今回は、学生の時に起業をした20代の若き経営者、株式会社クラフィルジャパンの宮下 晴光氏に話を聞きました。学生たちと年齢的にかなり近い自分だからこそ伝えられる、学生に求めること、伝えたいことをズバッと語って頂きます!
以下
宮下:株式会社クラフィルジャパン 代表取締役 宮下 晴光
柴田:株式会社mannaka 代表取締役 柴田 雄平
社会に対して価値を提供したいという思いで始めたメディア事業
柴田
今日はよろしくお願いします。じゃあまずは、御社の事業説明をお願いします。
宮下
はい、弊社は今、2つの事業をやっています。1つは男性美容のメディアで、もうひとつは美容商社です。今、全国で約120店舗に対して、健康食品などを卸していまして、これが美容商社の事業です。それから男性美容のメディアの運営もしていて、臭いや、肌荒れなどといった男性のコンプレックスに対しての悩みを解決するメディアをやっていて、この2つの事業をメインでやっています。
元々、会社を立ち上げた時は、バリバリの営業会社で、マンションに行って片っ端からインターホンを押して、通信回線を売るみたいな、結構きつい訪問販売営業をずっとやっていました。その時、たまたま紹介で美容商社のメーカーの社長さんを紹介してもらいまして、そこが美容事業の始まりのきっかけだったんです。そこから始まって、今、会社は3期目になっています。
柴田
そこから、メディアを作ったきっかけを教えてもらえますか?
宮下
最初から、ITのサービスをやりたいという思いはあって、自社の強みというのをずっと探していました。この時、美容商社を1年半くらいやっていて、取引先も全国に100店舗以上あって、美容に対する知識がかなりついてきたんです。その時に、男性×美容について検索エンジンで調べてみると、情報がかなり少ない状態だったことが分かったんです。それにもかかわらず、ニーズが結構高くて、これは価値を提供できるものだと思ったんです。自社の強みである美容の知識、エステサロンのオーナーさんの知識とかをコンテンツにした方がいいなと思いました。そうすることで、実際に高い価値を社会に提供できるなという思いでメディアをやろうと思ったのが最初でした。
柴田
ありがとう。俺とハル(宮下)の出会いって、知り合いの経営者からの紹介だったんだよね?
宮下
そうですね。元々、「僕、こんな事業してるんですよ」って話をその社長にした時に、「自分の知り合いにメディアが強い人いるよ」と言われて会ったのが、ユウヘイさん(柴田)だったんですよ。で、ばっちりがっつり紹介してほしいと言いました(笑)まだ、その時は、BiDAN(クラフィルジャパンのオウンドメディア)というメディアを作って、半年も経っていないくらいの時期でした。
柴田
差し支えなければ、最初に出会った時の印象を教えてもらえる?(笑) メディアをやっている中だと、自分たちは結構珍しい作り方をしていると思っているので。
宮下
そうですね、まず最初に思ったのは、ケノコト(株式会社mannakaのオウンドメディア)って、すごく世界観を大事にしているなって思いました。その世界観からの逆算がすごくできているなって思いましたね。世界観に合わせてのコンテンツを作っているというのが、ぶれていないっていうのがすごいいいなと思いました。加えて、ユウヘイさんは飲食店経営もされているので、またその事業とメディアに重なっている部分があって、一貫性があるなっていうのを感じましたね。
一人の学生が、経営者になろうと思ったきっかけ
柴田
ありがとう。じゃあ少し、深いところの話になっていきますが、ハルが経営者になろうと思った理由を教えてもらえますか?
宮下
はい。ポイントは2つあります。
実は元々僕は、大企業に入れるように1年浪人して大学に入ったんです。親からもずっと、「大企業に入りなさい」と言われていました。それから大学に入って、大学1年生の時は、いわゆる大学生らしいことをして、大学2年生くらいから、就活が心配だなと思ったんです。それで、インターンを始めたんですよね。その時に、ユウヘイさんを紹介してもらった社長の会社でインターンをやって、そこで初めて会社経験だとか、『社長』という存在を知ることができました。とにかくいろいろな社会人たちと会うという経験ができました。その時に、社長がかっこよく見えたんです。社員からもすごく慕われているし、やってるサービスも社会的価値があるし、会社もそれなりに大きいし。それが大学2年生の時ですから、まだ僕が21歳の時ですね。
柴田
じゃあ、21歳の時から、経営者に対してカッコイイなというような憧れがあったんだね。そこから本当に経営者になろうと思ったところに繋がる話を聞かせてもらえますか? 憧れるっていうのと、実際になろうというのは違うと思うので。
宮下
はい。それが2つ目のポイントで、その会社を辞めた後、次に入ったのが早稲田大学の2個上の先輩とマンションの1室で始めたようなベンチャーで、そこは飲食の広告媒体とかを作っていました。自社のウェブサービスをやったんですが、成功はしませんでした。でもその時、自分たちが作ったプロトタイプのサービスを実際に使ってもらった時に、自分の中で自分がゼロから作り上げたものを使ってもらえるということに対して、衝撃的な喜びみたいなものがあったんです。自分がゼロから作り出したものを価値あるものとして使ってもらえる、これは衝撃的な喜びでしたね。そう思った中で、大学3年生になって、これから社会人になってどう生きていこうかとか、というのを考える時期になり、その衝撃的な印象があったので、どうせ死ぬならやりたいことをやろうと思って、サービスを自分で作っていきたいなと思うようになったんです。
一人の学生に、起業を決心させたものとは?
