ベンチャーから一気にグロースした、今注目の企業 株式会社おかんの人材育成方法【後編】

今回は、今注目のベンチャー企業、株式会社おかんの代表の沢木氏にお話を伺います。株式会社おかんのサービスである法人向けぷち社食サービス「オフィスおかん」は、そのコンセプトの分かりやすさが社会的時流に乗り、テレビ東京・NHK・TBS・日本経済新聞などに取り上げられ、瞬く間にその認知度を広げました。前編では、沢木氏に株式会社おかんがサービスをスタートさせてからの話と、社内の人材育成などについてお話を伺いましたが、後編ではさらに深く詳しく社内のことやこれからの未来の予見、若い世代へのメッセージなどについてお話を伺います。
 
以下
沢木:株式会社おかん 代表取締役 沢木 恵太
柴田:株式会社mannaka 代表取締役 柴田 雄平
 

株式会社おかんの沢木氏がこれからの若い世代に求めること

柴田
これからもどんどん社員数を増やしていく予定はあると思うんですけど、これから来る若い世代の人たちに求めていくものを教えてください。世の中的には、やっぱりまだ大卒かどうか見られたりすると思うんですけど、これからおかんに来て欲しい人材ってどんな人なのか、というところも含めて教えてほしいです。
 
沢木
今の正社員は、大卒も高卒も短大卒もいて、あまり学歴は重視していないというのが現状です。先ほど(前編)でもお伝えしたように、ミッションフィット、カルチャーフィット、ポテンシャルフィット、スキルフィット、という部分に対するフィット感が強いのが重要だと考えているからです。
ミッションフィットというのは、まず我々のミッションにどう共感してもらうかということではあるんですけど、これは僕らのミッションと、本人のミッションをすり合わせる必要があると考えているんです。つまり、すり合わせる必要があるということは、まず本人にミッションやビジョンがないと成り立たないわけですよね。なので、将来が漠然としていてもいいから、自分はこんなことがやりたいんだとか、こんなことを実現したいんだとか、というその考えがあるかどうかで、僕は採用の判断をしている部分があるのが実情です。まずそこがない方はこれからすり合わせることが出来なくて、どうしようもないので。そこをしっかりと持っている方であれば、別に学歴や年齢がどうこうという問題ではないと思っています。その上で、その方の将来やりたいことに通ずるステップが僕たちと一緒にやることであって、それがお互いにとってプラスなのであれば、一緒に全力で仕事をすべきだなと思っていて、それを双方向で判断する必要があるので、将来自分は何をするんだという考えを大前提として持っている方が望ましいかなと思っています。
 

 
 

株式会社おかんに育休明けの社員が多い理由

柴田
なるほど。今の社員の全体の中で、男性女性の比率や年齢はどういう感じになっていますか?
 
沢木
今、従業員数が40名くらいで、男女比については女性が最近多いですね。たぶん4分の3は女性だと思います。いや、もっといるかもしれないですね。平均年齢は30歳前半で自分がちょうど平均くらいです。一番上の年齢の人は、正社員だと43歳で、一番下はインターンを入れると20歳とかになりますね。インターンを入れないと20代半ばくらいになると思います、 新卒はまだ取れていないので。
 
柴田
それは意図として、そういう割合になった感じですか?
 
沢木
いや、全く意図していないです。先ほどもお伝えしたように、弊社はミッションフィット、カルチャーフィットを重要視しているのですが、他社さんだと男性か女性かとか、子どもがいるかいないかとか、産前産後かどうかとかで、影響が出てくると思うんですけど、うちはそこは全くないんですよ。なので、分かりやすい例えをすると、子どもを産んで、育休をとって、ちょうど復帰のタイミングですという人がいた場合、他の会社はあまり採用をしたがらないんですよね。ただ、僕らはそういうタイミングの人を意図的に採用していたりするんですよ。実際に弊社には今、育休明けで入社しているメンバーが3人ぐらいいます。もちろん、最初の1か月間とかはちょっとぐだぐだなところもあるんですけど、まぁそれも想定済みです。それは本人にも言っています。僕も子どもが4人いるので、多少しょうがないということは分かりますし。ちなみにうちは既婚率も高いですね。正社員も半分以上が既婚で、未婚は5人くらいじゃないですかね。子どもがいる社員も多く、ママさん社員とかも結構いますね。そこは意図しているわけじゃないんですけど、結果論としてそういう状況になっています。
 

 
 

沢木氏の予見:能動的な選択ができない人は淘汰されていく時代が来る

柴田
今ってものすごく働き方の改革ってことが叫ばれているじゃないですか? でもなかなか対応できている企業も少ない中で、沢木さんは今後の組織や人材ってどうなっていくと予見していますか?
 
沢木
うわ、それ、ものすごく広い話ですね! 難しいなあ(苦笑) 僕は能動的な選択ができる人になってほしいというのを、子供に対しても、社員に対しても思っているわけですが、多分、今後さらに多様な世の中になっていくと思うんですよね。そして、多様になればなるほど、ちゃんと自我を持っていて、それをどうしたいのかという意志がない人は、淘汰されていく可能性が高いと思います。単純作業をやれるということならいいんですけど、でもそこもさらにロボットに置き換わっていくという状況になると、どれだけ主体的に付加価値を乗せられるかがとても重要になってきますよね。単純作業をこなすことが幸せだと思っている人には、これを強いる必要はないと思っていますが、やっぱりもっと能動的に豊かな生活をしたいと考えるのであれば、能動的な選択を取れるような素地を持つ必要がありますよね。そのためには自分がどういうことをしたいのか、どうなりたいのかという自分のキャリアをプランニングをする力を持つことと、それをどう実現するかという力が必要になります。そして、これってすごく当たり前の話なんですけど、こういった力は能動的なメンタリティを持って動いていない限り、勝手にはつかないとも思っています。
 

