はじめに
2017年3月8日の日経新聞朝刊で、社債というワードが登場しました。会社が何かに投資を行う際には必ず資金が必要になります。その資金調達の代表的な方法の一つとして、社債の発行が挙げられます。今回は、その社債を含む資金調達方法とその会計処理について解説していきます。
会社の代表的な資金調達方法と会計処理
資金調達の3つの方法
資金調達の方法は、代表的な3つの方法が挙げられます。銀行からの借り入れ、株式の発行、そして社債の発行です。
資金調達方法① 「銀行からの借り入れ」
銀行からの借り入れは、企業の信用調査などの審査が行われ、企業の財政状態や経営成績を勘案し、借入額や、信用力によって利率が決定されます。借り入れの際の会計処理は以下のようになります。
借入時
(現金預金) ××× / (借入金) ×××
利払時
(支払利息) ××× / (現金預金) ×××
返済時
(借入金) ××× / (現金預金) ×××
資金調達方法② 「株式の発行」
株式の発行は、投資家に対して、会社の所有権である株式(議決権の無い株式も発行できます。)を発行して、資金を調達する方法です。株式発行の会計処理は以下のようになります。
発行時
(現金預金) ××× / (資本金) ×××
/ (資本準備金)×××
配当支払時
(繰越利益剰余金) ××× / (現金預金) ×××
/ (利益準備金) ×××
資金調達方法③ 「社債の発行」
社債の発行は、投資家や他企業に対して、債券を発行し、資金を調達する方法です。社債の発行の際の会計処理は以下のようになります。
発行時
(現金預金) ××× / (社債) ×××
利払時
(社債利息) ××× / (現金預金) ×××
返還時
(社債) ××× / (現金預金) ×××
資金調達方法の類似点や相違点
これらの資金調達方法には似ている点や相違点があります。株式に関しては、返済が必要なく、配当の額も業績によって変えることができます。しかし、会社法上、残余財産分配権、配当請求権の全部を与えないことは許されていません(会社法第105条)。また、社債や株式は譲渡が可能な点なども特徴的です。
社債の発展的な会計処理 「償却原価法」
社債は、割引発行を行い、返還時には額面金額で返還するということが考えられます。その際には、発行価格と額面金額の差額を利息の一部であると考えて毎期に配分し、償却原価法という方法を適用し会計処理を行います。償却原価法には、利息法と定額法の2つの方法があります。
例えば、額面金額1,000千円、期間5年、利率5%の社債を950千円で発行したとしましょう。ここでは簡便的に定額法による償却原価法を適用します。その際の会計処理は以下の通りです。(単位:千円)
発行時
(現金預金) 950 / (社債) 950
利払時(5年間)
(社債利息) 50 / (現金預金) 50
期末(5年間)
(社債利息) 10 / (社債) 10
返還時
(社債) 1,000 / (現金預金) 1,000
上記の期末の仕訳を5年間行うことにより、発行金額と額面金額の差額を利息の一部として毎期に配分し、社債の金額を額面金額に近づけることが出来ます。
資金調達と会計処理のまとめ
今回は、会社の資金調達の方法と社債の会計処理を見ていきました。上記のように、会社の資金調達には色々な方法があり、それぞれ特徴を持っています。そのような資金調達方法の特徴と会計処理、また会社法などの規制も、CFOとして必要な知識でしょう。
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
財務・会計系コンサルティング会社。
ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
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