中小事業主必見!従業員を活用する「キャリアアップ助成金」って?

中小事業主の皆様は、「キャリアアップ助成金」という制度をご存じでしょうか?すでに活用されている事業主の方もいらっしゃると思います。そんな「キャリアアップ助成金」ですが、どのような制度でどんな活用の仕方があるのでしょうか?この記事では、「キャリアアップ助成金」について解説していきます。

 

キャリアアップ助成金とは


キャリアアップ助成金は、契約社員や短期労働者または派遣社員などの非正規労働者の能力向上や労働意欲を高めながらキャリアアップを促進し、正社員登用・健康診断導入・賃金規定の改定など待遇改善への取り組みを実施した事業主に対する助成金です。

キャリアアップ助成金には、7つのコースがあり優秀な人材を確保したい事業主の方は、是非活用をおすすめしたい厚生労働省の制度です。

 

キャリアアップ助成金の受給対象者


キャリアアップ助成金は、雇入れている非正規労働者にキャリアアップを促進する取り組みを認められた事業主が受給対象者になります。認定されるための適応要件として、雇用保険適用事業所である必要があり、キャリアアップ計画の作成や管理者の設置など、受給対象者になるためには多くの適応要件があります。

適用要件は、内容が改定される頻度が高いので細目にチェックしていく必要があります。

 

キャリアアップ助成金でいくらもらえるのか


キャリアアップ助成金の受給対象者として認定されれば助成金を支給されますが、支給される金額は一律ではありません。会社の規模や対象のコースによって支給される金額が異なります。会社の規模が大企業よりも中小企業の方が、1人当たりの支給金額が高くなります。

また生産性の向上が認められる場合は、通常の支給額よりも高くなります。契約社員から正社員登用して生産性の向上が認められれば、1人当たり最大72万円の支給を受けることも可能です。

 

キャリアアップ助成金の受給を受けるには


優秀な人材育成や人材確保の助けとなってくれるキャリアアップ助成金ですが、受給対象者として認定され助成金が支給されるまでには、多くの手続きや取り組みが必要になります。

事業活動に有用な制度ですが、国の制度のため細かい手続きと不正受給にあたらないかなどの審査があります。ここでは、キャリアアップ助成金の受給を受けるために必要なことを紹介します。

  

手続きの流れ

キャリアアップ助成金の手続きには2パターンあり、正社員化コースと他の6コースの申請方法が異なります。正社員コースは、厚生労働省のホームページから申請計画書をダウンロードして、キャリアアップ対象者の設定と計画を作成し管轄のハローワークに提出します。

また、その時に自社における正社員への転換規定が就業規則に記載されているかを確認し、記載されていなければ改定する必要があります。その後、就業規則に基づき正社員へ転換し、正社員として6カ月間賃金を支払い完了した後に助成金の申請することが可能になりま
す。

他の6つのコースは、申請の流れは正社員コースと同じですが就業規則を改定するパターンが省略されることが多いです。どのコースに申請する場合も、給与支払い完了後2ヶ月以内でしか申請できないため、申請忘れがないように早めに申請しましょう。

  

必要書類チェックリスト

キャリアアップ助成金は、計画を作成実行してから申請できるまでに時間がかかりますが、申請に必要な書類も多くスムーズに申請完了するためにも書類の不備がないように細心の注意をしなければいけません。

そこで不備をチェックするため、厚生労働省ホームページで用意されている提出種類ごとのチェックリストを活用することで、不備を出しにくくなりますので積極的に活用しましょう。

  

キャリアアップ計画の作成方法

キャリアアップ助成金を申請するために最初にしなければならないのが、キャリアアップ計画の作成です。キャリアアップ助成金の計画書は、厚生労働省のホームページから様式をダウンロードすることができます。

助成金は、計画を提出して認定を受けた内容しか対象になりません。そのため、それぞれのコースに適応した包括的な計画書を作成しなくてはいけません。計画作成には、キャリアアップ管理者を選定して記入していきましょう。

対象者に定める目標や講じる措置など記入していきますが、生産性の向上が認められる内容だと認定された場合、支給される金額が高くなりますので抑えておきましょう。キャリアアップ計画書が完成したら計画を実行する1か月前までに、管轄のハローワークに提出する必要がありますので注意しておきましょう。

  

助成金申請時の注意点

キャリアアップ助成金を申請時には、注意しなければいけないポイントがあります。このポイントを抑えていないと不支給となることもあるので抑えておきましょう。注意点は以下のようになります。