柴田
ハルって、高学歴だから、大企業からの引き合もいっぱいある状態だろうし、普通に考えたら起業って相当リスクだと思うんだけど、大学生のうちとはいえ、その時にそこまで決心をさせたものは何だったの?
宮下
そうですね、たしかに自分でも、インターンを通じて、ある程度営業で実績は残していたし、学歴もあるし、大企業には行けるって思っていました。でも多分、いや、絶対いつかは起業するし、それが絶対したいことだって当時確信になったので、それだったらもう今やるしかないと思って決意しました。
実際、最初は友達にも批判されましたけど。批判というか、絶対就職した方がいいよと言われて。結局、僕の代で起業した人って自分しかいなかったんですよ。周りの友達は大体インターンしてましたね。リクルートとかサイバーとかが多かったと思います。
柴田
そうなると、その当時、周りとの温度感に違いはなかったの?
宮下
ぶっちゃけた話、相当温度感があって、友達と疎遠な感じになっていたと思います。
例えば、大学2年生くらいから社会人経験をしていたので、話はどんどん合わなくなっていきました。サークルでわぁわぁやっていても、僕はあまり面白い感じはしなかったですし、会社をやっていた方が全然面白くて。そんな感じになって、頭の使い方も変わってきたりとか、環境も変わってきたので、どんどん話が合わなくなっていきました。なので、学生の時からちょっと違う稼ぎ方をするような人だったり、個人事業主的なことをやってる人とすごい話が合うようになって、そういう人たちと一緒にいるようになったというのはありました。
柴田
当時、そのような環境で、どうやって起業したいメンバーを探したの? 相当苦労したんじゃないかな、と思うんだけど。
宮下
最初、会社を立てた時のメンバーは、僕がひたすら学生の友達や後輩に声をかけて集めました。ほとんど採用できなかったんですけど、それでも2、3人が採用できて。で、その人たちからさらに紹介をもらって、というのをひたすら繰り返していました。
若き経営者として、今の学生に求めること
柴田
なるほど。ハルが若き経営者として、今、学生に求めていることは何ですか? 今の学生って、いまだに大企業に勤めることが正解みたいな風潮がどうしてもあるじゃん? イノベーションを起こしたり、新しいことをやりたいというな学生ってまだ全然少ないと思っていて、まだ年齢的に彼らと近いハルが今の学生たちに、これからの時代を踏まえて求めていることみたいなことを教えてほしいです。例えば、起業をするのもひとつの正解だと思うし、もちろん大企業にいくのも正解だと思う。でも、今の時代って、貧富の差がかなり出てきたり、大企業もつぶれることがあるような時代じゃん。そんな時代に、今、若き経営者として、学生に求めていることを教えてほしいです。
宮下
一番伝えたいのは、本当にやりたいことをやっているのかっていうことですね。
僕自身が起業したのは、これが一番やりたいことだったからです。でも、「将来、絶対に起業するんだ」って言ってる学生ってめっちゃいっぱいいるんですけど、ほとんど起業しないんですよね。その理由は、リスクが怖かったりとか、まだ自分には早いんじゃないかとか、もっと勉強してからがいいんじゃないかとか、というもので、結局それは言い訳だと思うんですよね。でも逆に、若いうちの起業のメリットは、リスクが少ないことなんじゃないかと思っているんです。
僕が思うには、やっぱり30歳、40歳くらいで起業しますというのは、家族がいたりするとお金が厳しくなる時もあるので、かなり起業への障壁が高くなってしまうんじゃないかと思っています。なので、20代前半とかだったら国からの融資も障壁低かったりとか、応援してくれる経営者の方がたくさんいたりとか、そういう部分で大きなメリットはいくつもあると思います。若い時に起業した方が、経験値は圧倒的に積めると思うので、そこも大きいメリットの一つだなと思いました。
柴田
ハルが経営を始めた最初の時って、お金ってどういう風にしていたの?