 
柴田
あと、沢木さんに聞きたいことはフリーランスという働き方についてですね。沢木さんは経営者として社員を抱えているじゃないですか? 一方、今日本の人口の10%くらいがフリーランス登録をしているという発表があって、そういう人たちが安価で仕事を受けてしまっているという状況について僕はあまり良くないなという印象を持っているんですけど、正社員とフリーランスの違いに対しての見解とかを聞きたいです。
 
沢木
それはぶっちゃけ雇用形態の差なので、フリーランスだろうが正社員だろうが、派遣社員だろうが業務委託だろうが、何でもいいかなと思っています。でも、確かにフリーランスであることがイケてるみたいなのはちょっと違うよなとは思います。要するに何をするか、何で食っていくかという話だと思うので。この会社も兼業はOKにしていますし。多分フリーランスという選択を取っている方は、通常、会社に勤めるよりは自由だし選択肢が広いからということでやっているんだと思うんですけど、これからの時代がどうなっていくか分かりませんが、きっと企業に勤めていても、そういう未来が来ると思っています。そうじゃないと企業が人を雇うということを持続できなくなってしまうので。そうなってくると、そのメリットは薄れていくはずなんですよね。そうなった時に、それでもフリーランスでやる理由みたいなものが、どれだけその方にあるかどうかっていう話になってくると、やっぱり結局何を成し遂げたいのかという話が重要になってくるんだと思います。だから、別にフリーランスか正社員かどうかの議論はどうでもいいかなというのが、正直なところですね。だから、会社として、副業をすごく勧めるわけでもないし、否定をするわけでもないし、どっちでもいいんじゃないみたいな感じのスタンスですね。
 
 

起業をしたいという若者に向けてのメッセージ

柴田
なるほど。それから最近僕のところには、起業したいですという大学生ぐらいの子が結構来るんですけど、起業をゴールとしているような人が多いと感じていて、沢木さんは、そういう人って起業をした方がいいと思いますか? そういう子たちにアドバイスするとしたら、どういうことになりますか?
 
沢木
うーん…起業…しない方がいいんじゃないかな?(笑) そういうアドバイスに耳を傾けている人は起業しない方がいいんじゃないですかね。起業する人は誰が何を言おうと、どうせ起業するんで。そういう人じゃないと結局生き残れないですよね。胆力をすごい持って、やり遂げる強烈な熱意とビジョンが必要な中で、誰かが起業した方がいいと言ってたから起業しようみたいな人は、起業したところで、大したこと成し遂げる気はしないので。起業したいという人に対しては、好きにしたら? という感じです。でも、本当に起業したいのであれば、なるはやで起業した方がいいと思いますね。結局、起業して初めて分かることってたくさんあるわけじゃないですか? その立場になって、知り得るということもすごく多いので、そういうのは早めに見た方がいいと思いますね。失敗する、成功するというのは別にして、最近やっぱり2周目の経営者って優秀だなと思っています。僕はまだ1周目なので分からないんですけど。最近よく仲間うちでは「強くてニューゲーム」をやりたいよねとか話しています(笑) そのためには、学生とかリスクがあまりない早いうちから、そういうことにチャレンジしておくこと自体はポジティブかなと思います。でも本質的にはやりたければどうぞという感じですかね。
 

 
 

株式会社おかん沢木氏がベンチマークしている企業とは?

柴田
最後の質問になるんですけど、最近ここの会社やサービスが面白いよというのがあったら教えてください。僕自身は、最近ベンチャーブームみたいのがちょっと終わったなという感じがしていて、なんかあまり新しいところが突出して出てくるみたいなところがないなと感じているので。
 
沢木
すごい有名ところで、僕らベンチマークさせていただいているのは、メルカリさんですね。あそこはまさに2周目、3周目の起業家の方がやられていて、先ほどお話したようなミッションやカルチャーが重要みたいな話を彼らもすごく重視していて、オペレーショナルなビジネスモデルでもあるので、ベンチマークとしては最適だと思って勉強させていただいています。ビジネスモデルも面白いですし。
あと、僕らはBtoBのビジネスをやっているので、BtoBのビジネスに対しては、すごく興味を持っていつも見ていますね。昨年勢いがあったSmartHRさんとか。代表とは仲良しで、お互い起業する前からの友達だからというのもありますが、彼はすごくうまいなと思います。自分たちが今、組織をどうしていくかっていうのをすごく本気で考えて努力しているフェーズなので、組織の部分をうまくやっているメルカリさんや、ベンチャーじゃないですけどヤフーさんとかライフルさんもすごく注目をしていますね。
 
 

 
柴田
いろいろと面白いお話しをありがとうございました。
 
沢木
こちらこそありがとうございました。
 
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今注目のベンチャー企業、株式会社おかんの代表の沢木氏にお話を伺いました。
前編後編に渡り、株式会社おかんがサービスをスタートさせてから社会的時流に乗り、注目を集め、一気にグロースしたという話や、その背景にあった独自のビジネスモデル、そしてそのオペレーショナルな部分として社内の人材育成などについて、そしてこれからの時代の予見や若い世代へのメッセージについてお話しいただきました。
まず、自分が何を成し遂げたいのかがすごく大事で、それを実現する上で一緒にやれるパートナーとして会社があり、最適な雇用形態がある、それは起業をするという選択肢も含めて、ということがよく分かりました。
沢木さんありがとうございました。
 
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「働くヒトのライフスタイルを豊かにする」をミッションに活動しています。
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