スマートキャンプ株式会社 古橋氏に聞く 効率化の探求とフェアな社会をめざして【後編】

今回は、スマートキャンプ株式会社 古橋智史氏にお話を伺いました。スマートキャンプ株式会社(以下、スマートキャンプ)は、「Small Company, Big Business.」というビジョンを掲げ、クラウドサービスをはじめとする、インターネットテクノロジーの普及支援など幅広い事業展開を行っています。同社の代表である古橋氏に、将来のビジョンや20代・30代に向けたメッセージを伺いました。株式会社Mi6の川元氏との対談をぜひ、お楽しみください。
 
以下
古橋:スマートキャンプ株式会社 代表取締役 古橋智史氏
川元:株式会社Mi6 代表取締役社長 川元浩嗣
 

100歳までに1000個の事業を作りたい

川元
古橋さんの将来のビジョンについて語っていただけますか?短期でも長期でもいいんですが。
 
古橋
会社っていう意味でいうと、ちょうど今朝「2024年構想」っていうのを話してたんですよ。
ここ最近のインターネットのベンチャーブームを考えると、逆にコンサバな思考で、これってかなりすごいことだと思うんです。市況は分からないですけど、ともかくそこまでちゃんとやりきりたいね、と。「とにかく事業を作り続ける」と決めたので、100歳までに1000個事業作るっていうのが人生の目標ですね。
 
川元
1000個?すごいですね。
 
古橋
必ずしも僕が作らなくてもいいんです。例えば、投資したり買収したり、いろいろやり方はあるんですよ。必ずしも新しい物作らなきゃいけないわけじゃない。
 
今って「事業承継しないといけないけど、後継者がいない」っていう会社もいっぱいあるじゃないですか。このあたりも、テクノロジーを駆使していけば、解決できることがあると思うんです。今、日本の社長の平均年齢が70歳と言われてるんですが、それって20年後にはその社長がほとんどいなくなってしまうってことですよね。10年前は平均年齢が60歳だったんですよ。10年経って70歳になっている。事業を引き継げないまま高齢化してるんです。これを解決できたらいいですよね。
 
川元
ちょっと人生観に繋がるかもしれないですけど、“働く”と“生きる”ってどういう風に思ってます?
 

 
古橋
ニアイコールだなと思ってます。僕は事業作ることが一番好きです。それができないと、めちゃくちゃ暇でつまんない。今は仕事のほかは映画やったり弟の農業手伝ったり。最近はソマリアに寄付したりしてますね。
 
川元
ソマリア?海賊?
 
古橋
脱過激派防止センターっていうのがあるんですよ。そこに寄付してるんです。
 
川元
何がきっかけですか?
 
古橋
うちの社員からアクセプトインター・ナショナルっていうNPO法人を紹介されたんです。日本人で唯一ソマリアでギャングを更生させる取り組みをやってる子がいて、仲良くなったんで直接寄付してます。あと、4社ぐらいエンジェル(創業間もない企業に行う投資活動)やってますよ。
 
川元
そうなんですか?古橋さん個人で?
 
古橋
もちろん個人で。僕、1つのことを4年かからないとマスターできないんですよ。中学のとき野球3年間やってて上手くならなかったんです。高校の時バレーボールやってたんですけど、これもダメだった。でも大学時代の水上スキーは、4年目で上手くなったんですよ。だから僕、4年経つと上手くなるんですよ。
 
会社も4年経ってそれなりに形になってきて、やっぱり4年かかるなと思いました。上場した会社に投資すると、やっぱり4年かかる可能性があるんで、創業したばかりの企業なら2年後上場、後2年で上手くできると思って。だから今のうちに失敗も含めてやってみようと思って。4社ぐらいやってますね。
 
川元
石の上にも3年みたいな感じですね。
 
古橋
3年じゃないです、4年ですね。五輪と一緒です(笑)。
 

既存のものを効率化する面白さ

 
川元
今までを振り返って、「20代のときに精いっぱいやっておいてよかったな」と思うようなことってありますか?
 