・提出した書類は訂正・差し替えができない

・提出した書類に懐疑点がある場合は、追加の書類を速やかに提出しなければならない

・実地調査や支給後の帳簿の確認を求められる場合の協力

・支給決定後は、5年間書類やデータを保存しなければならない

・不正受給が発覚した事業者は5年間申請できないまた、延滞金及び返還金の20%が違約金として課せられる

・2つのコースの要件を満たしても1つのコース分しか支給されない場合がある。

などがあります。基本的にルールに則って申請や計画実行を行って難しいことではありません。しかし。キャリアアップ助成金は、支給要件が変更になる頻度も高いので申請する場合は厚生労働省や労働局のホームページの情報を随時確認するようにしましょう。

 

コース別キャリアアップ助成金の7つのコース


キャリアアップ助成金には適用範囲の拡充や変更もあり、それぞれの目的に合った7つコースがあります。この7つコースの助成金は、組み合わせや状況によっては併用して申請・受給できる場合もあります。ここでは、キャリアアップ助成金7つのコースについて紹介します。

  

正社員化コース

正社員化コースは、就業規則や労働協約など規定に基づいて、有期雇用や派遣社員など非正規雇用者を正規雇用での雇用形態へ転換または直接雇用した場合に助成金が支給されるコースです。

大企業よりも中小企業の方が支給される金額も高くなり、生産性を認められた場合は、条件により最大72万円支給されます。しかし、就業規定に正規雇用への転換や直接雇用に関する規定が記載されていなければならず、記載されていない場合は就業規則を改定しなくてはいけません。

  

賃金規定等改定コース

賃金規定等改定コースは、契約社員・派遣社員・パートタイマーなど非正規労働者の全部または一部の基本賃金を2%以上増額改定し、昇給した場合に助成金が支給されるコースです。

賃金規定などは改定ではなく新しく作成した場合でも、過去3カ月の内容から2%以上増額していれば助成金の申請対象にできます。賃金規定を改定して誰の基本賃金を2%以上増額したのかということと、職務評価を実施した場合は、結果を踏まえた改定になっているかがポイントになります。

  

健康診断制度コース

集中して仕事に取り組み生産性をあげるため正規雇用の従業員には、健康診断制度を設けてている会社がほとんどです。キャリアアップ助成金の健康診断制度コースは、正規雇用の以外の従業員に対して法定外の健康診断を導入した事業主に助成金が支給されるコースです。

助成金の対象となる健康診断は、雇入れ時の健康診断・定期健康診断・人間ドッグの3つが対象となり対象の従業員4人以上に実施する必要があります。また、事業主は健康診断費用の半額もしくは全額負担していないと支給対象になりませんので抑えておきましょう。

  

賃金規定等共通化コース

有期雇用の従業員でも、正社員と同じ仕事内容で職務を行うことがあります。そのため、同じ仕事をした場合正社員と同じ賃金を支払う賃金規定を作成した場合に、助成金が支給されるコースが賃金規定等共通化コースです。

正社員と同一とみなされた有期雇用の従業員は、正社員の月給を時給換算した金額と同額である必要があります。この制度を活用することで、有期雇用の従業員の仕事に対するモチベーションを上げることができ、生産性向上に有効的です。

  

諸手当制度共通化コース

正社員に比べて非正規労働者は、諸手当等の待遇が整っていないことが多いです。そのため、諸手当などの待遇など有期雇用の従業員の待遇改善を目的に、正社員と同等の諸手当制度を新設・導入した事業主を助成してくれるのが諸手当制度共通化コースです。

このコースには候補となる諸手当が11個あり、適用しやすいものから選択して導入することができます。この制度を活用することで、非正規労働者が安心して働ける職場環境を整備することができます。

  

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

選択的適用拡大導入時処遇改善コースは、従業員数500人以下の企業が非正規労働者を新たに社会保険を加入させる際に、基本給を増額させることで手取りの減少を抑える措置を講じた事業主に助成金が支給され、社会保険対象でない従業員でも社会保険に加入する後押しをするための助成コースです。

社会保険の適応拡大することで、これから新しい人材が迎えてもスムーズに対応することができ、人材育成や確保に繋がります。

  

短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者労働時間延長コースは、週の所定労働時間が5時間以上延長したことにより社会保険適応になったアルバイトやパートタイマー等の短時間労働者を、社会保険に加入させた場合に助成金が支給されるコースです。

このコースは、賃金規定等改定コースと選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施した場合でも、併用して助成対象になります。この制度を活用して社会保険に加入させることで、人材の確保に大きな役割を持たせます。

 

キャリアアップ助成金で従業員活用・企業活性化しよう


企業経営にとって、資金調達と優秀な人材の確保は非常に重要な課題です。返済義務のない助成金を活用して従業員の処遇改善や労働環境の整備は、効率よく生産性を上げて企業を活性化させる有効的な方法です。

手続きや計画作成・実行など大変ではありますが、社員の幸せと会社のさらなる発展のためにも、キャリアアップ助成金を申請して活用してみましょう。