はじめに
平成28年度の訪日外国人の人数が過去最高を更新しているようですが、そんな中、どうやら外国人にウォシュレットが人気のようです。実際、中国人の富裕層がこれを買い占めるといった嬉しい悲鳴をよく耳にするでしょう。
そのおかげもあってか、現在、世界的にこの「ウォシュレット」の認知が広まりつつあり、世界の高級ホテルにも設置されています。今回はトイレやバスなど衛生陶器の最大手であるTOTO株式会社(以下、TOTO)をみていきます。
TOTOの沿革
大正6年5月
日本陶器合名会社(現在の株式会社ノリタケカンパニーリミテド)内にあった製陶研究所の技術をもって、東洋陶器株式会社を設立。衛生陶器と食卓用陶磁器の製造販売を開始
昭和24年5月
株式上場(東京・名古屋・大阪・福岡各証券取引所)
昭和45年3月
東陶機器株式会社に社名変更
平成19年5月
TOTO株式会社に社名変更
平成27年8月
設立100周年記念として、本社小倉第一工場敷地内に「TOTOミュージアム」を開設
EDINET閲覧サイトのTOTO第150期有価証券報告書より抜粋
(https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/E01EW/download?uji.verb=W0EZA104CXP001003Action&uji.bean=ee.bean.parent.EECommonSearchBean&PID=W1E63011&SESSIONKEY=1496284978695&lgKbn=2&pkbn=0&skbn=1&dskb=&askb=&dflg=0&iflg=0&preId=1&mul=TOTO&fls=on&cal=1&era=H&yer=&mon=&pfs=4&row=100&idx=0&str=&kbn=1&flg=&syoruiKanriNo=&s=S10081JE)
TOTOの事業内容
グループとして、TOTO株式会社及び子会社52社、関連会社5社により構成されています。
長期経営計画「TOTO Vプラン2017」及び、平成26年度からスタートした4ヵ年の中期経営計画に基づき、以下の事業軸で活動を推進しています。
- 国内住設事業:レストルーム、バス・キッチン・洗面商品等
- 海外住設事業:米州、中国、アジア・オセアニアに向けて、レストルーム、バス・洗面商品等
- 新領域事業:セラミック、タイル・ハイドロテクト商品
内訳として、セラミック事業、環境建材事業があります。セラミック事業としては、オンリーワン技術を生かした構造部材、静電チャックや光通信部品などの高機能・高精密セラミックスに特化し、全社横断の革新活動「デマンドチェーン革新」を推進しています。「ハイドロテクト」は光触媒を利用して光や水の力で地球も暮らしも綺麗にする環境浄化技術であり、技術ブランドです。
TOTOの財務情報
Table TOTOの損益計算書
各項目において、どの事業年度で見ても堅調に増加していることがわかります。
H29年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益が前年度よりも減少している原因としては、特別利益において「土地等売却益」の減少、「補助金収入」・「持分変動利益」による収入がなかったことに起因しています。
セグメント別にみると、中国・米州におけるウォシュレットが好調なようで、高級ホテルへのウォシュレット採用も拡大しています。
TOTOを巡るニュース
TOTOの課題と解決策
訪日外国人にとってウォシュレットの操作リモコンはわかりづらいようです。日本人でさえ、便器洗浄のレバーがないタイプのトイレにおいて、洗浄の仕方がわからないといった事例もあるようですし、外国人であれば尚更わからないでしょう。
高齢者にとっても、ハイテクな機能は理解しづらいかと思います。
では、なぜ分かりづらいのか。従来の操作リモコンの仕様は、企業それぞれが独自の絵文字を使っていることが一つ挙げられます。今回、TOTOが8月に発売する予定の「ウォシュレット アプリコット」は業界標準の新たな絵文字を採用することで、これを解決しようとしています。そして、TOTOはこれを公共施設やホテルに導入を考えているようです。
TOTO、東京オリンピックの協賛決定
また、TOTOは東京オリンピック・パラリンピック競技大会のオフィシャルパートナーに決定され、「東京2020オフィシャルパートナー(水回り備品)」の契約を締結しました。
TOTO、好業績だけではない 様々な賞を受賞
加えて、DJSI World Index(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス:「経済」「環境」「社会」の3つの側面から調査が行われるCSR格付けのこと)に6年連続で選定されました。その他にもCSRの取り組みが評価され、海外の社会的責任投資指標に選定されています。国内では、日本でいちばん大切にしたい会社大賞「経済産業大臣賞」受賞、なでしこ銘柄、健康経営銘柄に3年連続で選定されています。
TOTOのまとめ
誰しも一度は考えるであろう「TOTO」の由来。これは旧社名の「東洋陶器」から来ているそうです。それをアルファベット表記で表すほどTOTOはユニークでデザイン性があります。実際、様々なデザイン賞を受賞していますし、本業だけでなくCSRも盛んな会社です。成長性だけで語られない企業の一つといえるでしょう。
編集者:株式会社mannaka
協賛 :株式会社エスネットワークス
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ベンチャー企業やローカル企業にCFOコンサルティングを行っています。
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