古橋
仕事ですね。仕事は、僕は純粋に量だと思うんですよね。20代は働かなきゃいけないって思ってます。成功してる人って、みんな20代で苦労してるし。ただ体力って有限的なんで、20代と30代では戦い方を変えなきゃいけない。30代になると体力続かないし、代謝も悪くなるし。単純に健康的なリスク増えるんで。
 
川元
今ってスキル重視で、小手先のテクニックで渡っていく人がけっこういますよね。でもそれだとだんだんメッキが剥がれてきて、勿体ないなと。最後の頑張りが足りない人がいっぱいいる。
 
古橋
エンジニアにしてもデザイナーにしても営業にしても、20代でめちゃくちゃ働いてるっていうのがないと、ハリボテっぽくなっちゃう気がしますね。
 
川元
一山超えないと次の景色も見えないですもんね。
 
古橋
人によって登りたい山は違うんで、必ずしも全員が富士山目指さなくてもいいと思うんですけど、絶対やった方がいいのは仕事です。
 
30代はホントに色んなことやった方がいいと思うんですけど。つい先日30代になったばかりで、ここからどういう30代にしようかなって。それこそ今は映画とか農業とかいろんなことやってるんで、どうなるか楽しみではあります。
 

 
川元
映画とか農業とか、古橋さんの幅の広がり方が面白いと思うんですけど、何か核で繋がってるものがあるんですか?
 
古橋
基本的には全部同じなんですけど、「既存の在り物を効率化していく」っていうのがテーマとしてありますね。
 
たとえば映画って超アナログの世界なんですよ。お金の集め方もそうだし、既得権益が強くて大手の映画配給会社が幅を利かせてるとか、古い考え方の中でできてるんです。それを違う角度から変えていくとか。農業も1次産業で古い人達しかいないんで、違う売り方をしてみたりとか。そういうのが全部テーマです。ライフテーマですね。
 
川元
営業もそうですね。
 
古橋
そうそう。既存のものを変えていくっていうのが好きなんですよ。新しいものは作れないです。ライブコマースとか無理。才能ないんで。
 
川元
クリエイティブというより、既存のものを効率化していく。
 
古橋
効率化するのがすごく好きですね。今注目してるのが空き家です。空き家をどうしたら変えていけるのか、注目してますね。
 
川元
全国に900万戸あるって言うもんね。
 
古橋
そうそう。年間どんどん増えているんです。そういうテーマが好きですね。それが基本やりたいテーマ。逆にエンジェルは、自分には関係ない分野に投資してる。現時点では何のニーズもなさそうだけど将来性があるのかなというところで。
 

フェアな社会をつくりたい

 
川元
ちょっと抽象的な質問かもしれませんが、古橋さんとしては、これからどうやって生きたいと考えていますか。
 
古橋
うーん、抽象的に考えるってできないですよ。僕、思考が超現実思考なんで。ホントに「事業1000個作りたい」としか思っていない。難しいな、何だろう。
 
フェアな社会にしたいですかね。僕、こう見えて大学が福祉学部なんですよ。立教大学の。
 

 
川元
福祉学部だったんですか。
 
古橋
福祉は僕の中でテーマがあって、めちゃくちゃ寄付とかしてるしボランティアも結構してるんですよ。
 
例えばソマリアとかもそうなんですけど、自分の人生って生まれた瞬間コントロールできないじゃないですか。そういうのが限りなく0になる世の中にしたいなと思ってて。
 
川元
機会の均等?
 
古橋
そう。資本主義である以上無理なんですけど、自分としては、それに挑戦してる。ソマリアの子どもたちは、生まれた瞬間テロリストにならないと生きていけない子もいるんです。12歳で任務は「自爆」とか。そんなのありえないですよね。でも現実はそんな世界なんですね。
 
僕は普通に日本に生まれて、良い環境の中で起業させてもらえてる。ある意味イージーだなって思います。フェアな社会の実現には、インターネットの力も大きいと思う。だから、その目標に向けて生涯懸けて生きたいですね。銀座でシャンパン開けるぐらいだったら、僕は寄付しますね。そう思ってます、ホントに。
 
川元
まっとうですね。
 
古橋
いや、まっとうじゃないんですけど、普通にそう思ってるっていう感じ。うちの会社も中卒から東大卒までいて、みんなバラバラなんです。でも、そういう人達が同じ場所で働いてるってすごく面白いなと思って。そういうのをもっと均等にしていきたいなっていう。
 
川元
まっとうですよ。素晴らしいと思います。本日は興味深いお話ありがとうございました。
 
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今回の対談の後編では、古橋氏の将来のビジョンと、古橋さんのビジネスの核となっている“既存のものを効率化する”ことの面白さについてお話を伺いました。スマートキャンプでの事業展開だけでなく、ソマリアへの支援や農業・映画など幅広い分野で精力的に活動している古橋氏。ビジネスという面での成功だけでなく、「フェアな社会を作りたい」という大きな目標が、社員や周囲の人々を力強く導いているのだと感じました。
 
あなたにとってはどんな話が胸に残りましたか? この記事から、これからの時代を生きるヒントが見つかれば幸いです。
 
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スマートキャンプ株式会社 古橋氏に聞く 効率化の探求とフェアな社会をめざして【前編】
 
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