクスの略です。スペシャルサンクスって映画のエンドロールに出てくるじゃないですか? エンドロールの時のようなお客さんにとっての感動的な瞬間に、スペシャルサンクスとして寄り添っているような裏方的存在で、感動を作る演出のお手伝いをしたいという意味です。そして、純粋に言葉の通り、特別な「ありがとう」や、特別な想いを伝える瞬間を一緒に作りますという意味でのスペシャルサンクスでもあります。
あえて略したのは、僕らがダンスをやっていた時に、公演のパンフレットの最後に書いてあるスペシャルサンクスを通称スペサンと呼び、よく使っていたのでそれにした感じです。「スペシャルサンクスです」というよりも、「スペサンです」という方が愛着もあるなと思いました。
柴田
確かに覚えやすいし呼びやすいね! 今の自社のメンバーについても教えてもらえますか?
植松
事業としては主にウェディングやイベントのプロデュースをしているんですけど、元々そういうところにいた人間ばかりではありません。僕はリクルートで法人営業をやっていたし、共同創業者もDeNAで営業とマーケティングをやっていた人間で、他には企業用の施設の空間デザインをやっていたデザイナーや、エンジニアなど、いろんな人がいます。
柴田
そんなに業種がバラバラの人ばかりだと、チームを動かす時は大変そうだね。
植松
デザイナーのチームなどと会話をする時には、言葉がよく分からないということはありましたね。その業界での共通言語を説明しようとすると、すごく回りくどい説明になっちゃって。そこを擦り合わせる作業が最初の頃は結構ありました。
柴田
今の社内のメンバーの年齢とか男女比の構成はどんな感じ?
植松
年齢は一番上が36歳で、他の人は20代後半から30代前半くらいです。男女比としては、社員では男性の方が多くて、男性が8、女性が2で、インターンの子たちや、現場を手伝いにくる子たちは女の子が多いので、オフィスには割と女性がいっぱいいますね。
ずっとワクワクし続けられる理念や思いが原動力になる
柴田
起業して3年目にもなってくると、ある程度会社経営も慣れてきて、事業の継続性も見えてきたりすると思うけど、起業を目指す若者が相談に来た時にどんなアドバイスをしてる?
植松
正直なところ、僕はまだそんなに起業やビジネスモデルをこうすべきだということをアドバイスできるところまでいっていないと思う部分はあります。でもこれだけは言えるのは、僕たちは自分がこれをやっていたらずっとワクワクしていられるなと思うことを仕事にしようと思ってスタートを切ったので、そういう想いや理念があるものと巡り合えているかどうかを聞くようにしています。
起業したい子の中で、例えば「このマーケットが今アツいじゃないですか?」とか、「こういうことにニーズがあると思っていて」という話をされることが多いんですけど、それは置いておいて「で、君はどういうことをやってるときにアツくなるんだっけ?」ということを聞いたりするんです。すると、「そもそもそういうところにはあまり興味なくて…」みたいなことがあります。
僕は、仲間を集めて会社をスタートさせるということは、どんな世界を作りたいのかとか、どのようにして自分や世の中を幸せにできるかという想いや理念が原動力だと思うので、そういう話を若者に伝えてあげられたら、少しは役に立つかなと思います。
理念や想いをきちんと言葉にしてメンバーに伝える
柴田
健佑が自社の経営で大切にしていることはどんなことですか?
植松
理念や想いをきちんと言葉にして、逐一メンバーに伝えるということは意識してやっていますね。ウェディングの業界って、あんなに幸せ溢れる空間を作っているはずなのに、営業の現場では「今月はあと何件だ」みたいな状態になっていたりすることがあって。プランナーさんも本当は新郎新婦を幸せにしたいとか、世の中にハッピーな結婚式を作りたいと思って仕事をスタートしているはずなのに、数字のことで頭がいっぱいで疲弊していくということが結構あったりするんです。
もちろん商売なのでそこも大事なんですけど、そこばかりに目が行ってしまうといけないと思います。そもそもなぜやるのかとか、やった先に自分たちがどんな世界を作りたいのかということを自分たちが強く想って演出の提案をし、そして選んでもらおうということを言葉にして伝えるというのは、自分自身がかなり意識しているところです。
柴田
そうすると、例えばスペサンの入社基準はどうなっていますか?
