300社以上のベンチャーを見てきた緒方氏が、世界で誰もやっていない“声”の事業を始めた理由【後編】

今回は、株式会社Voicy 代表取締役の緒方憲太郎氏にお話を伺いました。「感性xテクノロジーで新しい文化を作る」株式会社Voicyで緒方氏は、世界で誰もやっていない”声”の事業をされています。後編では、緒方氏が考える、欲しがられる人材になるための素質、姿勢について、そして今後のVoicyの挑戦についてお話をお伺いしました。
 
以下
緒方:株式会社Voicy 代表取締役 緒方 憲太郎
柴田:株式会社mannaka 代表取締役 柴田 雄平
 

欲しがられる人材になるための素質、姿勢

柴田
今回、僕らがやっているPILES GARAGEというメディアでは、「欲しがられる人材になりたい人」が必要だと伝えています。大企業からベンチャーまで活躍できる人材に、と思っていますが、一方で自分を出し切れない人たちもすごく多いと思っているんです。緒方さんが、欲しい人材というのはどういった人ですか? 若い人材も含めて、どういう人材を手元に欲しいと思いますか?
 
緒方
欲しがられる人材というのは、まず仕事を楽しめる人だと思っています。業務ももちろんそうだし、生きていること全てを楽しんでいる人は何をやるにしても良いだろうなと考えています。そういった素質があると良いですよね。あと、もう1つは姿勢ですね。姿勢というのは、バリューを生む癖があるかどうかということです。与えられた業務をやって評価されて生きていくのではなく、これをやることによって人がどう喜んだかとか、価値が生まれたかとか、自分が存在していたことに意義があったかということを考え続けられる人には、その蓄積が価値の総資産になると思っています。
 

 
僕は自分の価値や会社の価値は、世の中をどれだけハッピーにしたかだと考えています。でもこれはとても測りにくくて、最も分かりやすい尺度としては、その存在があった時となかった時の差、これが、その人や会社、サービスの価値だと思っています。自分がやった分だけ世界が変わったということに対して喜びを感じられる人は、プライドも持つし、成長もするし、変わっていくと思っています。
 
はじめはできなくても、今日何か1つバリューを生めたかな? と考えられる人は確実に伸びます。だからインターン生に対しても、「バリューを生め」と話しています。はじめはみんなとても悩みます。「じゃあ、あなたは何をしてもらったら嬉しいの?」ということを突き詰めて考えていくと、結局最後は「掃除」になるんですよね。インターン1日目はこれでいいと思っています。これをやったら、あなたがいたからこその変化が起きるんです。こうして1個ずつバリューを積み重ねていきます。
 

 

バリューを積むことだけを考えろ。天秤はいらない

柴田
いいですね、それとてもいいです! 言葉は違うにせよ、僕も会社で同じこと言っています。「作業になるな、相手が喜ぶことを自分たちがどういう風に、形や行動にしていけるかなんだ」といつも言っています。実はちょうど、さっきも同じことを言っていました。「クライアントの立場に立って考えろ! ここまでやってもらえたら嬉しいだろ?」みたいなことですね。
 
緒方
どうしても判断基準が費用対効果になったり、やっても意味がないと感じたりするけれども、その行為と意思決定に自分の存在価値はあったかというところに、判断の基準を持っていくべきだと僕は思っています。それは合理的でも何でもなくて。「今の意思決定と行動プロセスにあなたの存在意義はあったのか? 何か価値は生んだのか? 誰かの喜びになったのか?」と、こういうことを考えさせたら、その行動の根拠が、「ただ自分が楽をしたかっただけ」ということになると、その行動の源泉は「自分が面倒が嫌だ」ということだけなんですよね。結局、面倒だと思うこと、自分が楽をしたいと考えることを、逆に他の人に提供したら単純にハッピーが増えるんですよ。だから、その人が日々価値を生める人になれば、きっとその人は周囲に感謝されて喜ばれる人になる。若い時から費用対効果だったり、いかに楽をするかだったりを天秤にかけるというのはダメですね。バリューを積むことだけをさせる。天秤はいらないんです。
 

 
柴田
その経験が、3年後、5年後を全く違ったものに変えてくれますよね。
 
緒方
本人自身も、バリューを生んで良かったと思いますよね。
 
柴田
そうすると、緒方さんの下にいるメンバーは、バリューに対しての意識を持っている人が多いんですね?
 
