米配車サービス大手のリフトが1日、米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)を申請しました。上場が成功すれば、株主である楽天や米ゼネラル・モーターズ(GM)、その他のベンチャーキャピタルなどは評価益や売却益を得られます。2019年はハイテク企業のIPOが多く予定されており、リフト上場はその先行きを占う試金石となる見込みです。
米配車大手リフトとは
リフトは12年創業で、企業評価額が10億ドル(約1100億円)を超える「ユニコーン」の代表格。18年12月期は9億ドルの最終赤字でしたが、今後の高成長が期待されており、米調査会社ピッチブックが計算した評価額は151億ドル(約1兆6610億円)に達します。米メディア報道では3月下旬とされる上場時には時価総額が200億~250億ドルにのぼるとの観測も市場では出ています。
リフトの申請書類によると、筆頭株主は楽天で保有比率は13%。同社は15年に3億ドルを出資し、その後持ち分を増やしました。上場前のリフトの企業価値から楽天保有分を推定すると約19億ドルになります。楽天は携帯電話事業の投資資金を確保するため、上場後に保有するリフト株の一部を売却するとみられています。
19年は大型ハイテク企業のIPOが相次ぐ
配車サービスでリフトと競合する米ウーバーテクノロジーズや民泊仲介の米エアビーアンドビー、ビジネス用対話アプリの米スラック・テクノロジーズなど「ユニコーン」ブームのけん引役が上場予備軍として並んでいます。こうした企業は上場前から多額の資金を調達し、企業価値を膨らませてきました。しかしながら、赤字企業も多く、カネ余りの環境で投資家の規律が緩んでいるとの指摘もあります。
先陣を切るリフトの上場は、新興企業の今後の資金調達を左右します。高い価格がつけば売却益の一部が未上場企業に向かう「好循環」が期待できる一方、「リフトやウーバーの公開価格がベンチャーキャピタルの想定を下回ると、上場前の高い評価が正当化できなくなり、マネーが集まりにくくなる」(ソフトバンクグループのファンドから出資を受けたハイテク企業の経営者)との懸念も一部で浮上しています。