市場調査大手マクロミルを解説
マクロミルという会社をご存知でしょうか。
マクロミルは、インターネットを用いた調査業務に定評のある会社です。東アジアや欧米を中心とした13カ国以上に34の拠点を展開し、広告代理店、マスコミ、メーカー、官公庁等々さまざまな業界の企業の活動を支援しています。消費者である私たちも、製品の好感度調査等、様々な場面でマクロミルの調査を目にしています。
今回は、企業の市場調査を支援するマクロミルについて解説します。
マクロミルの概要
マクロミルの基本情報
- 社名:株式会社マクロミル(英文社名:Macromill, Inc.)
- 設立年月日:2000年1月31日
- 資本金:674百万円(2017年6月末時点)
- 連結売上収益:35,514百万円(2017年6月期)
- 上場証券取引所:東京証券取引所市場第一部(証券コード:3978)
- 従業員数(2017年6月末時点):1,890名(連結) 893名(単体)
- 事業内容:マーケティングリサーチ事業
グローバルリサーチ事業
デジタルマーケティングリサーチ事業
データベース事業
セルフ型リサーチASP事業
その他マーケティングに関するコンサルティング事業
出典:マクロミル 企業HP(https://www.macromill.com/company/profile.html)
マクロミルは、市場調査を行う日本の大手企業です。インターネットを利用した市場調査の草分け的存在と言われています。
従来、市場調査は紙媒体で行われることが中心でした。インターネットが普及し始めたころ、マクロミルはインターネットを用いて調査を簡単に行える独自の回答システムを開発し、安価でスピーディーな調査を売りにして大きく成長しました。
現在、マクロミルの日本国内での年間取引社数は2,000社、プロジェクト実施本数は25,000件以上に上り、市場調査業界のリーディングカンパニーです。
マクロミルは、実は東証一部に二度上場しています。マクロミルは2000年の創設後、2004年1月に東証マザーズに上場し、翌年4月に東証一部に指定替えとなりました。
しかし、その後、市場拡大によって新規参入者が増え、競争が激化しました。環境の変化に耐えうる競争優位性を築くためにはコストを要する大型のM&Aや積極的投資が必要になってきます。このような施策に伴う短期的な業績変動への株主からの追及を避けるため、マクロミルは2014年4月に上場廃止を決断し、米国系投資ファンドのべイン・キャピタルの傘下で経営改革に取り組みます。
2014 年 10 月にオランダの同業大手、メトリックスラボ社をマクロミルは買収してからは、メトリックスが持つ欧米での調査網を活用して国内企業の海外での調査業務や、海外企業の日本での調査需要を取り込むことに成功しました。
その結果、マクロミルの業績は上向き、2017年3月に東証一部に再上場を果たしました。
出典:
2017年6月期 有価証券報告書
(http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2595920)
マクロミル 企業HP
(https://www.macromill.com/advantage/)
マクロミルの業績
出典:SPEEDAより筆者作成
マクロミルの近年の業績を見てみると、2015年6月期は赤字であるものの、その後は増収増益で好調です。2017年6月期の売上高当期純利益率は10.4%と、高い利益率を上げています。
市場調査業界の市場規模
出典:一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会
(http://www.jmra-net.or.jp/activities/trend/investigation/)
「第38回経営業務実態調査」~「第42回経営業務実態調査」をもとに筆者作成
一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会によると、市場調査サービス業界の2016年時点の市場規模は2,099億円です。これは前年度比107.9%であり、市場調査サービス業界の市場規模は順調に拡大しています。
マクロミル、米調査会社アクトゥラスを買収・W&SHDと資本業務提携
マクロミルは、2017年9月21日に、米国の調査会社アクトゥラスの買収を発表しました。また、同日、岡山県にあるW&S ホールディングスとの資本業務提携を発表しました。
マクロミル、米調査会社アクトゥラスの買収の意図
まず、前者について説明すると、アクトゥラスは米国と英国に事業拠点を持つ調査会社です。アルコール飲料、化粧品、潤滑油業界等、様々な業界の優良グローバル企業と取引があります。調査手法は従来型の紙媒体が中心です。マクロミルはアクトゥラスの優良な顧客基盤を活用し、自社が得意とするインターネット調査のグローバル展開をより加速させる意向です。
マクロミル、W&Sホールディングスと資本業務提携の意図
次に後者について説明するとW&S ホールディングスは、岡山県にある企業です。W&S ホールディングスは自社で調査モニターを抱えており、市場調査の目的に応じて回答対象者を抽出し、それを貸し出すサービスを行っています。東南アジア地区、特にベトナム、インドネシア及びタイの 3 カ国を中心に、事業を展開しています。マクロミルは、W&S ホールディングスと協業することで、東南アジアでの事業を拡大する予定です。
出典:マクロミル プレスリリース
(http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1515157)
(http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1515159)
マクロミル、M&Aで海外事業拡大に期待
今後もマクロミルは海外でのさらなる事業拡大が予想されるでしょう。今後も、海外に豊富な顧客基盤を有する企業のM&Aが行われるかもしれません。マクロミルの動向に注目です。
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
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