コングロマリットには良し悪しがある
みなさんはコングロマリットという言葉をご存知でしょうか?2017年6月5日(月)の日本経済新聞朝刊の記事に「コングロマリットの松竹梅 東芝は『専業』から出直しを」という記事が掲載されました。
この記事では、多くの事業を抱え込む複合企業(=コングロマリット)の中にも良い企業と駄目な企業があると述べています。今回はその双方を解説します。
コングロマリットの定義
では、まずコングロマリットとは何なのでしょうか?
辞書ではこうあります。
語源としては、「本来くっつくはずもないものが無理やりくっつく」という意味があるそうです。この語源から考えると、昔の人はこういった複合企業は上手くいかないと思っていたのかもしれませんね。
日本と世界のコングロマリットとされる企業
具体的なコングロマリットとされる企業を挙げると、世界と日本国内で以下の企業が挙げられます。
世界のコングロマリットとされる企業
【世界のコングロマリット】
- LVMH(アパレル系)
- ゼネラル・エレクトリック(機械系)
- 3Mなど(化学系)
日本のコングロマリットとされる企業
【日本国内のコングロマリット】
- 日立(機械系)
- 楽天(ネット系)
- ソニー(電気系)など
世界一のコングロマリットはGE
コングロマリットの定義が曖昧なので、なかなか該当企業を挙げるのは難しいですが、上記の会社は確実に当てはまっていると思います。
楽天は主力のネット系以外に旅行、金融などを、ソニーは主力の電気系に加え金融やエンタメ系を擁しています。
中でも、世界一のコングロマリットと言われているのがゼネラル・エレクトリック(以下、GE)です。GEの事業は航空機エンジンから始まり石油関連ビジネス、医療機器、不動産、金融まで幅広く行われています。
コングロマリットのメリット・デメリットとは
ここまで、読者の皆さんにはコングロマリット企業のイメージが湧いてきたのではないでしょうか。
では、ここからはコングロマリット企業のメリット、デメリットに触れていきたいと思います。
コングロマリットのメリットとは
【コングロマリットのメリット】
- 上手く行けば業種間でシナジー効果が得られる。(これは範囲の経済とも言えます。)
- 各事業が独立しているので事業の再編、M&Aがしやすい。
- 事業の分散によるリスクの分散効果が期待できる。(ある事業が不調であっても他の事業が好調になり得るということです。)
コングロマリットのデメリットとは
【コングロマリットのデメリット】
- 個々の事業価値を足し合わせた時価総額よりも株式価値は低くなりがち。(これをコングロマリット・ディスカウントと言います。)
- 事業を広げすぎて事業部内の情報が会社全体に伝達されにくい。(東芝がこの状態であると考えられます。)
良いコングロマリットは3M、悪いコングロマリットは東芝
コングロマリットには以上のようなメリット、デメリットが存在し、前述した日本経済新聞の記事ではこのメリットをうまく活かしている企業として3Mを、活かしきれていない企業として東芝を挙げていました。
M&Aで増えるコングロマリットの良し悪しを観察
さて、今回はコングロマリットを見てきました。
近年は、M&Aが多くなりコングロマリットと呼べるような企業も多くなっているように新聞を読んでいて思います。しかし、それと同時に東芝のように事業が広がりすぎて業績が芳しくないというニュースも多く見かけます。
そこで、コングロマリットのメリット・デメリットを頭の片隅においてニュースに目を通していただければと思います。
編集者:株式会社mannaka
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