鉄道沿線を活かして多角化戦略 巨大、小田急グループとは?

はじめに

東京の皆さんなら分かると思いますが、箱根や小田原に旅行に行くときは、青い電車がトレードマークの小田急線に乗って行きますね。そんな東京の人にとって身近なイメージのある小田急線ですが、鉄道を運営している小田急グループは、他にもさまざまなところで私たちの生活を豊かにしてくれています。
 
今回はその小田急グループを解説していきたいと思います。
 

小田急グループ

小田急グループとは

小田急グループは小田急電鉄株式会社(以下、小田急電鉄)で有名な運輸事業を中心として、その沿線での観光事業や百貨店事業やタクシー事業など様々なサービスを提供している小田急電鉄の子会社や関連会社の約100社からなる巨大企業グループです。
 
2015年5月から箱根山周辺の火山活動の活発化により運行を中止していましたが、昨年運行を再開して話題となった、大涌谷-芦ノ湖間のロープウェーも、小田急グループの小田急電鉄が運営する箱根登山鉄道の一部です。また、小田急グループは神奈川県を中心として事業を展開しているため、神奈川県の観光関連事業にも力を入れていて、小田急グループの小田急箱根ホールディングスは神奈川県箱根町で日本文化の体験イベントを開き、日本ならではの文化である縁日や和太鼓などの体験イベントも開いています。
 

小田急百貨店事業

新宿駅をメインに、小田急線沿線で合計3店舗営んでいる小田急百貨店事業も、小田急グループの中で大きな売上高を占めています。特に小田急百貨店は東京のアクセスの中心地である新宿に店舗があるため、その立地を生かし、訪日外国人旅行客の集客を見込んでのインバウンド対策をかねてから行っています。2009年からは、小田急グループで設立した「インバウンド協議会」のもとで、免税カウンターの拡大や無料Wi-Fiの設置、通訳スタッフの増員などの対策を行い、他の運輸やホテル事業などで得たインバウンド対策のノウハウを活用する活動も行っています。
 
参考サイト:小田急ホームページ
[http://www.odakyu.jp/recruit/shinsotsu/general/project/report09.html]
 

小田急不動産事業

不動産事業では分譲業、賃貸業、仲介業の3つを展開しており、小田急グループのネットワークを活かして不動産だけでなく、不動産に関わるライフスタイルなどの総合的なサービスを、複数の企業に依頼せずに完結させることができます。
 
また、小田急グループはランドマーク税理士法人と提携することにより、小田急線沿線に展開する、小田急不動産店舗内で、相続の相談ができる窓口を、2020年までに22店舗で展開していく予定で、相続の相談に乗りながら不動産の需要を模索して、将来的には不動産取引の増加につなげていく狙いがあります。まず、東京都の町田市内の店舗に相談窓口を開き、相続への関心を調査していますが、小田急線の沿線には高級住宅街が多いため不動産や相続に関する需要は高いと考えられています。
 
参考資料:小田急不動産株式会社2016年11月28日ニュースリリース
[http://www.odakyu-fudosan.co.jp/corporate/news/pdf/2016/news161128_inherit.pdf]
 

その他の事業

小田急グループでは上記以外にもバス事業、タクシー事業、ホテル事業、レストラン事業、旅行事業、ゴルフ事業、自動車整備事業、ビル管理事業、保険事業などを展開しており、その他の事業のセグメント売上だけでも合計すると99,511百万円あります。
 

小田急グループの財務情報


Table 小田急グループの財務情報
 
ここ数年の小田急グループの売上高を見ると上方に推移しています。営業利益も順調に推移していて収益性に関しても良好であるといえます。また、ROEも直近3年間は減少傾向にありますが10%に近い水準となっており、株主から出資された資金を効率よく利用して利益を上げているといえます。
 
参考資料:決算短信
[http://www.odakyu.jp/ir/shared/pdf/settle/2016/20170428tanshin.pdf]
 

小田急グループのまとめ

小田急グループは自社の鉄道事業を活かして、その沿線で消費者のライフスタイルに関連するさまざまな事業を行っておりますので、多角化により小田急グループ全体として安定的に収益を上げている印象でした。また、不動産事業に関連して相続事業も開始するなど、これからも関連サービスの拡大に期待できそうです。
 
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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