起業家として成功するために求められる資質とは

近年、学生起業家や主婦の起業家などがマスメディアに多く取り上げられる機会が増え、起業がより身近な存在になりつつあります。
多くの人が“成功”という夢を描いて起業するわけですが、残念ながら、新規に立ち上げられた事業の全てが成功するわけではありません。いいアイデアがあったり、優れたサラリーマンとしての経験があったりしても失敗している例も多く、起業に向いている人と向いていない人がいるのは事実のようです。
本記事では、起業家とは一体どのような人なのか定義を正確に理解した上で、起業家として成功するために求められる資質について解説します。起業家を目指している人は、ぜひ参考にしてみてください。

 

「起業家」の定義


「起業家」とは、文字のとおり「起業する人」なのですが、漢字違いの「企業家」や、似たような言葉である「実業家」「事業家」といった言葉との違いを正しく説明できる人は案外少ないのではないでしょうか。
この機会に、「起業家」の定義をきちんと理解しておきましょう。
  

起業家・企業家・実業家・事業家の違い

起業家、企業家、実業家、事業家のいずれにも共通するのは、「経営者であること」です。
言い換えれば、会社の経営者の呼び方を、ニュアンスの違いから細かく分けているということです。
それぞれの特徴を知り、ニュアンスの違いに着目すると理解しやすいでしょう。
【起業家とは】
「起業家」とは、「自分で事業を起こす人」のことを言います。一般的にはベンチャー企業を指す場合が多いようです。
誰かから事業を継承したり、のれんを分けてもらったりするのではなく、何もないところから事業を「創業する」人を起業家と呼びます。
ただし、例えばパナソニックの創業者である松下幸之助氏を「起業家」と表現することはあまりないことから、「起業家」は創業間もない経営者に対する呼び方と考えていいでしょう。

【企業家】
起業家と漢字違いの「企業家」は、「企業経営をする人」のことを言います。
アメリカの経済学者であるJ.シュンペーターは、“企業としてどう展開していくかということまで見据え、よりアクティブに経営を進めていく精神を持つ人”と定義しています。
つまり、単に会社を経営しているだけでは「企業家」とは言えず、“ビジョンをもとに積極的な経営を行っている”という点が重要です。
企業家としてイメージが湧きやすい人物といえば、Apple社のスティーブ・ジョブズ氏でしょう。明確なビジョンを持ってMacintoshやiPhoneなどをプロデュースしたことで知られています。

【実業家】
「実業家」の本来の意味は、「生産・流通・販売などの事業の経営者」です。
「事業」の中でも、具体的には「農業」「水産業」「工業」「商業」など、生産や経済に関連する事業のことを「実業」と呼びます。
そのため、「実業家」も単純に言えば「実業に従事する人」なのですが、現実的には、「複数の事業を立ち上げて結果を出し続ける人」といった「やり手」という意味合いが含まれるようです。
現代では、「株や投資など、労働を伴わない事業を行う人」として誤用されている場面が多く見受けられます。堅実に事業を経営する本来の意味とは異なり、誤解している人も多いことから、人を評価する際にはあまり使用しないほうが無難でしょう。

【事業家】
「事業家」は、本来は「事業を行う人」全般を指しますが、現代では「優秀な経営者」といったニュアンスを含んで場合が多いようです。
先に登場した松下氏のように、起業が後に大きく成功すると「起業家」ではなく「事業家」と呼ばれるようになります。

まとめると、
・起業家は「創業者」
・企業家は「経営ビジョンを持つアクティブな経営者」
・実業家は、本来は「生産・流通・販売などの事業の経営者」
・事業家は「優秀な経営者」
となります。ニュアンスの違いを押さえておきましょう。
 

成功する起業家に求められる資質とは


経営者の中でも、0から事業を起こすのが「起業家」です。
起業家として成功するには、どのような資質が必要なのでしょうか。
  

社会の課題に対し使命感を持てる

アメリカのテクノロジー起業家であるベン・ホロウィッツは、「利己的ではなく、会社・事業の成功のために働く能力」が起業家には必要だ、と提唱しています。
事業とは、「事を成す」ことであり、事業における成功とは、決して“自分だけが裕福になること”ではありません。
どんな事業も人の暮らしの中にあり、社会の課題こそが、成功するビジネスの種となります。
成功している起業家たちをみると、いずれも起業の先に“成し遂げたいこと”があり、それを成し遂げることが自分の使命だという強い信念によって支えられています。
  

行動力がある

起業には、自らが決断し、行動しなければならない場面が多くあります。
どんなにいいアイデアを持っていたとしても、温めているだけでは前には進めません。小さなことからでも、「やってみる」ことが起業には必要です。
何事もやってみないことには、結果が得られません。とにかく試しにやってみると、結果が出ます。それがどんな結果でも、得られたことに価値があるのです。結果を得るまでの経験が、次のチャレンジに繋がり、失敗と改善を繰り返すことが成功への近道です。
「一番の失敗はやらないで終わること」という言葉を胸に、とにかく試しにやってみること、うまくいかなければやり方を変えることが大切です。

  

人を巻き込むリーダーシップがある

会社の規模に関わらず、どんな事業も人と人の間で成り立っています。
顧客との関係だけでなく、取引先、従業員、相談先など、たくさんの人と関わりながら事業が展開されます。
より多くの人を巻き込むことができれば、それだけ事業規模が拡大するわけです。
その際に必要になってくるのが、人を巻き込むリーダーシップでしょう。
成功している起業家すべてが、自分一人でなんでもできる、いわゆる“万能タイプ”なわけではありません。できることが異なる分野の人材を集めることで、会社として成功しているケースがほとんどです。
いざというときに、「この人のためなら」と思ってもらえる人物であることが、起業成功のカギでしょう。

 

まとめ


起業家とは、誰かから事業を継承するのではなく、0から創業する人のことを指すことと、成功する起業家に求められる3つの資質について紹介しました。
今の自分にはなにもない、と心配する必要はありません。
「一番の失敗はやらないで終わること」でしたね。
本記事で、成功する起業家について知ったわけですから、本気で起業を考えているのなら、まず今の自分にできることから始めてみましょう。