株式会社の機関設計とガバナンスとは?

はじめに

昨今、会社のガバナンス、すなわちコーポレートガバナンスについての政府の政策や企業の取り組みが話題になっています。株式会社の機関設計、ガバナンスについて規定をしている法律は会社法です。
そこで今回は、株式会社の機関設計の多様性とガバナンスについて、解説したいと思います。
 

株式会社の機関

株式会社は、株式制度を前提として成立しています。
 
株式制度は、多数の投資家から資金を出資してもらい、責任を有限とすることで、会社への投資、資金の循環を促し、経済の発展に貢献しています。このような株式制度を前提とした場合、オーナー企業のような場合を除き、株主は多数存在することになってしまいます。
そこで、株式会社は所有と経営の分離という考え方を導入しています。多数で零細な株主は、経営に関与することが直接の目的ではない場合や、経営をするにも、そもそも株主は経営のプロではないことがあります。そのため、会社法は、株式会社の取締役(経営者)には、原則として、株主以外もなることが出来るとしています(会社法第331条2項)。
 

会社法の規定

会社法には、株式会社の機関設計に対して、種々の要求をしています。
 
まず、株式会社には、株主総会、取締役は必ず設置しなければなりません(会社法第295条、会社法第326条1項)。この二つの機関の設置を義務付けた上で、会社の規模や株式の種類によって、設置しなければいけない機関に差をつけています。会社の規模で分類する場合は、大会社と大会社以外、株式の種類で分類する場合は、公開会社と非公開会社に分類できます。
 
公開会社の場合は、取締役会を設置しなければならない義務があります(会社法第327条1項1号)。公開会社は非公開会社と比べて社会的な影響が大きいことは言うまでもありません。取締役会を設置している場合は、取締役会を監視するための監査役を設置させ、ガバナンスを働かせなければなりません(会社法第327条2項)。
 
また、大会社の場合は、財務数値の正確性が重要になってくるため、会計監査人の設置が義務付けられています(会社法第328条)。また、会計の監査をする会計監査人の給与等が取締役に握られたり、癒着を防ぐために、会計監査人を設置する会社に対しては、監査役の設置が義務付けられています(会社法第327条3項)。
 

まとめ

株式会社は、上記のようなガバナンス体制を敷くことで、会社内での不正等を防いでいます。
 
昨今では、上場会社は、他の非上場会社よりも社会に対する影響が大きいとして、コーポレートガバナンスコードを遵守することが求められています。
 
今後は、このような社会の動きを敏感に捉え、上記のような規制をきちんと理解することが会社の運営に必要になるでしょう。
 
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

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