リクルートのビジネスモデル、独自の海外M&A戦略とは? 「まだ、ここにない、出会い。」の創造を経営分析

人材大手のリクルートを分析

ITによる教育ビジネスが広がりを見せている中、2017年2月23日の日本経済新聞の朝刊に「株式会社リクルートホールディングス(以下、リクルート)傘下の英クイッパーが、講義動画の配信や成績管理支援などのサービスで、フィリピンやベトナムに進出先を拡大」という報道がされました。
 
このリクルートという会社ですが、私たちが生活する様々な場面で活躍しています。今回はリクルートが一体どんな会社なのかを簡単に見てまいりましょう。
 

リクルートの主な事業内容

リクルートには国内機能会社、国内事業会社、海外事業会社が存在しています。中でも、主な国内事業会社は以下に挙げられるものとなります。
 
社員募集領域
株式会社リクルートキャリア (サービス例 リクナビ)
 
人材募集領域
株式会社リクルートジョブズ (サービス例 タウンワーク)
 
人材派遣領域
株式会社リクルートスタッフィング、株式会社スタッフサービス・ホールディングス
 
住宅領域
株式会社リクルート住まいカンパニー (サービス例 SUUMO)
 
結婚、進学、自動車等領域
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ(サービス例 ゼクシィ)
 
日常消費領域
株式会社リクルートライフスタイル (サービス例 HOT PEPPER)
 
人材開発、組織開発領域
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
 

リクルートのビジネスモデル 「企業と生活者を繋げる」

リクルートのビジネスモデルとしては、プロダクトやサービスの送り手である企業(クライアント)と、受け手である生活者(ユーザー)の間に立ち、様々なメディアを通して両者を結びつけています。
 
ユーザーには、自身も気づいていない新しい発見や可能性などに対して最適な意思決定ができるようにサポートし、クライアントに対しては、事業発展のためにまだ見ぬユーザーとの出会いをリクルートは生み出しています。
 
リクルートのコーポレートメッセージにある「まだ、ここにない、出会い。」の場を創り出しています。
 

リクルートの業績


Table リクルートの財務情報
 
リクルートをグループとして売上高の構成を見ていくと、販促メディア事業が21.8%、人材メディア事業が22.4%、人材派遣事業が55.5%となっています。
 

リクルートのM&A戦略 3つの鉄則とは?

また、リクルートの特徴に積極的なM&Aがありますが、ここで少し触れておきたいと思います。その手法には3つの鉄則があるようです。
 
1つ目は、海外企業を買収する場合、海外の現地とリクルート流の経営に親和性があるかどうかを、小さな企業を買収し検証することで判断します。親和性が立証されれば大型案件に進むというものです。
 
2つ目は、投資基準を内部収益率10%以上としています。
 
3つ目は、仲介者任せにせず、トップ自らも買収交渉に参加し、企業文化・社風・ビジョン等を話し合った後、リクルートグループに入りたい会社だけを買収するというものです。
 

リクルートのCFO

佐川 恵一(さがわ けいいち)
取締役兼専務執行役員
 
1988年4月 株式会社リクルート入社
2000年10月 HR-DC HRディビジョン 首都圏統括部代理店部エグゼクティブプランナー
2004年4月 HR-DC HR東海ディビジョン ディビジョン長
2006年4月 株式会社リクルート 執行役員
2012年10月 株式会社リクルートホールディングス取締役 兼 執行役員
 
直近では、2016年にオランダの人材派遣大手のUSGピープルの買収に関与。リクルートの積極的なM&Aに大きく貢献しています。
 

リクルート、成長の鍵はM&Aのリスクマネジメント

今回、M&Aについて触れましたが、積極的なM&Aにはリスクが潜在しています。企業買収に伴うのれんは営業利益の圧迫要因になるため、その点について懸念されています。このリスクをどのように解決していくかが今後のリクルートの存続と成長のキーとなるでしょう。
 
M&A戦略も含め、簡単にリクルートを紹介してみました。CFOを目指される方は色々な企業を浅くとも広く知っておくといいですね。
 
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
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