楽天が主力事業でまさかの失速!?

はじめに

2017年2月13日の日本経済新聞で、インターネット 通販事業を主力とする楽天株式会社が、ポイント事業の重荷により、純利益を前の期比14%減の379億円と2期連続で減益となったと報じられました。ネット通販市場で攻勢をかけるヤフーやアマゾンに対抗するため、商品購入時のポイント付与を最大7倍に増やした結果であり、かつてのスーパーがセールに依存して収益力を落としていった姿と重なります。
 
ここでは、金融事業は好調ですが、他の多くの事業で赤字である楽天についてみていきます。
 

楽天の事業内容

楽天の公式HPによると主力事業は以下の通りとなっています。
 

  • インターネットサービス

市場事業 ・トラベル事業 ・その他、国内インターネットサービス ・海外事業等
 

  • 金融サービス

クレジットカード事業 ・銀行事業 ・証券事業 ・電子マネー事業等
 

  • その他

通信事業 ・プロスポーツ事業等
 
上記の通りインターネットサービスを中心に多くのサービスを提供しています。
 
海外でも事業を展開しておりますが、赤字事業が多く、前期は米ヴィキなどの「のれん代」として243億円の減損を計上しており、また対話アプリのバイバーは約1000億円の「のれん」が残っており、楽天グループとしての不安要因が残ります。
 

楽天の強み

楽天の事業モデルの強みはなんといっても「楽天経済圏」の存在でしょう。
 
「楽天経済圏」とは、楽天グループが提供する様々なサービスにより形成される経済圏で、この中で貯めて使える『楽天スーパーポイント』というロイヤルティプログラムを通じ、楽天会員となる顧客の流入拡大および経済圏内でのサービス利用や回遊性を促進するビジネスモデルです。(引用元:http://corp.rakuten.co.jp/about/strength/business_model.html
 
利用者にとっては金融サービスを利用する過程で獲得したポイントを楽天トラベルや楽天市場などで利用でき、利便性の向上につながります。このポイントのことを「楽天スーパーポイント」といい、日本で最も人気が高いポイントプログラムの1つです。
 

楽天の財務状況


Chart 1 楽天の財務状況
 
売上高は順調に伸びているものの、営業利益、営業キャッシュフローともに減少しています。本業での利益が出にくくなっていることが窺えます。日本経済新聞2017年2月14日の記事では、この営業利益の減少を「楽天市場」など国内の電子商取引(EC)事業のポイント費用であると報じています。
 
楽天の更なる成長のためにも、金融事業の好調だけではなく、ポイントプログラムの改善等による「楽天市場」の基盤の安定、収益力の安定性の向上が急務となりそうです。楽天経済圏の強みを生かすためにも、各事業で安定した収益力の確保が重要となるでしょう。
 
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
 

財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
「経営者の輩出」を企業理念とし会計や財務の実務支援能力だけでなく、 CFOとして求められる知識や経営センスをより短期間で身に付け、育成することを目指しています。
エスネットワークスは、「経営者の視点でニーズを掴み、経営者の視点で課題を解決し続ける、最強パートナー」を実現すべく、成長し続けています。
 
■エスネットワークスのサイトはこちら
​株式会社エスネットワークス
■mannakaのサイトはこちら
​株式会社mannaka