オンワード、化粧品VB買収で「化粧品業界」参入
2017年2月2日の日本経済新聞「オンワード、VB買収し化粧品参入 自然派商品で顧客開拓」で株式会社オンワードホールディングス(以下、オンワード)が自然派化粧品を扱うベンチャー企業の株式会社KOKOBUY(ココバイ)を買収し、化粧品業界に参入すると報道されました。アッパーミドルと呼ばれる中流の上の消費者層をターゲットに事業展開をすることで有名なオンワード。今回はオンワードの概要から業績、今後の経営戦略に迫ります。
オンワードHDの事業概要 アパレルを主に3事業展開
オンワードの事業領域は主に以下の3つです。
- アパレル関連事業
- リゾート事業
- サービス関連事業
オンワードHD、売上の約94%を「アパレル」が占める
オンワードは主にアパレル関連の事業を運営しており日本だけでなく、アジア、アメリカ、ヨーロッパを中心に104社もの関連会社を有する企業です。
リゾート事業では栃木やグアムなどでゴルフクラブやホテルの運営をしています。サービス関連事業では店舗経営のコンサルティングや催事の企画など様々な事業を運営しています。
しかしアパレル関連事業の占める割合が高く、2016年2月期ではオンワードの売上の約94%をアパレル関連事業が担っています。
オンワードHDの業績 「消費増税」「インバウンド低下」で営業利益悪化
オンワードの業績から財務状況を分析します。
図 オンワードHD 連結決算推移
オンワードHD、2年で営業利益約64億円悪化
オンワードの営業利益の推移を見てみると、2014年以降2年間で約64億円も営業利益が悪化しています。
オンワードHD、アッパーミドルの購買意欲低下で営業利益悪化か
低価格層を狙う「ユニクロ」、「しまむら」や、高級ブランドを扱う海外のブランドと異なり、オンワードはアッパーミドルの消費者層をターゲットにしていることで有名です。しかし消費税率が2014年に8%に引き上げられたことにより、アッパーミドルの購買意欲が低下し、低価格商品に移ったことが営業利益低下の原因と考えられます。
オンワードHD、インバウンド需要低下で実店舗販売に厳しさ
またオンワードは海外の旅行者が日本で購買するインバウンドの割合が多かったのですが、2016年に入り中国の資金流入制限の影響や金融市場の不安定な動き等によりインバウンドの需要も低下しているため、実店舗による販売の拡大は厳しいのが現状です。
オンワードHDの今後の経営戦略 EC販売強化へ
オンワードHD、EC販売拡大で実店舗との相乗効果を狙う
オンワードは実店舗での販売拡大が難しいため、ECでの販売・売上の強化を図っています。
2015年3月に社長に就任した保元道宣氏はIT企業でEC関連の事業を100億円に育てた実績があり、今後もECによる販売に注力すると予想されます。ECの事業が拡大すれば、単にECによる売上が上昇するだけではなく、EC内でのブランド化が進むことにより、実店舗に足を運ぶお客さんも増やす相乗効果が期待されます。特に、オンワードがまだ店舗を置いてない地域でもECで商品を届けることができ、ECによる売上が多い地域には店舗を拡大することもできます。
オンワードHD、越境ECとインバウンド実店舗販売を強化 ラオックスと合弁会社設立で
また、オンワードは2015年9月にラオックスとの合弁会社を設立しました。この合弁会社によって海外在住者向けのEC販売(越境EC)と日本に旅行に来た外国人のための実店舗での販売(インバウンド)の拡大を狙います。
オンワードHD、ビジネスモデルの進化・成長に期待
IT化、消費増税による購買意欲の低下により、今まで通りのビジネスモデルを継続するだけでは生き残りの厳しいアパレル業界。アッパーミドルを代表するオンワードはECへの参入を足がけにさらなる成長を期待したいですね。
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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