植松
今言ったような話がちゃんとその人も腑に落ちて納得していることですね。ただ「感動を作りたい」とか、「サプライズを仕事にしたい」という人たちが結構来てくれたりするんですけど、「あなたが思っていること」と、「僕たちがやっていること」がちょっと違うと感じることは時々あります。そこが噛み合わない人は入社基準として違うな、と思いますね。
柴田
いろんな経歴の人がいる中で事業を運営していくにあたって、プロジェクトがスタートする時にどのように体制を作っているのか教えてもらいたいです。
植松
プロジェクトをスタートさせる時にはまず誰がオーナーなのかを決めます。一方でコンテンツのデザイン側の責任者も体制的には作るようにしてます。PM(プロジェクトマネジメント)管理と作業の分担で分かれている感じですね。そして、スタッフ全員がチェックできるタスク表や工程表を作成、共有して、そこに進捗を書き入れながら進めるということをやっています。
何が問題なのか分からない中で進んでいく力
柴田
健佑もまだまだ29歳で若いと思うけど、これからの社会で欲しがられる人材や必要とされる人材ってどんな人材だと思う?
植松
僕自身もまだまだこれからだと思っていますが、何が問題なのかが分からないことと向き合い続ける中で、どのように改善をしていくべきかを自分できちんと設定し、そしてその階段を一段ずつ登っていけるかということは重要だと思っています。僕は事業をスタートしたばかりの頃は、結構手当たり次第にいろいろなことをやったんですが、今になって振り返ると、階段を上がっていたつもりだったけど、間違った階段を上がっていたということがよくありました。なので、問題を見つけたら、どんなステップで進んでいくかを自分の頭できちんと整理して考えられるというのは、すごく重要なことだと今ひしひしと感じています。
柴田
社員のために、そういう階段やロードマップ、キャリアパスを描いてあげたりということは一緒にやったりする?
植松
そうですね、それはやりますね。細かいところまではできていないかもしれないですけど、なるべく一人一人と話をして、それぞれの社員が今どんな仕事を持っていて、それをどのように進めようと思っているのかということを一緒に議論しながら考えています。短い時間でもそういう時間を取って、一緒に目標設定をした上で走ってもらうということは意識をしています。
柴田
今まで会社経営をしてきた中で、大変だったことはありますか?
植松
僕たちは、まだそんなに型を作ってPDCAを回すということが出来ていない所に問題があるなと思っています。サプライズの案件、企業のプロデュースの案件などは、お客さんのニーズを一つ一つ聞き出して、毎回それぞれが全く違う設定、全く違うコンテンツでやっているので、そろそろフォーマット化していけないかということはちょうど今取り組んでいるところです。
柴田
ちなみに、俺は全然驚かないタイプなんだけど、人によってサプライズの度合いが全然違う中で、サプライズやハッピーをどんな指標で測ってお客さんの満足度を上げているの?
植松
正直に言って、最終的にはやってみないと、そのお客さんがどういう反応をするのか分からないところはあります。演出を仕掛けようとしている人から、相手は何が好きでどんな反応をする人なのかみたいなことをとにかくちゃんと聞きだして、そこから演出の筋を考えるということは意識してやっています。それとは別軸で僕らは社内で、感動のために必要な要素とか、足りない観点とかをお互いに議論をして突っ込みあっていたりしますね。
スペサン植松氏の今後の挑戦、感動や幸福についてさらに追求していく
柴田
では最後に、スペサンとしての今後の挑戦について教えてください。
植松
今は一つ一つの案件の演出をしっかり面白く作るというプロデュース業がメインなのですが、ここからステップアップして、「感動を作ること、人が幸福感を感じること」そのものに対して僕たちが手を出していけるところまで行きたいと思っています。
例えば、大学教授や上場企業の人事部の方々などと一緒に「感動」や「幸福」について学ぶ機会をつくり、より多くの方々に幸せを届けられるようになっていきたいと考えています。それは、そもそも僕たちは「感動を作る演出屋さん」ではなくて、「幸福」について最も詳しく、それを人に与えられるチームとなっていきたいと思っているからです。
柴田
今日はありがとうございました!
植松
こちらこそありがとうございました!
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今回は、株式会社スペサン CEOの植松健佑氏にお話を伺いました。「人を幸せにする 心震える瞬間の創造」を理念に掲げ活動されており、とても情熱的な方でいらっしゃいました。そして、「ずっとワクワクし続けられる理念や思いが原動力になる」というお話を聞き、「自分は今の仕事に本当にワクワクしていられているだろうか」と自分を見つめるきっかけになりました。あなたにとってはどんな話が胸に残りましたでしょうか? この記事を読んだあなたにとって、今後の時代を生きるヒントが見つかれば幸いです。
▶︎株式会社スペサン
人を幸せにする 心震える瞬間の創造
スペサンという名前は、Special Thanks の略です。
誰かが映画の主役になるような瞬間に、 その人だけのストーリーを描き、その人に最も響く演出をして、 幸せが溢れ出るような、心震える瞬間を創造する。
スペサンという名前には、その瞬間の創造を通して、 お客様の物語のエンドロールに “Special Thanks” として載せて頂けるほどの大きな感動を創るという想いを込めました。
わたしたちが創った心震える瞬間が、 あなたの心の中のエンドロールに刻まれ、 いつまでも色褪せることなく輝くことを、私たちは願っています。
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