緒方
そうですね。特に若い子には口を酸っぱくして言っています。一方で僕のダメなところは、ある程度成長した人には特に言わないという放任主義のような部分があるところですね。そうすると、任されて、よりきちんとやってくる人と、任されて手を抜く人に分かれやすいので、そこは自分も気をつけていこうと思っています。
 

 

今後、緒方氏とVoicyが挑戦していくこと

柴田
最後の質問ですが、今後、緒方さん自身とVoicyが挑戦していきたいことは何ですか?
 
緒方
世の中で「声」ってやっぱりいいね!「声」のある生活っていいね! と言える人の数をできるだけ増やしていきたいと考えています。世の中のハッピー、そしてバリューを生むことにコミットしています。
あとは、「この会社にいる人達は面白そう」、「あそこで働くとハッピーだ」と思われる組織を作りたいと考えています。これはとても難しいけれども、コミットしたいと思っています。でも世間には、楽をした方が勝ちだと思う人や風潮が出来ているから、その人たちを変えるのはとても難しいです。例えば「甲子園に出るまでにたくさん練習をして甲子園に出られたら幸せ、でも、出られなかったとしても幸せ」と思う人と、「汗はかくし、日に焼けるからスタンドにいるのも嫌だ」と思う人がいるので、やっぱり良いメンバーは集めなければいけないと感じています。同じような意識を常に発信し続けて、集まったメンバーには最高の環境を提供することが社長としてのミッションかなと思っています。
 

 
柴田
個人として、何か挑戦したいことはありますか?
 
緒方
個人で言うと、自分自身、社長業が初めてなので、意思決定が甘いと感じることがあります。意思決定がぶれるし、いろんな話を聞いていると「それもそうかな?」と思ってしまうことがあります。元々、企業の社長のメンターをやっていたので、いろいろな話を聞いた中で、落としどころを付けるということが得意になっていました。たくさん出た意見に対して落としどころを付けて、これでやって行こうと決めていく癖があるので、自分が1番クレイジーに考えたアイデアなのに、そもそもそれをよく考えてもいない人の意見の平均を取ってしまうことがあります。これは、ダメだと認識しています。社長として自信を持って、そんなこと言われても「こっちの方が正しいよね」と言い切れるわがままさというものを自分の中に作りたいし、そういうものが社長として必要だなと思っています。
 
みんな成長していくことが大事だと思っているので、年配の方がチームに入っても、会社は5倍、10倍に成長するから、あなたも5倍、10倍に成長していってくれないと、今持っている知識を外に出してそれだけで価値になることはないからねと言っています。成長する気がなくて、今ある経験を出したいだけだったら、定年まであと30年近く何すんねんって話なので(笑)
成長を止めないために、今まで得てきた知識だけで生きようとするのをやめて、自分はまだまだなんだという感覚を持ち続けることが必要です。僕は挑戦者であり、伸びるという成長の種を喜びつつ着実にやります。なので、もっともっと成長しないとな、と思い続けます!
 
柴田
ありがとうございました!
 
緒方
こちらこそ、ありがとうございました。
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今回は、株式会社Voicy 代表取締役の緒方憲太郎氏にお話を伺いました。後編では、緒方氏が考える、欲しがられる人材になるための素質、姿勢について、そして今後のVoicyの挑戦についてお話をお伺いしました。バリューを生む癖があるかどうか、というお話がとても刺激的でした。緒方さんありがとうございました! 前編では「声」の事業を始めようと思った背景や、これからの「声」の事業の展望について話を伺っています。まだ前編を読んでいない方は、ぜひ読んでみてください。
 
▶300社以上のベンチャーを見てきた緒方氏が、世界で誰もやっていない“声”の事業を始めた理由【前編】
 
▶︎株式会社Voicy
Sensibility Meets Technology
感性xテクノロジーで新しい文化を作る
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そのために、私たちは常に新しいことに挑戦し、新しい付加価値を生み、全力で楽しみながら成長します。
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