東芝で話題の債務超過を解説
2017年2月12日の日経新聞で、債務超過が危ぶまれる東芝がさらに4,000億円前後の赤字を計上したと発表しました。2017年3月末に債務超過を回避すると報告しています。ニュースを聞いて東芝が経営危機に陥っていることは理解できるかもしれませんが、債務超過を十分に理解していない人も多いのではないでしょうか?中には債務超過と倒産は同じだと考えている人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は債務超過について説明します。
なお、こちらの「図解でしっかり理解する! 債務超過とは?」という記事でも債務超過を解説しています。
債務超過とは?
債務超過とはどのような状態なのでしょうか?
下のChart 1を見てください。
会社は株主から集めた資本金や今までの純利益の累積である内部留保を合わせた資本と、銀行などから借り入れた返済義務のある負債を貸借対照表の貸方に記入し、それらを元手として調達した設備や現金、製品、子会社の株式などの資産を借方に記入します。
しかし子会社の収益性の低下に伴う減損や、純損失が計上されると、それに伴い資本が減り、対応する資産が減少します。そして資本を上回るまで赤字が続くと資本の額がなくなり、マイナスの状態になります。この場合、負債額が資産額を上回るため、会社のすべての資産を売っても借り入れた負債を返済することができないのです。
これが債務超過です。
Chart 1 債務超過に至るまでの貸借対照表
債務超過と倒産の違いは?
倒産とは?
実際は債務超過に陥る前に倒産する企業がほとんどです。
しかし、逆に債務超過になってもすぐに倒産しない企業もあります。この違いは何なのでしょうか?
まず倒産についてですが、実は債務超過のように明確な定義はなく、様々な意味で用いられます。一般的な意味として以下のようなことが挙げられます。
- 6か月以内に2回の不渡りを出して、銀行取引停止処分がされた時(「不渡りとは? 経営の赤信号解説」を参照)
- 破産手続きや再生、更生手続きなどの裁判所に関わる法的整理の手続きが行われた時
つまり、債務者がお金の支払いを滞らせ、銀行や裁判所から処分を受けた状態が倒産というのが一般的です。
債務超過は経営の危険信号
では、資産を全て売り払っても負債を返済できない債務超過と倒産はどのように違うのでしょうか?債務超過で会社の支払能力が悪化しても社長や役員のお金で建て替えるなどの方法で債務の返済を滞らせることがなければ倒産は免れることはできるので、倒産=債務超過ではありません。
逆に多くの企業では債務超過になる可能性が見えた時点で、債務の返済を完了することができないと判断し倒産することもあります。
債務超過のまとめ
債務超過が危ぶまれる東芝は収益性の高い半導体事業を分社化し、その新会社の株式や東芝の出資している企業の株式を、他の企業や投資ファンドに売却することで7,000億円という原発事業の巨額な減損費を埋め合わせようとしています。これにより債務超過を回避し、企業を再建して再び日本を代表する企業として活躍して欲しいですね。
会社を運営する社長のみならずお金を管理する責任のあるCFOは、もしかしたら人生で1度や2度、倒産や債務超過の現場に遭遇することがあるかもしれません。日頃接することの少ないトピックで、なるべく関わりたくない分野ですが、しっかりと概要を把握することをお勧めします。
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
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