ハイウェル 近藤太氏が掲げるスローガン「挑戦するホッコリ集団」に込められた想いと、今後への挑戦

今回は、株式会社ハイウェル 代表取締役の近藤太氏にお話を伺いました。同社は「挑戦するホッコリ集団」という個性的なスローガンを掲げています。同社は、なぜこのスローガンを掲げるようになったのか? また、このスローガンを掲げている同社内ではどのようなコミュニケーションが取られているのか? ということを本対談ではお話いただきました。
 
以下
近藤:株式会社ハイウェル 代表取締役 近藤 太
柴田:株式会社mannaka 代表取締役 柴田 雄平
 

究極の転職先としてハイウェルを立ち上げた

柴田
まずはハイウェルの事業についてお聞かせください。
 
近藤
ハイウェルの事業は、僕のバックグラウンドが大きく関わっています。僕はいわゆる結構お堅い系のシステム会社のエンジニアから社会人生活をスタートしました。
僕らの世代というのは、ギリギリ第二次ベビーブームの最後ぐらいの世代で、同学年の人がすごく多いんですよ。だから受験も大変だったんですよね。僕が入った経営情報学部というのは、文系の経営学部と、理系の情報処理を行うような学部が一緒になったような学部です。「これからITが経営の中で大きく力を発揮し、成長分野になるだろうな」となんとなく思っていたので、この経営情報学部をきっかけにITの世界に入ったんです。ただ、当時の自分は、学生ベンチャーをやろうというような気概もなく、期限が来たから自動的に社会に放り出されたという感じではありましたね。
 
柴田
近藤さんは、それからずっとサラリーマンをやっていたんですか?
 
近藤
そうですね。社会に出てからはずっとサラリーマンで、転職もたくさん経験しました。社会人の最初の頃はキャリア志向があったので、最初の会社を2年ぐらいで辞めて、次に監査法人系の外資のコンサルに入って、また辞めて。その次あたりからはベンチャーが多くなりましたね。ある程度の権限を持って仕事をしたいと思っていたんですが、30歳を過ぎたぐらいの頃には「もうどこも自分を雇ってくれないんじゃないかな」と思って、究極の転職先として自分の会社を立ち上げたという感じですね。それが32歳の時で、今、弊社は11期目となっています。
 
柴田
株式会社ハイウェルは1人で立ち上げられたのですか?
 
近藤
1人ですね。ITの人材アウトソーシングの事業は、自分が会社勤めしていた時にも経験があったので事業を始めやすかったですし、仕事自体もたくさんあったので、起業することにあまり不安もなかったですね。ちなみに余談ですが、僕が立ち上げたハイウェルという会社名は、実は地名の「高井戸」のもじりなんです。ハイ(High)が「高」で、ウェル(Well)が「井戸」です。そんな感覚のネーミングしか思いつかなかったんですよね。
 
柴田
え、ハイウェルって高井戸って意味なんですか!(笑)
 
近藤
そうです。ちなみに上高井戸のほうに行くと、ハイウェルビルという建物が実際にあるんですよ。そのビルにうちの会社が入ったら自社ビルみたいでかっこいいなと思ったんですが、そうはならなかったですね(笑)
 

 
柴田
今のハイウェルの事業で主軸になっている事業を教えてください。
 
近藤
事業の8割以上は、ITのアウトソーシングサービスです。この事業の需要というのはずっとありまして、僕が起業してからリーマンショックがあって、その時にちょっとした落ち込みはあったんですけど、そこまで影響を受けることはありませんでした。むしろ、その頃はソーシャル系のサービスなどがどんどん出てきた時期だったので、エンジニアの需要は結構ありましたね。
 

「挑戦するホッコリ集団」というスローガンができた理由

柴田
ハイウェルが掲げている「挑戦するホッコリ集団」というスローガンは、最初から考えていたのですか?
 

