Innovexcite Consulting Service株式会社 田口氏に聞く「挑戦力」と未来を見る眼【前編】

今回は、Innovexcite Consulting Service株式会社 田口直樹氏にお話を伺いました。Innovexcite Consulting Service株式会社(以下、ICS)は、企業のリスクマネジメントに対するアドバイザリー業務や、新規プロジェクトの課題発見からソリューション構築、運営までをトータルで導くコンサルティング業務などを行っています。同社の代表である田口氏に、ビジネスの原動力となっているスキルや起業にいたるまでの道のりを伺いました。株式会社Mi6の川元との対談をぜひ、お楽しみください。
 
以下
田口:Innovexcite Consulting Service株式会社 代表取締役 田口直樹氏
川元:株式会社Mi6 代表取締役社長 川元 浩嗣
 

前例にとらわれず、やりたいことをやる

 
川元
まずはICSの事業内容について教えていただけますか。
 
田口
コンサルティング会社として、ベンチャー企業の社内管理体制構築、新規事業立ち上げ、プロジェクトマネジメントに携わっています。方向性としては2つあって、ひとつは、企業の経営企画部門を丸ごと引き取って、そこで発生する業務を請け負う事業。もうひとつは、経営企画で作った内容をプロジェクトに落とし込んだときのマネジメント業務ですね。この2つが今のメインになってます。
 
川元
もとは三菱商事の管理部門で働いていらしたんですよね。
 
田口
はい。私がいた部署は管理部っていうところで。管理部っていうといわゆる管理的な仕事ばっかりするイメージだと思うんですけど。
 
川元
守りのイメージっていうか。
 
田口
そうです。でも良くも悪くも自由度が高い、何でも来るみたいな部署だったんですよ。私は食品関係の領域で、営業に対して管理部の人間が一人立つって感じでしたが、営業と管理部の業務の線引きが割と曖昧だったんですね。
 
本来は、管理的な経理とか法務とか、そういった部分がメインの業務だったんですけど、やりたいこと全部やらせてもらえたんです。そうすると、営業も味をしめて全部振ってくるんですよね。つまんない仕事も振ってきますけど(笑)、面白い仕事もドンドン振ってきて。
 
例えば、「新しくアジアで新規の開拓をしたいから拠点の会社を作りましょう」という話になった場合、普通は「法制度や税制を調べて」というオーダーが管理部に来るわけです。でも「どうしたらいい?」って聞かれるんですよね。「こういうことしたいんだけど何が必要かな」と。「それだったらこれとこれとこれとこの辺りが必要かもしれないですね。でも、この部分はもしかしたらあそこに頼んだ方がいいかもしれないですね」みたいな対応をするわけです。そこがもしかしたらプロジェクトマネジメント的能力かもしれないですけど、必要な要素を洗い出して、それを整理して必要なリソースを調達するっていう経験はけっこうしましたね。
 
川元
前職のときから枠にとらわれない働き方をされてたってことですね。前職からこれまで色々歩みがあったと思うんですけど、そこで培ってきた田口さんのスキルを一言で言うと、どういうスキルを培ってきたと言えますか。
 

 
田口
そうですね。スキルっていう文脈で語るのはなかなか難しいんですけど、ある意味自分の出来ないっていう領域を定めずに、とにかく新しいことを辟易せずにやるっていうのは実は強味だと思っていて。実際、前職のキャリアでは、プロジェクトマネージャーや経営企画室そのものを経験したことはないんです。でも仕事の本質って、職種によってそんなに大きく変わるもんじゃないって思っていて。やり方を少し工夫すれば全部同じ考え方で出来ると思うんですよね。なので、そこを何でもトライしていくっていうのが一番強味かもしれないです。最終的にそこだけかもしれないです。
 
川元
なるほど。○○力で言うと、何力?
 
田口
適応力ですね。適応力と挑戦力かもしれないですね。
 
川元
なるほど。統合すると何力になります?
 
田口
何力なんですかね。統合すると何だろうな。やっぱ、挑戦力ですかね。
 

頼られることが、挑戦の原動力

 
川元
たとえば大学時代や高校・中学・小学校時代まで遡ってみて、田口さんの挑戦力を培ったエピソードというか原点になってるようなものってありますか?
 
