はじめに
2017年4月11日(火)の日本経済新聞に、大和ハウス工業株式会社(以下、大和ハウス)が2020年までに大都市に新たに10ホテルを開業すると報じられました。
大和ハウスといえば、社名からも想像できるとおり、住宅をメインに扱う企業というイメージが強いですが、実は様々な不動産の事業を手がけています。
今日はそんな大和ハウスについて解説していきます。
大和ハウス、多様な事業領域と安定した成長性
大和ハウス、多様な事業で高い収益を獲得
まず、大和ハウスの特徴として多様な事業戦略を持ち、1つあるいは2つの事業に収益獲得を依存していないことです。
大和ハウスは賃貸事業のみ、あるいは住宅事業のみでは業界で首位の売上を計上することはありませんが、総売上は3兆円を超えており、三菱地所の約1兆円をはるかに上回る収益力があります。これは賃貸住宅、戸建住宅、商業施設、事業施設といった幅広い事業領域を網羅しているのが理由と考えられます。
Figure 1 各不動産企業の売上高の構成比
(各社2016年3月期の決算短信を参照。内部取引を入れるかどうかで売上構成が微妙に異なるため、具体的数字は省略しました)
大和ハウス、止まらない成長
さらに、大和ハウスは近年の収益力の成長性も特徴に挙げられます。大和ハウスは2014年から年率約9%で売上高が成長しており、営業利益は2年間で約50%増加しました。過年度の蓄積した利益により2016年には55年記念で531億円もの配当を実現しました。
Table 大和ハウスの各年の財務情報
(各年の3月期の決算短信を参照)
大和ハウス、今後は商業施設に注力
それでは大和ハウスは今後どの事業に注力、投資するのでしょうか?4月11日の日経新聞ではホテル事業に投資をしたと報道されましたが、これにはどのような背景があるのでしょうか?
Figure 2をご覧ください。商業施設の事業の売上高は事業施設や賃貸住宅には劣るものの、利益率が16%以上あり、他の事業の10%の利益率を下回る賃貸住宅や事業施設に比べれば高い収益率を計上しています。
商業施設では、単なる賃貸による収入だけでなく、商業施設としてのその他のサービスを付加し、またブランド化による高価格化の戦略をとることができるため、高い利益率を計上することが可能となります。そこでこの商業施設に投資をすることで、さらなる成長を図るのです。
Figure 2 大和ハウスの各事業の売上高と営業利益率
(2016年3月期の決算短信を参照)
大和ハウス、海外も視野へ
大和ハウスは海外も視野に入れています。
2016年10月26日に米国の住宅会社のスタンレー・マーチン社を260億円で買収するなど、アメリカやASEANへの進出を進めています。
また中期計画では、2016年度から2018年度の3年間で、アメリカで450億円、ASEANで350億円の投資計画を策定しており、大和ハウスはさらなる成長が見込めます。
大和ハウスのまとめとCFO
以上、大和ハウスについて解説しました。最後に大和ハウスのCFOを紹介します。2017年に、過激な発言で知られるトランプ氏が大統領に就任して以降、アメリカの不動産や株式などのマーケットの先行きが不透明な中、CFOの香曽我部氏はアメリカへの投資を続行する旨をメディアで伝えています。
大和ハウス工業株式会社取締役専務執行役員(CFO)
香曽我部 武 氏
昭和55年4月 大和ハウス入社
平成16年4月 執行役員に就任
平成18年4月 上席執行役員に就任
平成18年6月 大和ハウス・リート・マネジメント代表取締役に就任
平成22年6月 取締役上席執行役員に就任
平成24年4月 取締役常務執行役員に就任
経営管理本部管理部門担当
平成27年4月 取締役専務執行役員に就任
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
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