 
近藤
いや、途中からですね。ちなみに「挑戦する」というのは、去年設定したんです。会社を設立して10年経っても、自分たちはチャレンジャーなんだと思ったので設定しました。今のビジネス環境ってサービスサイクルがすごく短くて、これをやっていれば安泰というサービスはないので、やっぱり常に挑戦者であれという気持ちがあります。
 
それから、企業は利益追求をしていくというのはもちろんあるんですけど、うちの会社は大声を出してアポをひたすら取るようなガチガチの営業会社じゃないので、ゴリゴリ営業をやり過ぎるのもちょっと違うと。
僕は会社をそういう色にしたくないなというのがあって、スローガンを「ホッコリ集団」にしたんです。それから、「ホッコリ」というのは自分を言い表すような感じだというところもありました。ただ、それぞれの社員の個性もあるので、「ホッコリ」というのを、社員それぞれがいいように解釈してくれればいいかなと思っていますね。
 
実際に、営業部隊は「ホッコリ」というところには共感してもらってはいますが、やっぱり結果を出していかなきゃいけないという部分も当然あります。なので、ゴリッといく「ホッゴリ集団」と勝手にカスタマイズしていたりして、それも面白くていいなと思っています。無理やり一つのテーマでやらせるというのも無理があるなと思っているので、ある程度許容しながら楽しくやっています。
 

 
柴田
今の会社のメンバーたちはどうやって集まってきたんですか?
 
近藤
マネージャークラスの人たちは、もともと個人的な知り合いが多いですね。一緒に仕事をしたことがあった人とか、飲み仲間だったりとか。他のメンバーはエージェントサービスや媒体、それからリファラルだったりしますね。
 
柴田
そういえば今回、近藤さんを紹介してくれた人は、近藤さんのインタビューを見て、めっちゃおもしろそうな社長だから面接に行ったと言っていましたよ。
 
近藤
あぁ、それはですね、取引先で「アルメン」というアルコールを飲みながら面接するという企画をやってる会社がありまして、面白そうだなと思ってやった時のことですね。本当にお酒を飲みながら採用面接をして、そのことについてインタビューを受けたんですよ。僕は経営者通信とかに載りたいという気持ちは全くないんですけど、「アルメン」というのは面白そうだなと思ってやってみたんです。
 
→ 株式会社ハイウェルインタビュー | アルメン
 

 
柴田
それは面白いですね!(笑) ちなみに今のハイウェルの男女比や結婚されている方の比率を教えてください。
 
近藤
男:女が6:4ぐらいだと思います。年齢はそんなに若くはなくて平均年齢は30歳ぐらい、下が20代後半、一番上は45歳が1人いますね。これからはもう少し若い息吹を入れていきたいと思っています。
続いて結婚比率については、男性社員の結婚比率は高いんですが、女性社員はまだあんまり結婚してないんですよね。
 
ちょっと自分の話になりますが、僕が妻と結婚したのは、会社を設立したぐらいの時だから、32、33歳の時です。妻は2つ年下で、会社を設立したばかりの頃は、事務をやってもらっていました。それで、3期ぐらいまではずっとやっていたんですよね。自分がプレーヤーでやっていたので、その時の方が給料はよかったんじゃないかな?(苦笑)
 

近藤氏が経営者として意識している社員とのコミュニケーションの取り方

柴田
社員とのコミュニケーションを大切にするという点で、近藤さんは経営者としてどのようなことをされていますか?
 
近藤
僕はコミュニケーションにはステップがあると思っています。理想としては、インタラクティブにコミュニケーションのボールを投げ合ってお互いを深く知るみたいなところですけど、そもそも情報の共有ができていないということもあったりします。セクショナリズムとまでは言わないですけど、たった20人足らずの会社なのに隣の部署が何をやってるいのか分からないみたいなこともあったりするのが正直なところです。
 
なので、僕がまず情報を会社全体に通してあげるというところは意識的にやるようにしています。そして、その情報の投げ方も少し工夫をしていて「今、この部署ではこんなことをやっているんだぜ」とか「これはすごかったよ」というように、全体のコミュニケーションの中で少し個人とのコミュニケーションも取ったりしています。そんな風にして、だんだん関係が出来てくると、社員たちも自らボールを放ってきてくれるようになって、各部署がそれぞれの業務的なミッションを持ちながらも、会社全体としてのコミュニケーションが発達してきます。
 
柴田
社内でコミュニケーションが取れなくなった時期はありましたか?
 
近藤
ツールや仕組みに頼ろうとした時は駄目でしたね。例えば、うちはSlack(スラック)を使ったりしていて、それはそれで機能をしています。ですが、仕組みとしての「飲みニュケーション」だと言って、みんなで飲みに行くことをすればコミュニケーションの問題が解決されるというわけではありませんでしたね。
 
柴田
近藤さんは会社経営をされていて悩むことってありますか?
 