田口
これ就職活動でよく言ってたんですけど、「挑戦する原動力」って、僕の場合はまず「頼られる」ってことなんですよ。たとえばベンチャーとかスタートアップみたいに何かの領域を自分でガッと自発的にやるよりは、誰かの依頼があって期待があって、それに対して答えようっていうのがまずあってですね。だから、コンサルって自分でもすごく向いてると思ってるんですけど。それを培ったのは、これすごく昔の話なんですけど・・・ホント小さい頃ですよ、3歳とか。親が縫製の仕事やってたんですよね。
 
川元
縫製ですか。
 
田口
そう、ミシンで。私は兄が2人いるんですが、年が離れてて遊びにいっちゃっていないと。で、僕が1人で家にいて母親がいたんですけど、母親はずっと働いてるわけです。寂しいじゃないですか。どうしたかっていうと、母親にちょっとかまってもらうために、邪魔すると当然怒られるんで仕事を手伝うっていうアプローチをとったんですね。
 
川元
3歳の頃ですよね。すごいな。
 
田口
そしたら母親も結構褒めてくれるんですよね。簡単な仕事しかできないですよ。今でも覚えてますけど、ポケットを裏返して目打ちで整えるみたいな。そんな簡単な仕事なんですけど、これを何百とやるみたいなことをやってたんですね。そしたら母親がすげー喜んでくれて。そのときに「人の役に立つって結構いいな」と。
 
川元
「誰かに頼られて手伝う」っていう原体験が3歳の頃にもう既にあったということなんですね。
 
田口
そうですね。今でも覚えてるんですよね。目打ちとか普通忘れてると思うんですけど、今でも覚えてる。
 
川元
覚えてるっていうことは、それだけ強烈な現体験だったってことですよね。
 
田口
ホントに寂しかったんで、小さい頃は。そこから人の期待に応えるっていうのをずーっとやってきたなと思います。
 
もともと怠け者で、基本寝てることしかないんです。人の期待があったときだけ動くみたいな感じの人生(笑)。そんなこともあって、BMIに興味あるんです。面倒くさがりだから。BMIは動かなくても頭で念じれば出来るから、興味あるんですよ。
 

 
川元
なるほど(笑)。BMIを知らない方も多いと思うんで、ちょっとご説明いただけますか。
 
田口
BMIはブレイン・マシーン・インターフェイスっていう技術の略語なんですけど、簡単に言うと脳みそと電極を繋いで脳から直接電極経由でインターネットに接続してコンピューターを動かすっていう技術ですね。
 
たとえば、落ち着いた綺麗な環境でワープロ打つとかだったらいいですけど、満員電車とか仕事出来ないじゃないですか。スマホでやるぐらいしか出来ないじゃないですか。あれもBMIがあればサクサク仕事進みますよね。
 
川元
なんとですね、田口さんはそれをするために起業したんですよね。
 
田口
そうなんですよ、もともとはね。
 
川元
BMIについては後ほど詳しくお聞きするとして、挑戦力の原点が誰かに頼まれることにあったっていうことは、もうちょっと○○力っていうのに昇華できそうな気がしますね。
 
田口
何力ですかね、それは。それは何なんだろうな。コミット力なのかな。インターンを採用するときに「責任感を持って仕事をする」っていう回答が出てこない人は採用しないですからね。「3つ仕事をする上で大事なものなんですか」って質問したときに、その3つの内の1つにでも「責任感を持って仕事をやり通す」って書いてこない人は絶対採用しないんです。コミット力に近いのかもしれないですね。ちょっとそこの整理は自分でも出来てないんですけどね。難しい仕事ほど、こなしたときに感謝されるんですよね。
 
川元
感謝されるのが原動力っていう。
 
田口
かもしれないですね。
 
川元
今から未来に目を転じたときに5年後に田口さんの挑戦力ってどうなってると思いますか?
 
田口
自分の姿勢か、そのスキルなのか力なのか分からないですけど、そういうものを継承したいなと思っていて。
 
川元
面白いですね。なるほど。
 

 
田口
今、そこが一番困ってるんですよね。コミット力とか挑戦力の部分で、どうしても経営者である僕と社員で差があるわけです。能力が足りない部分はコミット力でカバーすればいいと思ってるんですけど、そこがなかなか追いつかなくて。
 
もちろん経営者と社員なので、差があるに決まってるのもかもしれないですけど、でもそれって何かで継承出来ないかなと思ってて。別に「給料払ってるんだからやれ」っていうことではないんですよ。社名のInnovexciteはイノベーションとエキサイトの造語なんです。超難しい仕事でも、やり遂げたらそれはイノベーションになる。やり遂げたときってすごく感謝されるんですよね。そうすると、むちゃくちゃ嬉しいわけですよ。
 
そういった喜びがあって、「仕事の報酬は仕事」じゃないですけど、ドンドン面白い仕事が集まってくる。それをね、やっぱり社員に継承したいなっていう思いはあります。
 
川元
なるほど。これからは、社員にその力を継承していきたいということですね。
 
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今回の対談の前編では、どんな場所でも前例に縛られず「やりたいことをやる」という田口さんの挑戦力について、これまでのキャリアを交えながら語っていただきました。また挑戦の原動力について、その原体験としてある幼少期のエピソードについても伺うことができました。後編では、事業を展開していく上での苦労や今後の展望についてお話を伺っています。
 
後編は「同期との共同創業でぶつかった壁」「企業のきっかけとなったMBIの未来」「トレンドは読むのではなく、自分で作る」というお話を伺いました。後編もぜひご覧ください。
 
▶︎Innovexcite Consulting Service株式会社
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