宮下
最初、起業する前の時に、学生チーム8人ぐらいで営業をして貯めました。なのでまずは0円スタートして、そこから150万くらい貯めました。その時の給料は完全歩合でしたね。一番多い人は、50万くらいもらっていました。
若き経営者が起業の時に苦労したこと
柴田
ハルがスタートアップの時に大変だったことがあれば教えてください。
宮下
結構たくさんありますね。でも、一番苦労したのはマネジメントですかね。社会人経験がない学生をゼロから育てて、営業ができて成績を上げられるようにしないといけないので、そこの教育・マネジメントは大変でした。完全歩合なので育ててあげないと稼げない。稼げないと辞めちゃうし。結局、社会人と同じことをしているので、契約も簡単には取れないんですよね。圧倒的に契約を取らせるためにはどうすればいいんだろうみたいなことについてはかなり悩みました。
若き経営者が学生起業家たちに一番伝えたいこと
柴田
そういう経験をしてきたハルが今、学生起業家たちにメッセージを伝えるとしたら、どんなことになりますか?
宮下
まず起業の初期の段階ということだったら、本当にいろいろな経営者に相談した方がいいなって思います。やっぱりゼロからスタートする時って、どうしても何もわからない状態じゃないですか? 僕自身、会社登記にいくらかかるのかとか、どのぐらい時間がかかるのかも分からないし、例えば、売上を上げるということですら、どうやっていいのかも分からないみたいな状態だったんですね。そうなった時に、やっぱりゼロから自分であれこれ調べて探すよりも、いろんな人にアドバイスをもらっていった方が早いし、そこから得たヒントを全速力でがむしゃらにやるっていうのが初期の段階では大事なことだと思います。
でも、一番伝えたいことというのは、一言で言うと自己実現してほしいという言葉になります。人生って1回きりしかなくて、本当にこれ以上ない人生だったなって死ぬ時に思えたら、それが最高だと思っていて、僕自身は、自己実現のために自分が作ったサービスを多くの人に使ってもらいたいという思いがあって事業をやっています。スティーブ・ジョブズも言っていたんですけど、もし今日が最期の日だったとして、今日することは本気でしたいことなのか? と自分自身に問う、と。自分がやっていることは間違いないなと思っています。1日1日、自分のやりたいことをひたすらやっていくことが大事なんじゃないかなと思っています。
柴田
なるほどね。例えば、これまでの話と全く逆で、ハルの10歳くらい年上の人たちで、今ハルが言ってくれたことを体現している人ってどれぐらいいると思いますか?
宮下
正直、全然いないと思います。もちろん本気の度合いってその人次第なので、正確には分からないですけど、飲み屋とかで仕事や会社の愚痴を言ったりしてる人を見ると、なかなかそれができてない人が多いんじゃないかと思いますね。そういう人には絶対なりたくないと思っていますし、若い人には将来そういう人になってほしくないなとも思います。いつか僕の子どもとかできたら、とにかく自分の好きなことやってほしいと思います。
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学生の時に起業をした20代の若き経営者、株式会社クラフィルジャパンの宮下 晴光氏に話を聞きました。前編では若き経営者が、学生に求めること、伝えたいことをズバッと語って頂きました。いつかは起業を、と思っている今の学生たちに大変刺激になる話でしたが、自己実現をしたいと思っているのは起業したいと思っている人だけではなく、そういう意味では全ての人にとって価値あるメッセージだったのではないかと思います。
後編では、宮下氏が考える今後のメディアについて、そして今後の目標などについてさらに突っ込んでお話を聞いていきます。後編もぜひお楽しみに!
▶︎株式会社クラフィルジャパン
より多くの人が自己実現できる社会を創造する
クラフィル(clafill)とは、「明確にする」という意味の単語であるclarifyと、「夢を叶える」、「実現する」という意味の単語であるfulfillの造語です。企業理念にある 「理想的な未来」とは、多くの人が夢を叶え、 自己実現を達成できる世の中 という意味であり、私たちは、今ある常識を覆し、 その理想的な未来を 「明確」にしていきます。
HP:http://clafill.so-good.jp/
オウンドメディア「BiDAN」:http://www.healthy-style.jp/