TUNE-UP by another life.「第12回:アラサー世代の選択肢〜大企業からベンチャーへの転職〜」

これからの時代を、自分が生きたいように生き抜くためのコラム「TUNE-UP」。人生経験のシェアリングサービス「another life.」が提供する様々な人生のパーツを組み立て、自分らしいキャリアや働き方を考えるキッカケを提供します。
 
シリーズ「アラサー世代の選択肢」では、ライフステージやキャリアの変遷など、将来の方向性に関する悩みが生まれやすい30歳という節目にフォーカス。同じ時期に変化を乗り越えた方々のインタビューから、30代の生き方とキャリアについて考えていきます。
 
今回のテーマは「大企業からベンチャーへの転職」。
 
同じ転職でも、大企業とベンチャーでは働き方や社風が大きく異なるからこそ、本当に自分の求めているものが得られる転職なのか、しっかり見極める必要があります。
 
大企業を離れ、大きく環境の変わるベンチャー企業に飛び込んだ背景には何があるのか。実際に働き始めて見えたベンチャーの姿とはどのようなものなのか。具体的な例をもとに考えていきます。
 

プロフィール

この記事で取り上げる「大企業からベンチャーへの転職」という共通点を持つお二人のアラサー時代当時のプロフィールをご紹介します。
 
水野 貴弘さん

金融系企業に勤めていた祖父や父の影響で、新卒は野村證券に就職。学生時代のアルバイトで営業の楽しさを知り、営業職を希望。渋谷区・目黒区界隈の富裕層や高所法人向けのリテールを担当し、仕事に刺激とやりがいを感じる。
 
荒木田 誠さん

町工場を営む家庭に生まれ、中小企業の現実を見て育ったことから、経営が安定した大手企業への会社への就職を決意。新卒では銀行系システム開発会社へ就職後、上流レイヤーに携わりたいという想いから外資系コンサルティングファームへ転職。4年目でマネージャーに就任する。
 

大企業で働く中で感じた課題

就活ランキングで上位に名前が上がり、求人倍率も高い大企業。仕事の規模感の大きさや、社会的な信用、安定した収入が、精神的・経済的な支えになると考える人も少なくありません。その大企業から、正反対といっても過言ではないベンチャー企業へ転職したふたり。どんな問題意識からキャリアチェンジを視野に入れるようになったのでしょうか?
 
「自分自身の成長に対する危機感」
水野 貴弘さん(野村證券→株式会社ファインズCFO〈最高財務責任者〉)
 
地方では「野村」の名前が強すぎる影響もあり(中略)証券マンとしての成長に焦りも感じていました。
 
そんな時、東京にいた頃によくしてもらっていた経営者から連絡をもらい東京へ会いに行くと、「上場を目指してCFO(最高財務責任者)として働かないか」と誘われたんです。証券の仕事で新規上場の会社をたくさん見ていたこともあり、「上場の鐘を鳴らす」場面を想像して、胸は踊りました。
(another life.記事より)
 
水野さんを突き動かしたのは、会社のネームバリューが強すぎるからこそ自分の実力が伸びきらないという不安。自分の実力だけで勝負したいという想いが、ベンチャー企業への転職のきっかけになりました。
 
「プレイヤーとして大車輪となって働きたい」
荒木田 誠さん(外資系コンサルティングファーム→アクシスコンサルティング株式会社)
 
マネージャーの仕事にモヤモヤしていました。一緒に肩を叩き合いながらお客さんと困難を乗り越えるようなプレイヤーとして働きたいのに、会社の立場を守ることばかり考えないといけない。それに、社内の他のマネージャーは本当に優秀で、「自分じゃこの人たちには勝てない」という思いもありました。
 
せっかくなら、ベンチャー企業のようにもっと全体を把握できる規模の会社で、プレイヤーとして大車輪となって働きたい。
(another life.記事より)
 
荒木田さんの場合は、大企業とは違う場所やポジションで挑戦したいという想いがきっかけです。小さな会社で「かけがえのない存在」として求められながら働くことで得られる責任感や充実感は、大企業ではなかなか味わえない喜びかもしれません。
 