近藤
うーん、実はあんまりないんです。僕が鈍感なだけなのかもしれないですけどね(苦笑) でも、鈍感力という言葉がありますが、もし僕が思い悩むタイプの経営者だったら結構きついと思うんですよね。僕はある意味、楽観的に考えられているからこそ経営者として務まっているのかなというところはありますね。もちろん、だからといって、全くリスクとかを考えていないわけじゃないですけどね。
 

 

ハイウェル近藤氏が考える若者たちに対して求めること

柴田
近藤さんが経営者として若者たちに対して求めることはどんなことですか?
 
近藤
今の時代は情報収集も楽になっているし、ロジカルに考えられるような人は多くなってきていると思うんですけど、そろばんを弾いただけでは分からない無駄な動きというのも含めた現場感というのはあるので、そういうことも経験して乗り越えていくということは必要だとは思いますよね。
 
柴田
近藤さんの人材採用をする時の基準はありますか?
 
近藤
僕ら中小企業には、当然のことながらすごく良い人材がバンバン入ってくるわけではないので、まずは人としての心根が優しくて、かつ欲がある人材がいいですね。欲というのは、好奇心もそうだし、商人としての欲というのもあるでしょうし、エゴで自分のために働くという欲も人間らしくて僕はいいと思っています。なので逆に、そういったものを持ち合わせていない大人し過ぎるイイい子ちゃんや、何も考えていない人材はダメですね。
 

今後、ハイウェルが挑戦していくこと

柴田
最後に、今後ハイウェルの経営者として近藤さんが挑戦していきたいことを教えてください。
 
近藤
今までは結構行き当たりばったりで、僕が「面白そうだからちょっとやってよう」ということが多かったんですが、今は社内公募みたいな形も含めて、何か事業化したいもののアイデアを出してもらうようにしているんです。まだなかなかアイデアが出てこない現状がありますが。
 
社員に対してよく言っていることとしては、「うちの会社の目的は、会社を続けさせることだ」と。うちの会社は、公共良俗に反しなければ何を生業にしてもいいと思っていて、イノベーションを起こしたり、社会に貢献することを必ずしも一番の目的とするわけではなく、とにかく会社を続けようと言っています。
すると、会社には社員がいて、みんなをちゃんと食わせていかないといけないので、じゃあみんなで食いぶちを見つけていこうぜ、となります。今のビジネスが5年、10年後続くのか分からないから、次は何に挑戦するかということは社員全員と考えていきたいと思っているので、社員たちにはそこに対して危機感を持って欲しいと思っています。
 
ただ一方で、何か新しいことをするということだけが挑戦だとは思っていないところもあります。挑戦というのは、直面する業務の中で、今までできなかったことができるようになったということや、これまではいちメンバーとしてやっていたが、チームマネジメントができるようになったとか。営業であれば数字的な挑戦やポジションとしての挑戦と、いろいろな形の挑戦があると思っています。社員一人ひとりがそれぞれの挑戦をし続けてくれて、結果、誰かの挑戦として新しい事業というのが出てきたらいいなと思っています。
 
柴田
すごい勉強になりました。ありがとうございました。
 
近藤
こちらこそ、ありがとうございました。
 
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今回は、株式会社ハイウェル 代表取締役の近藤太氏にお話を伺いました。本対談では、なぜ「挑戦するホッコリ集団」という少し風変わりなスローガンを掲げるようになったのか? このスローガンを掲げている社内ではどのようなコミュニケーションが取られているのか? ということを伺いました。変わったスローガンを掲げている株式会社ハイウェルですが、社内での取り組みや近藤社長と社員とのコミュニケーションについての話をお聞きし、「なるほど」と頷ける話が多くあり、大変勉強になりました。本対談を読んで頂いたあなたにとっても成長のヒントとなることが一つでも見つかれば幸いです。
 
▶︎株式会社ハイウェル
挑戦するホッコリ集団
私たちは「挑戦者」であり続けると共に、和みの環境を作りながらも個性を尊重する社風を大切にしています。
HP:https://www.hiwell.co.jp/