転職の決め手になった想い

大企業で働く中で問題意識を抱くようになったお二人。その違和感から実際に転職に踏み切るまでにはどんな想いがあったのでしょうか。
 
水野 貴弘さん
 
その誘ってくれた経営者に非常に魅力を感じていたので、一緒に働けると思うと嬉しかったですね。
 
結論として「今挑戦しないと一生やらないし、今が挑戦すべき時だ」と考え、5年3ヵ月務めた野村證券を辞めて、ベンチャー企業のCFOとして働くことに決めました。
(another life.記事より)
 
ベンチャー企業は、経営者との距離が近さが大きな特徴。尊敬できる経営者と近くで働けるのは魅力的ですよね。しかし、経営者の一任で会社の方針が大きく左右されるからこそ、共感できない経営者と働くのは精神的負担が大きいもの。社員の距離感が近いベンチャーだからこそ、自分との相性は念入りに確認しましょう。
 
荒木田 誠さん
 
それまでの会社ではマネージャーには経験と実績が求められるけど、その会社は全くの未経験からでもいいと言ってくれて。ここならプレッシャーを感じずに、のびのびとできそうだと思いました。
 
29歳なので、2年間やって失敗すればまた元の業界に戻ればいい。だったらもうチャレンジするしかない。
(another life.記事より)
 
企業コンサルタントから、キャリアコンサルタントへキャリアチェンジした荒木田さん。背中を押したのは、「上手くいかなければ戻ればいい」という精神的なセーフティネットの存在でした。また、未経験でもチャレンジの機会を与えてくれるベンチャー企業は新しい職種を望む人にとっては魅力的かもしれませんね。
 

ベンチャー企業で見つけたやりがいとぶつかった壁

自分のキャリアに足りないものを求め、大企業からベンチャーへ転職したお二人。実際に働いて見えたのは、どんなものだったのでしょうか。
 
水野 貴弘さん
 
社内の雰囲気や制度、スピード感などの環境など、ほぼ全てにおいて、前職とは良くも悪くもギャップが多くて驚きの連続でした。
 
年齢も違えば、歩んできたキャリアも違う、独り身の人もいれば、家族や子供がいる人もいる。その環境の中で、それぞれのメンバーが求めるものと、会社の求めるものをすり合わせていくことに、初めは難しさを感じました。
 
現在の僕の仕事はCFOとして会社の成長速度を早めるために資金調達や財務戦略を立案し・実行することですが、社内の環境を整えるのも一つの役割だと思っています。(中略)単に報酬面や人事制度だけでなく、「自己成長」や「文化」の部分を重視して作っていきたいと思っています。
(another life.記事より)
 
社内環境や文化を自分たちで作り出していけるのもベンチャーの魅力のひとつ。大きな会社で元々ある文化に同化するよりも、新しいカルチャーを自ら作りながら働きたいタイプの人とは相性が良いかもしれません。
 
荒木田 誠さん
 
はじめの数ヶ月は、とにかく辛かったですね。1日に100件くらい「転職しませんか?」って電話をかけて、やっと1人つかまるみたいな。
 
ところが、慣れてくると、電話に抵抗がなくなるんです。(中略)会社名と部署名くらいしか分からないんですが、その中で、きっとこの人はこういう職種だろうっていう仮説をいくつか立てて電話をかけるんです。これがはまると、最高に楽しいんですよね。
(another life.記事より)
 
大企業と違って、知名度が低いベンチャーでは営業で苦労することも。荒木田さんは「乗り越えられると最高に楽しい」とお話していますが、ハングリー精神がない人はベンチャー企業とは相性が良くないかもしれません。
 

あなたの望むキャリアはベンチャー企業にあるのか?

おふたりの記事を参考に、大企業にはないベンチャーの魅力や、ベンチャー特有の苦労について取り上げました。ご自分の中にあるものと重なる部分はあったでしょうか?
 
「大企業からベンチャーへ転職」という共通点を持つお二人でも、それぞれのフェーズで別の想いをお持ちだったように、求めるキャリアは人によって違うもの。様々な選択肢の比較を通して、自分自身が本当に望むキャリアを考えていきましょう。
 
お二人の将来の展望や、更に詳しい軌跡については、以下の記事からご覧ください。
 
関連記事
水野 貴弘さん
https://an-life.jp/article/511
荒木田 誠さん
https://an-life.jp/article/968
 
執筆者:another life.編集部